Google スプレッドシートを活用し、「なんとなく会議」を半分に減らす方法【スマート会議術第10回】

Google スプレッドシートを活用し、「なんとなく会議」を半分に減らす方法【スマート会議術第10回】株式会社カティサーク 代表取締役 インターネット・マーケティング・コンサルタント 押切 孝雄氏

「無駄な会議を減らそう」と会議の効率化が叫ばれる昨今。さかのぼること8年前に、Googleをはじめとしたネット上でのサービスの活用をすでに提唱していた「グーグル会議術」(技術評論社)の著者である押切孝雄さんに、最新の会議効率術を伺いました。株式会社カティサークの代表取締役、そして文京学院大学の非常勤講師である押切さんとの対話の中で見えてきたのは、意外な「未来の会議のあり方」でした。

グーグル会議術
目次

「なんとなく集まる会議」にも意味はある(場合もある)

――Webマーケティングコンサルタントとして数多くの会議を見られてきた経験から、会議において最も多い問題点は何でしょうか?
目的やアウトプットが明確ではない会議が多いということですね。物事がある程度うまく進んでいて、特に話すこともないのに、「定例会議だから」という理由で「なんとなく集まる」という会議が多いと思います。
――内容より形式が重視されている会議は確かに問題ですね。
はい。ただ、そういう会議が必ずしも悪いとは思っていません。「とりあえず集まって話す」ということに、意味がある場合もあるのです。
――と言いますと?
仕事は基本的にチームでの作業だと思いますが、同じ部署内でもあまり話さない人はどうしても出てきますよね。そこで、「会議」という名目で半ば強制的に集まって、普段話さないメンバーとコミュニケーションをとることは、それなりの意味があると思っています。
――一見、非効率的でも結果的には効率的であると。
はい。ただ、そういうコミュニケーションを目的とした会議には、ほかにももっとやり方があります。とにかく、「何かを決めることが目的の会議」といった場合においては「アウトプットが明確ではない」というのは大きな問題です。基本的に目的やアウトプットは重視したほうがいいと思います。

一石二鳥のおすすめ会議 2選

――コミュニケーション自体を目的とした会議の「ほかのやり方」とは?
チャットアプリなどの普及により、社内でも実際に顔を合わせてのコミュニケーションが少なくなっているのが現状です。そこで「業務の改善」という意味でも、「コミュニケーションの促進」という意味でもうまくいく、おすすめの会議が2つあります。
「ノウハウ共有会議」は、各スタッフが持っている成功体験などを、チームで共有することが目的の会議です。ノウハウ共有はチャットなど文章だけで伝えようとするとたいへんですが、実際の会議の場ではすぐに共有することができます。
<ノウハウ共有会議のやり方>
毎回一人の発表者をアサイン。担当者は「Google プレゼンテーション」の1シートに1ノウハウを追加し、それをみんなで見ながら発表する。
数ヵ月もすればプレゼンテーションファイルには多数のシートが蓄積され、チーム内のさまざまなノウハウが確認できる貴重な資料が出来上がっていく。
「改善アイディア会議」は、日々の業務の中で生まれてくる「もっとこうすればいいのに」という改善アイディアを発表する会議です。改善アイディアは上長に進言しても、なんとなく「いいね」で終わりがちですが、それではもったいないですよね。毎日業務を5分間短縮できるアイディアがあったとして、それを部署のみんなが実行すれば、トータルで何十分や何時間も短縮することができます。
<改善アイディア会議のやり方>
「改善アイディア」を発表する場として会議を設定。自発的に発表したい人がいなければ、発表担当者を持ち回りで決め、毎回誰かしらが発表するようにする。
業務上の改善を生むだけではなく、改善アイディアを探しながら仕事をするということは、現在の仕事を客観視して、真剣に取り組むことにつながる。つまり、業務への意識を高める効果も同時に期待できる。
毎週の定例会議を隔週に設定し直し、「ノウハウ共有会議」と「改善アイディア会議」を、余ったスペースにそれぞれ月1で設定することをおすすめします。
――しかし、定例会議を半分に減らすことには弊害もあるのではないでしょうか?
Web上のツールを活用することで、会議を効率化することが重要です。そのために、Google スプレッドシートを使って議事録を作成します。
必ずしもGoogle スプレッドシートである必要はありませんが、ビジネスパーソンならほとんどの方が使ったことがあるはずなのでおすすめです。
<Google スプレッドシートによる議事録の作り方>
1. 使用するシートは1つだけ。
2. 会議の進行と同時に「日付」と「タスク内容」「担当者」、そして「期日」を1行に記載。
3. 会議後、担当者がタスク完了時にその旨をシートに記載。
Google スプレッドシートを活用して議事録を作れば、会議における仕事の進捗共有は終了します。Web上にスプレッドシートがありますので、会議をやらなくても進捗が確認でき、毎週対面で会議をする必要がなくなります。これによって、毎週開催していた定例会議を、隔週に減らすことができるようになります。
アウトプットや目的が明確になるという意味でもおすすめです。

将来的に「会議」は「待ち遠しい体験」になる?

――テクノロジーの進歩を生かし、従来の会議を効率化することで、不要な会議を減らすことができることがよくわかりました。今後は、さらなる技術の発展が見込まれますが、将来の会議はどのようになると思われますか?
リアルに人と会う会議は、もっと減らしていけると思います。現在もSkypeなどによるビデオ会議は可能ですが、今後はAR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった技術の進歩が見込まれます。「20年後には、通勤すらせず自室からVR世界のオフィスに出勤して、みんなと仕事をするようになる」という人もいるくらいです。
――会議だけではなく、実際に人と会う機会も減っていく可能性がある、と。
でも、私は「会議は絶対になくならない」と思っています。もちろん、技術が進歩すればVR上で集まって会議をすることに何の違和感もなくなるかもしれません。しかし、リアルで会って話すということは、その場を共有するということでもあります。例えば、VR上の会議では、参加者がいる現実の部屋はそれぞれ違います。そのため、肌で感じる部屋の気温や湿度、環境音といったものは、それぞれ異なってくるはずです。それは些細なことのようですが、圧倒的な情報量の差ともいえるのです。
――確かに、VRでも伝わらない情報というのは少なくない気がしますね。
もちろん、今後、多くの会議がテクノロジーの活用により効率化され、減っていくことが予想されます。しかし、人と実際に会うことは、不可欠なコミュニケーションです。今は「チャットでいいじゃん」なんて思っていても、将来的には「実際に人と会う会議」はプレミアムな待ち遠しい体験としてとらえられるようになるかもしれませんね。
Profile:押切 孝雄(おしきり たかお)
英国ロンドンサウスバンク大学(LSBU)大学院にて修士号MSc International Businessを修得し、日本に帰国後、Webサイト制作運営及びコンサルティングを行う株式会社カティサークを設立。大学・大学院での講義や、著作、セミナーを通じて、インターネットの有用な使い方を広めるエヴァンジェリスト。文京学院大学非常勤講師として「WEBマーケティング」講義などを担当。著書に「グーグル・マーケティング!」「グーグル会議術」(ともに技術評論社)、「実践!グーグルマーケティング」「YouTubeビジネス革命」(ともに毎日新聞社)など多数。

文・写真:坂上春希

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