会議は単語で話す。その一言がポイントなんです。【スマート会議術第40回】

会議は単語で話す。その一言がポイントなんです。【スマート会議術第40回】株式会社CHEERFUL 代表取締役 沖本るり子氏

「5分会議」™を提言し、多くの企業の生産性アップに貢献してきた株式会社CHEERFULの代表取締役・沖本るり子氏。

江崎グリコ株式会社に9年勤めた後、ソフト会社を経て、管財商社で30代前半で取締役となる。人材採用、教育・指導の経験を通じて、組織における人との関わり方の重要性に気づき、起業。

「だらだら、イライラ、まとまらない」ムダな会議を2500時間体験したことを生かし、会議、プレゼンテーション、リーダーシップ、コミュニケーション力などを向上させる独自の人財育成法「5分会議」™を開発した。

ちょっとした工夫で「できない」を「できる」に、「クセ」を「コツ」に変える、その画期的な思考法について、お話をうかがった。

目次

時間を短く切ることで脳を活性化させる

――「5分会議」™では、「脳を活性化させる」ことが重要だと提言されていますが、具体的にどのようにされるのですか。
脳の活性化は、時間を短く切るということです。順番に必ず一言ずつ言っていくから、脳は休む間もなくずっと動いているわけです。1人一言を絶対に言わないといけない。視点を変えることによって、脳はどんどん考えないといけない。人の話も全部聞いて書かなければいけない。書くときも、まとめて書かないといけないということです。話したり、聞いたり、書いたり、考えたりしないといけない。
――書くのは手書きが重要なのですか。
はい。パソコンは絶対に使わないんです。手で書くことが重要なので。話していることは全部書きます。急いで書かないと、意見が止まりますから。すごく早く書かないといけないんです。
――パソコンで入力するのと、何が一番違うのですか。
ペンを持って書くことが、脳に刺激を与えて活性化させることは、米国のさまざまな大学の研究でも発表されているんです。私は昔からそう思ってやっていたのですが、研究レポートなどを知って、改めて間違っていなかったと確信しました。だから、絶対に「書いて」って言っています。いま、仕事はパソコンが中心になってペンで書かない人が多いんです。書くとなると、みんな結構緊張して、神経をすごく使う。逆に書く機会が会議ぐらいしかないんです。「漢字じゃなくていい」というルールにもしています。漢字を思い出そうとして止まってしまうと、次に意見を言いたいのに忘れちゃいますよね。だから、ひらがなやカタカナでいいので、とにかく早く書くようにトレーニングします。きれいに丁寧に書かなくてもいい。スピーディーにやることで、脳の活性化がどんどんできるんです。

資料も会議も質より量を評価する日本の悪習

――セミナーのあと、参加者からどのような反応がありますか。
「セミナーのあと、どうでした?」ってお客様に聞くと、よく会議だけでなく、営業でもうまく生かせているという話を聞きます。
――営業でどういう生かし方をしているのですか。
たとえば営業先で打合せをしますよね。その営業のやり方を変えることができたって言うんです。打合せも会議だと捉えてもらえるので。営業に行って、いろいろな視点で聞くとか。それもちゃんとお客様の前で聞いたことを紙に書くとか。普通は話を聞いたら、みんな自分でメモをしますよね。それをお客様に見えるようにしてメモするんです。話をまとめて、そこでそのままメモを渡すんです。
――ホワイトボードを使って営業をすることはあると思いますが、メモを使うのは意外な発想ですね。
ホワイトボードでは量として足りないんです。ワークショップでは基本的にホワイトボードは使わないんです。いくら壁一面にあっても足りないので。ホワイトボードには、時間とか目的とか目標を書くぐらいです。膨大な量の意見が出るので。模造紙に手書きで書くと、やっている充実感もあるし。これも全部議事録になるんです。手書きでメモをする習慣が、営業でも生かされているということですね。
また、会議ではパワーポイントも使わないように言っています。そこでまた、ワンクッション、労力を使わないということです。会議のために資料を作り込んでくること自体がムダなんです。会議のためのムダな作業をしないということです。
資料を作ったとしても、それを会議で読む必要なんてないですよね。事前に配布して読めばいい。配布もそんなに山ほどいらない。A4用紙1枚にまとめないと、そもそも読まれないです。
――なぜ作ってしまうのですか。
「やりました」というのを見せたいんです。「目方でドン!」が評価されるんです。たとえば私自身、お客様に企画書を作ってと言われたとき、1枚にまとめて出したことがあるんです。すると、いろいろな人から「たった1枚?」って言われて。「目方でドン!なんで」って(笑)。「え!? 1枚にまとめるのが大変だったのに、わざわざ大量にするの?」って。だから、大きい文字にしてムダに文章をダラダラと。どうせ見ないでしょって。でも「目方」って言うから。ムダな作業をしましたよ(笑)。本当は1枚にまとめるほうが大変なんだけど。でも、山ほどあればそれで満足する。

会議は「落としどころ」ではなく、「上げどころ」を見つける

――ムダに長い資料にムダに長い会議あり、ですね。
私は「会議は単語で話せ」と、いつも言っています。「長い文章はいらないから、単語で、一言でどういうことですか?」って。その一言がポイントなんです。日本特有の遠回しな言い方や長い話だと、要点は何だ?ってなるんです。だから、「一言で言ってくれ」って言うんです。
――それは、トレーニングして慣れないとなかなか難しそうですね。
でも、「単語で」って言うと、わりとできますよ。そもそも書く人が、一言で言ってくれないと書けないですから。順番に回すと気づくわけです。一言で言ってくれないとメモできないと。
5分単位で、ぐるぐる回ってくると、何回も回ってくるから、すぐ慣れて一言になっていきます。しりとりゲームと一緒だと思います。とにかく発言するのが重要ですから。いままで全然しゃべれなかった人も、一言だけだったら、単語だけなら言えるっていうことです。何か意見を言って、この理由とか背景とかを言わなきゃいけないと思うから、みんな言えなくなるんです。
もう1つ、何か意見を言ったら、やっぱり、みんな自分の意見を通そうとします。たいていの会議では、A案とB案が出たら、どっちにするかで決まるんです。もっと改善したA案にしたいってならない。「私が出した意見だから、これがいいんだ」って。このA案で通すと、評価がA案を出した人につくってなるから、みんな、自分の意見がとにかくいいんだって、悪いところを全部隠すようになるんです。
「落としどころ」を見つける会議ではなくて、「上げどころ」を見つける会議にしてください」と、いつも言っているんです。A案とB案があったら、A案でもB案でもなくて、C案でいい。さらにいい案が出てきたらいいのが会議なんです。こうすると、誰かが何かを順番にA案、B案、C案って言っているうちに、決まったときには、全然違うD案になっていることもあるんです。
――みんなが触媒になって化学反応が起きればいいですよね。
最終的にみんなで作り上げた結果になれば、実行力がすごく上がるんです。同じ決定事項でも、社長が「これをやれ」って言ったことと、実行力が全然違うと言われます。自分が決めたんだっていうのがすごくあるみたいです。だから、「動くようになった」って言われます。「やれ」って言われたのと、自分でやるのとは、全然違うんですね。

教育現場からの改革が必要

――社会人だけでなく、教育の現場でも「5分会議」™のセミナーをされていますが、社会人と違う内容になるのですか。
同じです。やはり「発言ができた」ということが最大の収穫になりますね。たぶん、いつも大人しい子だと思うんですが、セミナー後の感想文で「いつもいいことを言おうと思うと、何もしゃべれないけど、今回初めて意見を言えました」って書いてあったんです。また学級委員の生徒が「いつもしゃべらない子がしゃべってくれた。こういうやり方を早く知っていれば良かった」っていうのがありましたね。
――学校教育でもっと、そういう授業をやるべきですね。
そうですね。私は小学校からやってほしいなと思っています。小学校って学級会があるので、学級会で学んでもらいたいと思うんです。前に、それを講演会で話したら、学校の先生に「いまはうまくやっていますから大丈夫です」って言われましたが。本当かな?って思いますけどね(笑)。 
――発言のフラット化は、学校のいじめや会社のパワハラの撲滅にも役立ちそうな気がします。
そう思います。だって、「この人の意見が悪い」とか「この人が悪い」とかって、いじめですから。私のやり方は「この人が悪い」とか、対立はないんです。だったら、絶対にいじめはないはずなので。だから学級会に取り入れてほしいなと思っているんです。
――全然しゃべらない子はいじめの対象になりがちですよね。
対象になります。そもそもいまの学級会のやり方が違うなと思っているんです。その延長線上で会社の会議でもそうなっている。そういう悪習が根づいている。他者を認める力や発言力を身につける教育は必要です。教育現場ですぐに変えてほしいですね。
――今後、もっと展開していきたいと考えていることがあればお教えください。
やっぱり子どもからの教育ですね。もちろん社会人も重要だけど、子どものときからやっていれば、社会人がわざわざ学ばなくてもいいので。やはりコミュニケーションの仕方がわからないことが最大の問題だと思います。学校で学級会をするなら、このやり方さえ変えてくれればいいなと。そこに働きかけができたらいいとは思っています。

文・鈴木涼太
写真・佐坂和也

沖本 るり子(おきもと るりこ) 株式会社CHEERFUL
「5分会議」™を活用した人材人財育成家。1分トークコンサルタント。会議、プレゼン、リーダー、コミュニケーション力などを向上させる「5分会議で人財育成」を開発。著書に『生産性アップ!短時間で成果が上がるミーティングと会議』(明日香出版社)、『リーダーは会議で姿を消せ!』(ぱる出版)、『出るのが楽しくなる 会議の鉄則』(マガジンハウス)など多数。

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