テレワークに必要なセルフマネジメント力を高めるためのヒント【第3回】

テレワークに必要なセルフマネジメント力を高めるためのヒント【第3回】カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役 片桐あい

テレワークを成功させるためには、上司側も部下側も「性善説」で関わることが大切です。そのためには日頃からのお互いの信頼関係が何よりも重要なのです。それがない限りは、両者が疑心暗鬼になり、上司はマイクロマネージすることになり、部下はビクビク仕事をすることになります。信頼してもらうために必要なのは、まず、自分自身がテレワークでも仕事ができるプロフェッショナルであることを証明しなければなりません。そのためにはセルフマネジメント力を高めていく必要があるのです。

目次

テレワークに必要なセルフマネジメント力を高めるためのヒント

誘惑に負けない精神力を鍛える
セルフマネジメントはどんなビジネスパーソンにとっても必要ですが、特にテレワークをする環境では、自分を律するセルフマネジメント力が必要なのです。
ご想像のとおり、仕事関係の人が誰も見ていない場所で仕事をするとなると、かなりの葛藤があります。
たとえば、自宅には趣味のものも部屋もあるでしょうし、YouTube チャンネルを観出したら止まらないとか。調べ物をしていたらネットサーフィンしてしまった。または食後はベッドが呼んでいるような気がして、5分のつもりが30分寝てしまったとか。
そんなことになってあなたの信用を落とさないように、自律ためのセルマネジメント力を高める方法をまとめました。テレワークならではの悩みを解決するポイントを知り、仕事の効果を高めましょう。
人はやりたくないと思った仕事を我慢してやったとしてもなかなか集中ができません。「この仕事面倒だな~」「やりたくないな~」「なんで自分がやらなきゃならないんだろう?こんな仕事……」と思ったまま続けていても進みは遅いし、できあがったものの完成度もイマイチです。そんなご経験はありませんか?
そうなると、やらなければならないのはわかっていながら、いまやらなくてもいいことを始めたり、仕事に関係ないことに没頭してしまったり、その場から逃げるような行動に走って逃避したり、心の葛藤から頭でわかっていても行動ができないということがあります。
オフィスであれば、誰かに見られている意識が働くので軌道修正もできますが、テレワークで自分ひとりの環境であれば、なかなかその軌道修正が難しくなりますね。
まずは、このつまらないとやりたくないと思っている仕事をいかに楽しくするか?
自分にとって意味のある仕事にしていくかを考えることで、「不の感情」を「快の感情」に変えることができます。
「不の感情」とは、不満、不快、不足などのネガティブな気持ちです。何かを変えていくときには、この「不の感情」はエネルギーに変わるので、そのパワーを活用しましょう。
たとえば、このつまらない単調な仕事をやり続けなければならないと思うと不満だし不快だと思う場合には、どうしたら快の感情が得られるかを考えます。
その仕事をしなくていいようにするために何とかならないか?
誰に移管できないか?
もっとコンパクトにできないか?
などなど、不の感情が強ければ強いほど、改善の意欲も高まります。そのために働くことは、気づくと感情が快に変わっているはずです。
◎誘惑に逃げても目の前のことは、何も変わりません。自分を律するとは、我慢することではなく、不の感情をいかに快の感情にするために考え行動できること探すかということなのです。
自分のありたい姿を常にもつ
あなたはいまの仕事に満足していますか?
「もっとこんな仕事がしたい」「あんな役割についてみたい」または、「副業をしたい」「起業したい」など、様々な欲を持っていることでしょう。
これから取り組むテレワークという仕事のスタイルは、いまのあなたがステップアップするために、絶対に役立つ働き方です。テレワークでも仕事の成果を出して、自分のありたい姿に近づくために、このテレワークという働き方で、うまくセルフマネジメントができればどんな仕事であっても、あなたがあなたのありがたい姿を実現できる一歩になります。
では、その自分のありたい姿を常にイメージし、具体化してみましょう。
●お客様は誰か?
●どんなサービスを提供したいのか?
●月にいくら稼ぎたいのか?
●どんな働き方をしたいのか?
●どんな毎日を過ごしたいのか?
●どんな人と一緒に仕事をしたいのか?
その具体的なイメージあればあるほど、仕事に対する前向きな気持ちがでてくるはずです。
逆にいまの仕事は何のためにやっているんだろう?と、思うような仕事であれば、仕事は整理していくことが大切です。やらなければならないこともあるでしょうが、やりたいこと、自分がワクワクすることに目を向けることで、仕事のモチベーションが上がります。
企業に勤めている場合には、なかなか仕事のコントロールは難しいかもしれませんが、テレワークになることで、仕事の裁量権は増えるはずですし、チームの役割分担を再定義する機会にもなるので、その提案をする機会でもあります。
下図のように組織としてやるべきこと、個人としてやりたいことに仕事を分けるとすると、テレワークは「こっそりスキルアップ」と「こっそり移管」のための時間に当てることができます。
自分のありたい姿が明確になれば、いまの仕事を通して、やるべきことと今後やりたいことをつなげていくことができるようになります。(「全力で取り組む」の領域)そして、徐々に「こっそり移管」の領域の仕事はマニュアル化して、誰かに移管する。
「こっそりスキルアップ」の領域の仕事は自分の時間を使ってでもやることですが、「全力で取り組む」の領域の仕事を早く終えれば隙間時間に取り組むことができます。
「捨てる」領域は、テレワークになった瞬間、そもそもこれって必要?思うような仕事も見つかります。意味のない会議の洗い出しや、意味のない報告書やデータ作成などもこの領域にあたる可能性があります。
やはり、どこから手をつけるにしても、まずは自分のありたい姿を明確にするところからスタートしましょう。セルフマネジメント力を高めるためには、他にもお伝えしたいヒントがありますが、それはまた次回お伝えします。
※当コラムは著書『これからのテレワーク──新しい時代の働き方の教科書』を基に補筆したものです。
片桐 あい(かたぎり あい)カスタマーズ・ファースト株式会社
カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役、産業カウンセラー、キャリアカウンセラー。行動習慣ナビゲーター。人間関係問題解決コンサルタント。サン・マイクロシステムズ株式会社(現・日本オラクル株式会)サポート・サービス部門に23年間勤務。2009年から「キャリアディベロップメント&トレーニング」という部署を立ち上げ、延べ1500名のエンジニアの育成に携わる。また、グローバルのプロジェクトで「エンジニアのトレーニングの開発」のためのメンバーに選出され、各国の教育担当とカリキュラムを開発する。卓越したコミュニケーション能力・問題解決能力を武器に2012年に独立し、企業研修講師となる。これまで、年間約120件登壇し、約2万5000名の育成に従事。また、人財育成コンサルティングで、延べ3400名の育成にも尽力。著書に『職場の「苦手な人」を最強の味方に変える方法』(2019年5月 PHP研究所)、『一流のエンジニアは「カタカナ」を使わない!』(2020年4月 さくら舎)、『これからのテレワーク』(2020年5月 自由国民社)がある。

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