人と組織が育つ有意義な会議とは?【第1回】

人と組織が育つ有意義な会議とは?【第1回】人財育成家 沖本るり子
こんにちは。「5分会議」?を活用した人財育成家の沖本るり子です。

対面会議を基本にした【期待以上に人が育つ会議】を今日から12回に分けてお話ししていきます。どうぞよろしくお願いします。

さて、コロナ禍において、必然的にテレワークが一気に進み、人は他の人とどうコミュニケーションをとればいいのか迷い、さらに、管理職は部下育成がますますできなくなってきました。また、対面の集合研修を受ける機会も従来より激減。

そして、会議といえば、対面会議からオンライン会議に変わりました。ストレス三昧だったこれまでのムダな対面会議と同じような手法で、オンライン会議を行っています。結果、慣れていないせいも加わり、ますます生産性が低くなり、ストレスが増した“オンライン会議疲れ”という言葉も生まれたくらいです。

めまぐるしい環境の変化に合わせざるを得ない状況で、成果は別として、対面会議からやっとオンライン会議に変えることができたのです。せっかくのこの機会、これまで変えることができなかった対面会議もオンライン会議と同様に、生産性を高める仕組みの会議に変えていきましょう。
会議こそが人材育成の場
組織マネジメントにおいて重要でありながら、かつ難しい課題、それが人材育成です。
世の中の仕事は多岐にわたり、会社の文化や慣習によってもやり方に違いがあります。学校での教育とは違い、所定のカリキュラムをこなせば即戦力化できるというものでもありません。
しかも昔に比べ、育成に手間と時間をかける余裕のない企業も増えています。マネジャーは現場業務を兼務しているうえ、現場の人数も必要最低限に抑えられています。労働力不足も加わり、目の前の仕事をこなすのに精いっぱいで人の育成にまで手が回らない、というのが正直なところでしょう。
育成力の強化が問われるなか、どのようにして人を育てていけばいいのか、頭を抱えている経営層やマネジメント職は多いことでしょう。
そこで提案したいのが、「会議を人材育成の場と捉え、最大限活用する方法」です。
現在私は、人材開発育成および組織改革コンサルタントとして、さまざまな企業の変革をお手伝いしています。その際に活用するツール(道具)が、まさに「会議」なのです。
会議を変えれば会社は変わる
私は自らの会社員時代とコンサルティング経験に加え、心理学の専門知識を活かし「5分会議」🄬という手法を編み出しました。「5分会議」🄬は、1回の発言は数秒ほどでまとめ、全員が発言して高速で会議をまわしていくやり方で、受け身になりがちな会議での態度を180度変える枠組みになっています。そして会議を通じ、参加者のビジネススキルと自主性を養います
私はこれまでに、「5分会議」🄬を導入したことで社員の自主性が芽生え、トップダウン型から自走型組織に変わった企業をたくさん見てきました。
なかでも劇的な変化をもたらしたのが、東京にある包装資材メーカーの株式会社吉村(https://www.kaigishitu.com/meeting-hacks/detail/interview/smart-meeting/35153/)です。創業およそ90年の吉村は、かつては典型的なトップダウン型の会社でした。
先代社長はトップがすべてを決め、社員をリードすべきという考えの持ち主。それに対し、先代の娘である現社長は、市場の変化に伴いビジネスモデルの転換を図るには、社員の力が欠かせないと考えました。そして、「社員みんなの声を聞く」経営に方針を転換させたのです。その一環として、「5分会議」®の導入を決めました。
最初のうちはこれまでとはまったく異なるやり方に、社員のみなさんは戸惑うばかりでした。これまで意見を求められることなどなかったから、高速で回される会議ですぐにアイデアなど出てきません。
逆に時間と同時に発言が打ち切られ、激高する役員も。
けれども徹底してやり続けるうちに、社員たちは変わっていきました。
議題に対し自分で考えアイデアを出し、いろいろな方向から検討する。
そして会議自体も自分たちで回すことの楽しさを覚えていきました。
何より自分たちで決めることで、日々の仕事が「させられるもの」から「するもの」に変わっていきました。
派閥はいつの間にか消滅し、事業部の壁もなくなって、みんなで協力し合う風土が培われていくように。仕事が面白い、会社に来るのが楽しいと感じる社員が、増えてきたのです。
さらに従業員同士が協力し合うことで、月の平均残業時間も42時間から17時間に大幅に減少、離職率は10.15%から1.9%に減りました。
「5分会議」🄬をきっかけに、会社の雰囲気ががらりと変わったのです
吉村の従業員満足度や生産性が向上したのは、単に社内の雰囲気が改善されたからだけではありません。社員一人ひとりのコミュニケーション力や洞察力、調整力や計画性が高まったこととも関係しています。そして、これらの力は、「5分会議」🄬を利用すれば伸ばすことができるものなのです。
冒頭に述べた通り、日本の企業は育成に課題を抱えています。それは新人に限らず、ベテラン社員のビジネススキルも含めてです。もし、経営や業務の方向性を決める場である会議に参加するうちに、自然と人も育ち組織活性化につながるというのであれば、これほど効率的なやり方はないでしょう。
部下がいつのまにかどんどん成長する高速会議「5分会議」®のやり方と効果について、次回よりお話していきます。
あなたの会社での会議改革、すなわち人材育成改革にお役立ていただければ幸いです。

※本記事は『期待以上に部下が育つ高速会議』から抜粋・再編集したものです。

沖本るり子(おきもと るりこ)
「5分会議」🄬を活用した人財育成家。1分トークコンサルタント。株式会社CHEERFUL代表取締役。「人財育成と組織改革」を柱に、企業向けコンサルタントや研修講師を務めており、台湾(労働部)主催の講演会でも登壇した。「5分会議」🄬はRKB毎日放送「今日感テレビ」で紹介された。著書に『相手が”期待以上”に動いてくれる! リーダーのコミュニケーションの教科書』(同文舘出版)、『生産性アップ!短時間で成果が上がるミーティングと会議』(明日香出版社)、『期待以上に人を動かす伝え方』(かんき出版)、『期待以上に部下が育つ高速会議』(かんき出版)など多数。
株式会社CHEERFUL

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