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会議HACK!松田智生氏記事:
https://www.kaigishitu.com/meeting-hacks/detail/interview/smart-meeting/5914/
https://www.kaigishitu.com/meeting-hacks/detail/interview/smart-meeting/5945/
はじめに

前回(9月26日)に開催された逆参勤交代セミナーでは、美唄市に関する講座を展開し、魅力と課題を学びましたが、今回は、美唄市をより深く知る機会として、現地でのフィールドワークを実施いたしましたので、そちらの様子をレポートいたします。
前回のレポート記事は下記からご覧ください。
【丸の内プラチナ大学】逆参勤交代セミナーレポート①
今回のフィールドワークには14名の方が参加し、美唄の魅力に触れながら、その土地の課題、可能性について地元のキーパーソンと交流しながら課題解決に向けた提案を行いました。
丸の内プラチナ大学逆参勤交代コースでは11月15日からの3日間、北海道美唄市でのフィールドワークを実施しました。石炭の町からの転換を図るため、新たな取り組みを進めている注目の場所を首都圏からのビジネスパーソンや学生が巡ります。
その中で見えてきたのは、地域資源への視点を変えることで、新たな価値や魅力を見出そうとする姿勢でした。
引用:エコッツェリア協会HP
1日目 美唄の歴史と地域の特性を探る

1日目は美唄市の歴史を生かした取り組みとして代表的な「石炭」と「雪」を取り上げて、そのキーパーソンにお話を伺いました。
美唄を語るうえで欠かせないものの一つが石炭です。美唄はかつて日本有数の炭鉱地でした。
その石炭を取り巻く歴史や文化を「炭鉄港」としてコンテンツ化する試みが進んでいます。北海道空知総合振興局地域政策課主任の髙橋明子氏は「『炭鉄港』とは、美唄を含む空知地域で掘られる炭、室蘭の鉄道や鉄鋼、小樽の港湾という3つを北海道の発展に貢献した遺産として、保全するだけではなく、ストーリーとして発信していこうとする試み」と解説し、大手コンビニエンスストアと協働した炭鉄港飯の販売やアートとのコラボレーションを紹介しました。髙橋氏は「担い手不足や利益性など、さまざまな課題はあるが、炭鉄港を通してシビックプライドの醸成と関係人口の創出を目指したい。
そのためには行政区域を超えた連携をして価値を伝えていくことが必要でもあり、10年先まで見据えて、地域で炭鉄港の持続的な活性化が必要だ」と語りました。
引用:エコッツェリア協会HP

次に、美唄の特性である「雪」を活用した取り組みについて説明がありました。
美唄市のもう一つの特徴が雪です。特別豪雪地帯に指定され、積雪が生活に大きな影響を及ぼす美唄市において、逆に利用する取り組みがホワイトデータセンター(WDC、以下同)構想です。株式会社雪屋媚山商店の代表取締役本間弘達氏は「WDCは雪を中心としたサーキュラーエコノミーだ」と言います。
道路などで除排雪された雪でデータセンターを冷やすだけでなく、サーバー熱をビニールハウスや陸上養殖にも利用し、一方で農業残渣を使ったバイオガス発電で施設内電力を自給自足する仕組みを構築すべく取り組みを行っています。本間氏は「美唄市は過疎化が進んでいるが、このWDCによって持続可能な過疎地にしていきたい」と抱負を語りました。
参加者らはウナギの養殖場とデータセンターを見学しました。現在のデータセンターは収容容量20ラックですが、将来的には3,000ラックまで拡大し、陸上養殖なども増やしていきたい等の本間氏の解説を熱心に聞き入っていました。
引用:エコッツェリア協会HP
かつての炭鉱地としての歴史と、現代におけるユニークな取り組みが非常に興味深い地域ですね。地域の歴史を単なる過去のものとして見るのではなく、今後の地域活性化のストーリーとして後世へ残る発信をされている点に感銘を受けました。
また、美唄の特性である「雪」を資源として有効活用する取り組みの着目点や、環境に配慮した視点は他の地域のみならず、企業にとっても新たな可能性を探るヒントになったのではないでしょうか。
2日目 美唄市で活躍する起業家たちと「滞在したくなる地域づくり」を考える

二日目はまず郷土資料館に見学へ行き、江戸時代にまでさかのぼって美唄市の歴史について学びました。
2日目は、美唄市地域福祉課参事の谷川毅氏に美唄市郷土資料館を案内いただきました。
文献に初めて美唄の名が登場するのは江戸時代です。その後、明治に入り石炭層があると分かるやいなや、続々と入植が行われました。資料館では入植当時の住宅や道具などが展示されているほか、炭鉱の掘削方法を再現した様子も展示されていました。中央には巨大な石炭柱があり、谷川氏から「重さ約3.5トン、1家庭でひと冬に使う石炭の量が大体これぐらい。美唄の石炭はカロリーが高く熱量が多い。北海道最大の炭鉱は美唄だと言われていた時代もあった」と教えて頂きました。
引用:エコッツェリア協会HP
美唄市の発展は石炭発掘によるものだったということが分かり、地域の人々がどのようにしてこの土地を切り拓いてきたのかを垣間見る貴重な機会になったかと思います。
その後、ラムサール条約の登録湿地である宮島沼へ向かい、その生態や生息する生き物について学びました。
谷川氏は「宮島沼は様々な水鳥が生息するだけではなく、湿地と草地が混在する珍しい地域。
また、日本最北のマガンの寄留地でもあり、マガンを見るために年間2~3万人が訪れてくれる観光資源でもある。早朝にマガンが何万羽も一斉に飛び立つ大迫力は貴重な体験になる」と話しました。
その一方で、正しい情報が伝わっていないことが悩みでもあるようで、「鳥インフルエンザの影響やマガンの生態について誤った情報が伝わってしまい、宮島沼が避けられることがある。正確な情報を伝え、宮島沼の希少性や環境に対するイメージを正しく持ってもらいたい」と語りました。
引用:エコッツェリア協会HP
早朝に何万羽ものマガンが一斉に飛び立つ風景は、ぜひ一度見てみたいです!
宮島沼の自然遺産を次世代に伝えるためにも、情報の正確性と教育の推進が必要であり、そのために個人としてできることを考える契機となったのではないでしょうか。

午後は、美唄市出身の注目の起業家たちと意見交換を実施しました。
最初に話を聞いたのは株式会社Mt.代表取締役の山本峻也氏。同社は「本物のジビエ肉の魅力を届ける」という信念のもと、市内でエゾシカ肉などを提供しています。
山本氏は「私たちは撃つ瞬間から調理が始まると思っている。いつ撃つのか、どこで撃つのか、どれを撃つのか。色んな要素によって肉質は変わってくる。エゾシカを食べるのは記念日など特別な日で、その味は一生記憶に残るので、私たちは最高の肉を提供しなければならない」と話し、国産ジビエ認証制度を取得するなど、処理方法と品質にこだわっています。
山本氏は「今後、ジビエが一般家庭の食卓に上がるようなテーブルミートにしたい。処理方法が洗練されていない頃のイメージによって、鹿肉は臭くて硬いという固定観念がある。そんなイメージを払拭していきたい」と語りました。
引用:エコッツェリア協会HP
ジビエ肉の提供に対して持つ情熱とこだわりを強く感じますね。これらの声をさらに発信し、鹿肉の固定観念が変わり、多くの人々にその魅力を知ってもらいたいです。

さらに、美唄市の「食」の発信についても考えました。
AguricoEN代表の井澤勇太氏は、バランス農法と呼ばれる土中のバクテリアを活性化させる栽培方法によりハスカップや大豆などを育てる農家でありながら、農地が使えない冬季などはイタリア料理シェフとして地域の活動やイベントなどで料理の腕を振るいます。
同氏は「美唄には美唄焼き鳥があるが、それだけでわざわざ美唄に行こうとはならない。もっと美唄の食コンテンツを強化していきたい」と語り、そのために目指すのは、調理学校の生徒を美唄に呼び込むことです。「調理師を志す学生は意外に農業のことを知らない。美唄に農業と調理を両方学べるような場所を作り、学生たちが一時的にでも美唄に滞在することで、美唄の食材を使った新しいメニュー開発や飲食店のレベルを向上させることができる。
結果として、美唄は通り過ぎるだけのまちではなく、わざわざ食べに来る価値のあるまちになるのではないか」と構想を述べました。
引用:エコッツェリア協会HP
美唄焼き鳥だけに頼らず、地域全体の食資源を活用し、新たな食の可能性を模索していることを知りました。調理学校の生徒を美唄に呼ぶ取り組みは、教育と実践を結びつけた革新だと感じました。地域を盛り上げるだけでなく、学生にとって価値ある学びの場となるでしょう。

次に、外部人材として美唄市の活性化を支える、美唄市地域おこし協力隊 真船創太氏の取り組みについて伺いました。
同氏は大学進学から北海道に関わり、2022年から美唄市地域おこし協力隊としてシビックプライドの醸成などに取り組んでいます。
「シティプロモーションの第一歩は、若手市民を集めて今後の美唄の指針や目指す姿を約1年間議論することだった」といいます。その話し合いから生まれたロゴと「Be Beautiful美しくあれ。」というキャッチコピーを紹介しました。
このロゴについて真船氏は「外見や景色の美しさだけでなく、美唄の風土や文化に根差し、逆境に立ち向かう精神を表現した」と解説しました。そして2年目以降は、市民バスにキャッチコピーを印刷したり、ロゴをあしらったポロシャツを製作したりしたとのこと。「最近は美唄まちづくり部を創設し、子どもたちが主役となってまちを盛り上げる機会を提供している」と現在の進捗を語りました。
引用:エコッツェリア協会HP
地元出身ではない外部からの視点を持ちながら、地域おこし協力隊として積極的に活動されていることが胸に響きました。
市民バスやポロシャツへのキャッチコピーやロゴの展開は、地域の一体感を感じられる取り入れる面白い取り組みなので、ほかの地域でもぜひ実践してみてはいかがでしょうか。
美唄市の活力を増し、地域の魅力を広く伝える推進力となることを信じています。真船氏の取り組みが他の地域にも広がり、地方創生の一つの成功事例として多くの人々に影響を与えることを願います。
3日目 美唄をさらに輝かせるため、受講生らが提案
3日目は受講生が課題解決プランをまとめ、市長へプレゼンテーションを行いました。
提案は以下の通りです。
1) 感性と暮らす美唄・憩いの場プロジェクト
2) ホワイトデータセンター「輸出」プロジェクト
3) Bibai Hillsプロジェクト~美唄育ちブランディング~
4) リーガルロードコンストラクション
5) 美唄市の価値創造型リスクマネジメントの実現~働きながら子育てする女性を応援するまち~
6) 食のコンテンツ発信場所をつくり、市民が自ら企画・集客していく経済圏をつくる。Be BIBAIプロジェクト
7) 美唄市データセンター活用推進プロジェクト
8) 非常時に各都市に頼られる防災都市 美唄
9) 美唄プライド:美唄を未来型生活地域として活性化させるプロジェクト
10) 美唄留学プロジェクト
11) こどもに「ふるさと」を ジュニア逆参勤交代制度
12) 「デジタル人財で町を守り、未来を拓く」ビジョンづくりPJ
13) カーボン×デジタルの美唄アート展示プロジェクト@東京
14) Be Beautiful: Youth Ski&Growth Retreat 外国の学生向けの海外研修旅行引用:エコッツェリア協会HP

これらの発表を終えて、美唄市長 桜井恒氏は次のように述べました。
どの発表も美唄をよく知っていただいたうえで、皆さんのご経験やお仕事に照らし合わせて作られたプレゼンテーションだった。美唄の魅力を活かし、コンテンツにしていくことが美唄の弱い部分だったので、皆さんのお力を借りながら、しっかりと美唄の魅力を発信し、それがまた新たな投資やアイデアを呼び込むという良い循環を作っていきたい」
引用:エコッツェリア協会HP
美唄の魅力を活用してコンテンツ化することが課題であったという認識は、地域の良さに気づきにくい現地の人々に対して、外部の視点がどれほど貴重であるかを感じさせます。外部の視点を取り入れることで、地域の魅力を新たな角度から捉え、それを効果的に発信していくことが可能となるでしょう。

講師である松田智生氏は最後に次のように締めくくりました。
「これからは今回のような交流を続ける、深める、広めることが大切だ。さらには美唄市の子どもたちが首都圏を訪れる『こども参勤交代』を実施し、地元の魅力や取り組みを紹介してほしい。それがシビックプライドや郷土愛を育むことになると思う」
引用:エコッツェリア協会HP
まとめ

この3日間を通じて、美唄市の特色や歴史を学び、資源や魅力を最大限に活用して美唄の発信を懸命に取り組まれている方々の活躍を知ることができました。
また、新たな視点を持つ外部の力を借りることで、これまで気づかなかった可能性を見出すことができ、新たな地域資源の活用方法を模索する鍵になるかと思います。
企業研修やイノベーション創造として逆参勤交代を取り入れてみてはいかがでしょうか?