会議は30分!アイデアが出なくても、明日の自分が何とかしてくれる(笑)。【スマート会議術第26回】

会議は30分!アイデアが出なくても、明日の自分が何とかしてくれる(笑)。【スマート会議術第26回】株式会社バーグハンバーグバーグ 代表取締役 シモダテツヤ 氏

面白コンテンツの雄、日本一ふざけた会社、ギリギリセーフーー常にそんな枕詞がつく株式会社バーグハンバーグバーグ。

オウンドメディアやプロモーションを手がける企業も、今やいかにバズらせるかに躍起になっている。その回答を時代に先駆けて出してきたのが、シモダテツヤ氏率いるバーグハンバーグバーグだ。

面白系Webマガジン『オモコロ』や地元メディア『ジモコロ』を運営。そして次々と斬新な企画で企業のプロモーションを手がけ、今や「困ったときのバーグハンバーグバーグ頼み」という勢いでWeb業界で引っ張りダコだ。

はたして、彼らの「面白いアイデア」は、どんな会議を通して生まれ、どんなプレゼンをして仕事につなげているのか。その秘訣をシモダテツヤ氏に伺った。

目次

「意外と静かですね」と言われると地味にムカつくんですけど、その通りなんです。

――お客さんへの企画のプレゼンのスタイルがあればお教えください。
どうなんですかね。わりと、この人笑うなあとか、そういう人を見つけながらですかね。「この人、笑うな」って思ったらアドリブを混ぜながら相手が喜びそうなこと言う。笑いって伝染するので、それを狙ったしゃべり方をすることはあるかもしれません。
――参加する中のキーパーソンということじゃなくて、まず笑う反応をする方?
プレゼンって、波長が合うかどうか。楽しかったって思ってもらうことが結構大事だと思うんです。たぶんプレゼンされる側ってどんなのが出てくるのかを楽しみにしていると思うんです。そういう意味では、ぼくたちの会社は企画をプレゼンするときに笑ってもらえるようにしないとダメだと思っていますね。
――具体的にどういう雰囲気でやられているのですか。
普通ですよ。パワポで構成を見せて、こんな感じですよーって。それくらいです。
――笑う人を見ながら?
そうですね。一応ばーっと参加者のみんなを見ながらはしゃべりつつ、反応がいい人に向けてアドリブを入れたりとか。それぐらいです。変わった演出でプレゼンしても寒いじゃないですか。我々が提案する企画内容はボケの企画なのに、プレゼンのやり方までボケるのはマジでノイズだなって思うので。だからわりと普通です。
よく言われるのが、「意外と静かですね」とか「普通ですね」とか。地味にムカつくんですけど、でも悲しいかな、まさにその通りなんです。いつも“あっぱれパレード状態”でやってるみたいに思われてるんですよ。でもうちの会社、本当はめちゃくちゃ暗いヤツらが集まってるだけ。よくここまでみんな笑顔になれるようになったな、って思うぐらい、みんな暗い連中なんです(笑)。
――結構ロジカルな部分は重視されるんですか。
わりとそうかもしれないですね。こうこういくとこうなる、この要素があるから先にこれ潰しておこうとか。みんな議論しますね。うちって炎上しにくいっていうのもウリのひとつだと思うんですが、わりとみんな冷静にロジカルな意見を言っていますよ。
――炎上しないために特にどんなことに気をつけるのでしょうか。
ニュースやツイッターを見ていると、めちゃ怒ってる人多いじゃないですか。ああいうのを見てたら何となく怒りっぽい人、暇すぎて怒ることを探してる人たちの傾向が見えてきます。それをわかっていたら、炎上は避けられると思うんです。そういう人たちがいちゃもんつけてきそうだなっていうのを逆算すればいいので。それをいかに先に言って向こうの言葉を封じるとか、いろいろなやり方があるとは思います。

何案も出してください、って言う人はロクでもない人だと思うんで(笑)。

――プレゼンのときに松竹梅、本命と当て馬みたいな提案の仕方はありますか。
ケース・バイ・ケースですね。なので、本当にこれ以外あり得ないなと思ったら、「すみません、もう1案しか出したくないです」って言うことはありますね。
数を出すと内容が薄まったりするので。アイデアが出たのはいいけど余計だなって思うものはざっくり落として、「すみません、これしかやりたくないんですけど、絶対当たると思うんです」って言い方をします。
――それは、バーグハンバーグバーグのブランディングができてきているからできるというのもありますよね。
でも昔からあまり変わらないですよ。「何案も出してください」って言ってくる人はロクでもない人だと思うんで(笑)。ただ、自分の不安を消したいだけですから。なので、それにつき合っても時間のムダ。だから「じゃあ降ります」となることが多かったかなあ。
――もう指名した時点で文句言わせない?
ありがたいことに。今は相談をいただく時点で期待されていることもはっきりしているので、任せていただくことが多いですね。

アイデアのタネを出すなら30分でいいんです。

――会議される場所は常に社内ですか。。
社内が多いですね。たまに公園で企画出しをするチームもあったりしますが。でも大体会議室か休憩室ですね。30分しかないんで。
――時間は決められている?
チームに分かれて30分だけブレストやって、集まって15分くらい各チームでプレゼンして、って感じです。
――そこは厳密に30分と決めているんですか。
決めてますね。代理店とかだと、出るまでじっくり会議することが多いと思うんですけど、長いなと思ってて。「これ意味ある?」みたいな。3~4時間出るまで会議するって、ムダすぎるなあと思ったんです。まず30分。出なかったら明日考えようってすることが多いですね。明日の自分ががんばる、何とかしてくれるはずだ、ですかね(笑)。
――でもその1回30分は絶対なんですね。
そうですね。もちろん、長時間会議して、いいアイデアが出るときもあります。話が別の話題に飛んで本来想定していなかった角度のアイデアが出る、というのはあります。でも、効率としては悪いなっていう実感があって。
30分に慣れてくると出るんですよね。アイデアが出ればいいんで。肉づけは経験とか方程式みたいなところからいくらでもできると思うので。アイデアのタネを出すなら30分でいいんです。みんな他の仕事もありますし。本当に短くやっていますね。

質疑応答なら、ぼくも何が来るかわからないし、脳がすごく働く。

――シモダさんは講演もよくやられていますが、特に心がけていることはりますか。
最近、大学の講演などで意識しているのは、質疑応答です。最初にパワポで資料を見せながら、「会社はこうです、こういうものをつくりました。考え方はこうです」って、さくっとやって、すぐに質疑応答に入ります。できるだけ、早く質疑応答に入りたい。質疑応答なら、ぼくも何が来るかわからないし、脳がすごく働く。今いい切り返しできたなっていうライブ感もある。やっぱりあのライブ感が一番楽しいので。
――質問が出ないことはありませんか。
最初の1人が手を挙げたらポンポンと出ますね。あるいは、質問が出ない雰囲気を事前に聞いていたら紙に質問を書いてもらうようにしてます。「聞きたいことがあったら書いてください~」って。みんな目立ちたくないから、手を挙げないだけなんですよ。書いてくださいって言えばみんな出すんです。それで質疑応答は回りますね。
――大学側はシモダさんに何を一番期待して講義の依頼をされるんですか。
コンテンツのつくり方とか、考え方じゃないですかね。コンテンツのつくり方もあれば、就活の相談とかもあったりします。
――就活の相談?
そうです。ぼくは就活が大好きだったので。全部楽しかった。たぶん、人生の3番以内に入るくらい楽しかった。
――どういうところが楽しいんですか?
面接とはいえ、普通にただの大学生が社長さんと一対一で会えるってすごいことじゃないですか。クリアしていったらちゃんとゴールがあって。あと、どんどん自己分析もするので、初めは恥ずかしがって自己分析できないんですが、だんだんできるようになると自分の強みがわかってくるし。
――受からないとヘコんできませんか。
それって、1回目で成功しようと思っているからだと思います。ノーミスの最短距離で第一の希望会社に一発目で受かりたいと思ってるからだと。絶対に行きたいところがあるのなら、その面接の前に別会社で落ちてヘコむという準備すべきなんですよ。一発で成功しようとするからみんな失敗するんで。だから、就職が決まってからも、就職活動は続けてましたね。どんな会社があるのかなって。全然関係ないチョコレート会社とか、宅配会社とか受けてましたよ。
――今後、どういうところに向かいたいと考えてますか。
何も特に深くは考えてないです(笑)。面白いことを探し続けたいとは思っているんですけど。未来ってわからないなって思ってて。わからない未来なんて、考えるだけ意味がないなあと思ってて。それより、今動ける準備のほうが大事で。あとはなるようになればいいかなって感じですね。

文・鈴木涼太
写真・佐坂和也

シモダ テツヤ(しもだ てつや)株式会社バーグハンバーグバーグ
株式会社バーグハンバーグバーグ代表取締役。『オモコロ』初代編集長。
京都府出身。株式会社GMOペパボに入社した後、2010年バーグハンバーグバーグを設立。同社から生み出されるコンテンツも非常に独創的。「イケてるしヤバい男長島」「インド人完全無視カレー」「グラップラー刃牙×佐賀県」など、世の中にたくさんの話題と斬新なクリエイティブを提供している。会社理念に「がんばるぞ!」、採用基準に「炎の洞窟の奥に住む爆炎の魔神 かつやる気のある人」を掲げるなど、他の企業とは一線を画すユニークな会社である。

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