“ダラダラ会議”を一瞬で解消する習慣【スマート会議術第47回】

“ダラダラ会議”を一瞬で解消する習慣【スマート会議術第47回】株式会社アンカリング・イノベーション 代表取締役 大平 信孝 氏

「最新脳科学」と「アドラー心理学*」を組み合わせた独自の目標実現法を使い、メンタルコーチとして活躍する大平信孝氏。

その卓越したアプローチで、これまで1万人以上のリーダーの部下育成に関する悩みを解決し、スポーツ選手、トップモデル、経営者など各界で活躍する人々をサポート。また、部下育成のためのメソッドを体得できる「行動イノベーションアカデミー」を運営する。

『ダラダラ気分を一瞬で変える 小さな習慣』の著書でもある大平信孝氏に、“ダラダラ会議”が起こる原因と、そこから脱却する方法についてお話を伺った。

*アルフレッド・アドラー
オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家。フロイトやユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した。

目次

当事者意識と目的意識の欠如が生む“ダラダラ会議”

――“ダラダラ会議”が起こる主な原因は何だと考えますか。
端的に言うと2つあります。1つは参加者に当事者意識が欠けていること。「この会議が自分にとって意味があるのか、そうでないのか」が曖昧な会議が多い。「とりあえず出ておいて」と言われる会議などはその典型ですね。人はできるだけ自分と関係ない仕事は抱えたくない。下手に積極的に発言しても、また何か余計な仕事が降ってくる。自分は会議に関係しているんだ、という意識が薄いまま参加している。
もう1つは、目的意識の欠如。何のための会議なのかが、明確であれば早く終わるし、参加しやすい。「そもそも何のための会議なのか?」、ぼんやりしている会議だと、前向きに参加する意欲も出ない。何を発言したらいいのかも、不明確になってしまう。当事者意識と目的意識。この2つが欠如していると会議がダラダラしてしまうんです。
――なぜ当事者意識と目的意識が欠如してしまうのですか。
会議を招集する側が明確にしていないことが原因です。特に大きな会社になると調整が優先され、本会議のための準備会議、その準備会議のためのプレミーティングのように、「会議ばっかりやっています」という人も結構多いんです。
――マトリョーシカみたいですね(笑)。
形式的な会議が多いということです。そこは責任ある立場の方がしっかり削っていく必要があると思います。そういう形式的な会議をするのが仕事だと思い込んでいる人が少なからずいるのが現状です。
これからは変化の時代です。いろいろな変化への対応策を実質的に考えていく必要があります。形式的な会議をやっている場合じゃないんです。機能させていかないといけない。偉い人が一方的に偉そうなことを言って決めて、それで進んでいく時代ではないのです。会議は、若い人をもっと巻き込んで一体感を持って進んでいくことがさらに重要になってきます。

役割分担でマンネリ会議を打破する

――当事者意識と目的意識があっても、定例会議はどうしてもマンネリ化してきます。マンネリ化を防ぐにはどうすればよいですか。
簡単なのは役割分担をすることです。司会役と書記とタイムキーパーとか。そういう細かく分けた1つの役割なら新人でもできます。リーダークラスが司会をやることがわりと多いと思いますが、リーダーは顧問的な立場でいればいい。最後に一言まとめるだけで終わり、みたいな役割でもいいのです。
参加者全員が交代で司会を回して当事者意識を促します。若い人は黙ってただ座っているだけだと、会議トラウマになってしまいます。「会議嫌だなあ。つまんないし、怒られるし」って。それよりは、自分が参加している、貢献しているという意識をできるだけ全員が持ったほうがいいと思います。
たとえばアジェンダ別に5分、10分と決めておいてもいいですよね。時間になったらタイムキーパーが「時間がきました」と言う。あとは、それをしっかりメモをする人、司会進行役。そうやって役割を分けることで当事者意識は芽生えます。
その役割を全部リーダー一人でやってしまっていることが結構多いのです。そうすると、リーダーだけがどんどん経験値を積んでいって、他の人はみんなシーンとしていることになる。だから、会議が形式にならないためにも、参加者の役割を散らばらせることは大切です。ダメな人がいつもダメな人として、ポジションが決まってしまう。それを壊していったほうがいいい。あまりにも場が硬直したら、本来のリーダーが割って入ればいい。新人だろうがベテランだろうが、誰が司会をしても一定のクオリティの会議ができるほうがいいと思います。定例こそ変化を出すべきです。

ダラダラ会議から脱出する緊張スイッチ

――会議がダラダラしないための心がけがあればお教えください。
会議をダラダラさせないための方法として、「タカメル」「キリカエル」の緊張スイッチがあります。
緊張度をタカメルために、まずしっかりと制限時間を設けます。「この会議はこういうことを決める目的でスタートします。時間は20分です」というカタチで最初に決めてしまう。
あえて目的を絞るということです。「あれもこれも」ではなくて、「この20分の会議では、このテーマでアイデアをまとめたいから協力してほしい」とスタートする。そして、できればストップウォッチを用意する。よーいどん!でスタートして、20分ぐらいなら、みんな緊張感を持って集中できますので。
――ストップウォッチがあると確かに緊張しそうですね。
ストップウォッチはすごくお勧めです。私も研修やワークショップは、ストップウォッチは必須なんです。商売道具なので5つぐらい持っていますが、ストップウォッチは日常生活でも結構使えますよ。家で部屋を片づけ始めようと思っても、気づいたらテレビを観ていたり、ネットサーフィンしていたり、ダラダラしちゃうことはありますよね。でも、ストップウォッチで5分単位に区切っておけば、やるべきことにすぐ戻れるんです。
もう1つは、密着取材を受けているようなシチュエーションを設定してみる。たとえば、会議で「今日『情熱大陸』の取材が来ている」つもりで会議をする。ちょっとした遊び心ですが、そうするだけで発言をちょっとカッコつけてみたり、粋なことを言おうとしたりなどと変わってきます。取材でも、レコーダーを机に置いておくより、マイクを目の前に突きつけられたほうが緊張しますよね。そのほうが緊張して、「それなりのことを話さなきゃ」という気持ちになりますからね。
そして、「キリカエル」。たとえば席替えをしてみる。少し長めの会議だったら、部屋を変えてもいいです。ウォルト・ディズニーは、1つの企画をまとめるときに会議の部屋を3つに分けていたそうです。「ドリーマーの部屋間」ではひたすら夢や理想を語り、制約は一度脇においてアイデアを出し続ける。「クリティクスの間」は鋭く問題点を指摘し、厳しめに、重箱の隅をつつくような批判的な見方をする。「リアリストの部屋間」では、夢を具体化し、現実的なのはどこかという落としどころを考えることに全力を尽くす。そうやって、空間で分けるという方法もあります。
あとは、空間を変えるのは制約があって難しいという場合は、席替えをするだけでもいいです。人は習慣の動物なので、いつも同じ席に座ってしまいます。定例会議をすると、座る場所がいつの間にか固定してきますが、あえてそれを崩す。最初はいつもの席に座っても「30分経ったので、後半は席替えしましょう」と。そうすると、景色が変わる。視覚効果が与える影響も大きいので、マンネリ化を防ぐには有効です。

安心安全な会議が生産性を高める

――日本人は批判や反論をすると、意見に対してではなく、人格攻撃になりやすいですよね。
会議が安心安全な場であることがすごく大事だと思います。人格攻撃されてしまうような場だと、自分の本音が言えなくなる。いくらいいアイデアを思いついても、自分の内側に閉じ込めてしまう。「お前のそのアイデアはおかしいよ」って言われる雰囲気だと、何も言えなくなってしまうので。
でもそれは、ちょっとしたコミュニケーションの工夫でどうにでもなる問題です。「お前のその意見は〇〇だ」と言うと傷ついちゃうんです。これをYou(あなた)メッセージと言います。これをYou(あなた)メッセージでなく、I(私)メッセージにします。「あなたはこうだ」と言うと相手が傷つくので、「いまの意見は、私はこういうふうに感じたよ」と言う。そうすると相手は、「あ、自分が悪いんじゃなくて、〇〇さんは、私の意見に対してそう思ったんですね」と安心する。言われた側としては自分が責められたわけじゃないと受け止められるんです。特に役職が上の方というか、リードする側が気をつけることで、場がどんどん安心安全な場に近づいていく。
会議が終わったあとにどういう状態になっているかがすごく重要なんです。終わったあとに、みんなが疲れてモチベーションも下がっているようだったら、その会議はやらないほうがいい。終わったあとに、何かしらの目的や方向性がはっきりして、よりアクションプランなどが明確になっている状態。かつ、モチベーションが上がっている状態がいい会議だと思うんです。
――終わったあとの状態は重要なんですね。
重要です。だから、会議の責任を持った人が、会議が終わったあとにどういった終わり方をしたいのか、参加したメンバーにどういう状態になってもらいたいのかをイメージすれば、会議は必ずいい方向にいくと思います。でも、そこが抜けて、なんとなく必要そうだからと形式的に開くと、全然そこまで思いが至らない。「最高のアウトプットをイメージする」ということです。どういう状態になるといいのかをイメージすることが、その会議をオーガナイズする人にとって、すごく大事なポイントになります。
大平 信孝(おおひら のぶたか)
株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役。目標実現の専門家・メンタルコーチ。中央大学卒業。「最新脳科学」と「アドラー心理学」を組み合わせた、独自の目標実現法を「行動イノベーション」として開発。数多くのリーダーに、研修、講演、個人サポートを提供している。これまでサポートしてきた企業は、IT、通信教育、商社、医療、美容、小売りなど40以上の業種にわたる。主な著書に『ダラダラ気分を一瞬で変える 小さな習慣』(サンクチュアリ出版)、『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』(かんき出版)、『先延ばしは1冊のノートでなくなる』(大和書房 )など多数。

文・鈴木涼太
写真・佐坂和也

撮影協力(会議室提供)
日本スチールケース株式会社
https://www.steelcase.com/asia-ja/
株式会社ワークプレスソリューションズ
https://www.wsi.jp/

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