会議は自分の価値を表現するステージ【スマート会議術第41回】

会議は自分の価値を表現するステージ【スマート会議術第41回】CRMダイレクト株式会社 代表取締役社長 横田 伊佐男 氏

数多くの企業に経営コンサルティングをしてきたカリスマコンサルタントの横田伊佐男氏。これまで数千の会議に参加、講師やファシリテーターなどを担当し、「会議術」のプロとして高い評価を得る。そんな横田氏が、自身の経験を通して紡ぎ出した会議術とは? そのエッセンスが詰まった著書『ムダゼロ会議術』を中心にお話を伺った。

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ステージという意識がなければ、チャンスを逃してしまう

――著書『ムダゼロ会議術』で、「会議が変わると仕事が変わる。仕事が変わると人生が変わる」というメッセージを掲げていますが、どんな意味が込められているのですか。
「会議が変わると仕事が変わる。仕事が変わると人生が変わる」は、私自身の体験でもあるんです。良い会議をするために大切なことは2つあります。1つは多様な視点を持つこと。もう1つは、会議は参加する人にとってステージであることです。
会議が人に見られるステージというのは、会議が常にチャンスの場でもあるということです。そこに参加する人は、いつでも仕事を広げたり、出世したりするチャンスがある。でも、ステージという意識がなければ、その人生の大きなチャンスを逃してしまう。それが「会議が変わると仕事が変わる。仕事が変わると人生が変わる」に込めた意味です。そういうことを問題意識として持っていました。

会議をダメにする「3大モンスター」

――せっかくのステージを台無しにする要因があるとすれば、それは何ですか。
会議を邪魔する人たちを、私は「3大モンスター」という定義をしています。まず若い人たちに多いのが、発言をしない「無口モンスター」。会議の主旨がわからなかったり、自分の仕事から遠かったりすることから無口になっていく。20代の人には、まずは質問を投げかけるようにアドバイスをしています。
ただ、会議は会議を引っ張る議長と、参加するメンバーの両者に分かれます。議長の取り回し次第で、メンバーも変わっていくのです。若い人が質問をする努力をしながらも、引っ張る議長にも若手を生かす力量を上げてもらうのが、会議を効率的に行う特効薬かと思っています。
2つ目のモンスターは、30代の中堅に多い「曖昧モンスター」。現場のことをよく知っている30代の中堅の人が、結論を曖昧にして、そのまま「白黒」つけない。
――「曖昧モンスター」が「白黒」つけないというのは、責任から逃げているということですか。
そうです。会議後は「誰が、何を、いつまでに」というアクションがないと意味がない。本来は30代の人が一番アクティブに提言ができて、実行力も持っているんです。問題はそういう人たちが、むにゃむにゃとしたまま終わってしまうこと。ボヤキばかりが多くなってしまうところですね。
――「やれって言えばやりますけど…」という人は多いですね。
そうです。その年代が「今日話したことの結論は何でしょうか?」とか、「これはいつまでにやっていきましょうか?」とか、「次回の積み残しは何でしょうか?」とか、最後の1分ぐらいで手を挙げていくようなことがあれば、グッと変わってくるのです。それができる中堅がやらない。ここを「曖昧モンスター」として位置づけています。
3つ目は、年配の50代以上に結構多い「枝好きモンスター」。話が本題からどんどん逸れていってしまう。引き出しが多いゆえに思いついたことをダラダラと話し出す。多くの企業の会議に出て、受講生の悩みを聞くと、この3大モンスターが会議を阻害する要因だとわかります。

会議がうまくいかない「3つの欠如」

――著書でご指摘されている「時間が長い、内容が薄い、何も決まらない、発言がない」という会議の4つの悩みが起こる主な原因は何でしょうか。
主な原因は3つあります。1つは、何を話していくかという、ゴールから逆算力を働かせることの欠如。2つ目は、シナリオ作りのファシリテーションの欠如。3つ目は、結論をどう次に生かしていくかという執念の欠如。この3つの欠如が、4つの悩みが起こることの要因だと分析をしています。
この3つの欠如が起こる原因は、準備不足に尽きると思っています。つまり、何を話していくか、どのメンバーが参加するかという会議前の準備です。会議開始前の5分でも10分でも、少しでも想定できているかどうかで、その4つの悩みが見事に解消していくんです。
――具体的にどこから、何を、どう準備すればよいのですか。
「誰とやるか」と「何を考えるか」という2つがあります。特に「何を考えるか」が非常に重要です。
たとえば会議で議題を出してもらうと、たいていの方が「~について」という議題を挙げます。そこで私は、「会議の議題に『?』をつけて疑問文にしなさい」と言っています。何かの問いに対して、全員の目線で答えを出すというのが会議でもあるのです。必ず「?」にしておきなさいということを、一番重要な対策として挙げています。
議題を「~について」にすると、それに対してアプローチの仕方が各自バラバラになってしまうんです。アプローチのポイントを絞るという意味でも、「キレのある質問をしていくことを、会議前の準備としては最初に考えなさい」と言っています。それが短く濃い「筋肉質な会議」にする第一歩になると思います。会議の議題に「?」をつけて、問いを出すような仕掛けをすることが大事です。

Never Say No!(決してノーと言うな)

――会議を活性化するために「Never Say No!」が大切だというお話がありました。なぜ「ノー」を言ってはいけないのですか。
アイデア出しや参画意欲は、「ノー」に弱いんです。会議では寛大な気持ちで、無意味だと思われる質問も受け入れます。そこから徐々に、良い質問を待つのが、1つの処方箋だと考えています。
「アホな質問するな!」と、その芽を潰さないで、丁寧に許容していく。場数をこなせば磨かれてくるので、成長を待ってあげる。たとえば自社と世間を比べて、自社の常識と世間の非常識、世間の常識と自社の非常識を比較して突くようなところから慣れさせていきます。初めに寛容と忍耐。質問力を上げる教育をセットにしてやっていくと、会議に参加する若手の会議力が伸びていくと思います。
大前提としてそうですね。それで意見が出やすくなる環境にしながら、「質問はすごく良かった」「もっと質問をしてほしい。ただ、質を上げてほしい」と言います。具体的には、「わが社と君の知る友人の話や他の会社と比較した質問をしてほしい」とアドバイスしてあげることが大事だと思います。
比較をしていなければ、「それは何と何を比較した質問なの?」と返していくと、だんだん良い質問ができるようになります。

会議に欠かせない「What」「Why」「How」の段取り

――会議が迷走しないためにはどういう段取りを踏めばいいですか。
迷走は、ゴールを決めていないことから起こります。そしてゴールに辿り着くためには「What(問題点)」「Why(要因)」「How(解決策)」の3つの疑問を押さえる必要があります。問題を解決していく前に、問題点は何かという議論と、問題の要因は何かという議論、そしてその要因を解決するための対策の3つに分かれます。その3つのどこを突くのかで、質問や論点の質が変わってきます。そこを見極めるために「What(問題点)」「Why(要因)」「How(解決策)」を押さえることが不可欠なのです。
私たちがお腹が痛くて病院に行くとき、医師はまずお腹が痛い原因が胃痛なのか盲腸なのか「What(問題点)」を探ります。それから食べ過ぎただけなのか、いつからどんな症状が出たのか「Why(要因)」を調べる。そして、薬で済むのか手術が必要なのか「How(解決策)」を考える。
病院や医師は人の命が関わることだから必ずそういう段取りを踏んでやっている。ただ、ビジネスの場合は、いきなり手法の「How(解決策)」、手術にいくことが多い。「How(解決策)」が一番見えやすいし、言いやすいからです。ビジネスはスピーディーに動かなければいけないので、いきなり「How(解決策)」を求める傾向があるんです。でも、問題も要因も特定されずに、「How(解決策)」の処方論を論じても、水掛け論になってしまう場合があるのです。
そこを医療にたとえて、「どこが痛い」という患部を特定「What(問題点)」すること、レントゲンとか検査で検証「Why(要因)」すること、手術「How(解決策)」することに分けるのです。それが会議で迷走しないために必要な段取りですね。

議論はできるだけ膨らませて、マトリクスにして可視化する

――会議で議論が盛り上がっても、そのままで終わってしまうことも多いと思います。うまく結論にまとめる方法はありますか。
議論を膨らませたら、必ずセットでたたむ時間をとることが大切です。たたむところは、それまでにいくつか出た意見を付箋などで可視化させておくといいと思います。発言された内容を縦横の軸でマトリクスにして、点と点をつなぐような仕掛けで可視化します。意見は膨大になりすぎるぐらい膨らませていいと思います。
――マトリクスの軸を何にするかは、議題によって変わってきますよね。
軸を何にするかは、会議中に臨機応変に設定できればいいですが、即興ではなかなか難しいと思います。
たとえば「できること・できないこと」「やりたいこと・やりたくないこと」「実現が困難か・やさしいか」「インパクトが大きいか・小さいか」などで取捨選択していくと、レバレッジ(てこ入れ)エリアと断捨離エリアに分かれてきます。
出展:横田伊佐男(2018)『ムダゼロ会議術』(日経BP社)
レバレッジ(てこ入れ)エリアに、2つ3つ出るだけでも上出来だと思います。そこを狙っていくためには、とにかく量を出す。たたむスキルは、簡単なマトリクスとか線引きで分けていくことで整理されていくんです。1つのエリアの中に集中して残ったものを、みんながいる前で、優先順位で並べ替えられると、納得感が非常に高まってきます。
それだけで、たたみ方のファシリテーションスキルは上がります。たたむプロセスをみんなで一緒に見ていくことが大切ですね。議長だけが絞り方を担うのではなく、みんなと一緒に絞っていくというのがコツです。
――マトリクスで可視化するためには、ホワイトボードや付箋の果たす役割も大きいですね。
会議室で求められる一番重要なツールはホワイトボードだと思っています。ホワイトボードが1台あるかどうか。この面積が大きいか小さいかで、会議が非常に変わってくると思います。
人間は情報のほとんどを目から受け取るので、下を向かせない、話だけで終わらせない。視覚効果を与えるだけで、運営が大きく変わってくるんです。そういう意味では、「見える化」することが非常に重要になってくる。付箋を使ったり、ホワイトボードで図式化をしたりすることを共有できる点でリアルな会議に勝るものはないと思っています。まずはホワイトボードと付箋ですね。可視化することで、全員の意見が絞られていきます。10分程度でも合意形成ができるツールとして、一番パワフルかと思います。
横田 伊佐男(よこた いさお)
横浜国立大学大学院博士課程前期経営学(MBA)修了。シティグループ、ベネッセグループにて、マーケティング部門・コンサルティング部門の責任者を歴任。大手企業でのコンサルティング経験を体系化し、2008年にCRMダイレクト株式会社(https://crm-direct.com/)を設立。横浜国立大学客員講師。横浜国立大学成長戦略研究センター研究員。主な著書に『ムダゼロ会議術』(日経BP社)、『最強のコピーライティングバイブル』(ダイヤモンド社) 、『一流の人はなぜ、A3ノートを使うのか?』(学研パブリッシング)など多数。

文・鈴木涼太
写真・佐坂和也

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