会議は未来を話す場である【スマート会議第48回】

会議は未来を話す場である【スマート会議第48回】株式会社アンカリング・イノベーション 代表取締役 大平 信孝 氏

「最新脳科学」と「アドラー心理学*」を組み合わせた独自の目標実現法を使い、メンタルコーチとして活躍する大平信孝氏。

その卓越したアプローチによって、スポーツ選手、トップモデル、経営者など各界で活躍する人々をサポート。また、部下育成のためのメソッドを使った「行動イノベーションアカデミー」を運営する。

これまで1万人以上のリーダーの部下育成に関する悩みを解決してきた大平信孝氏に、会議を通した社員の育成方法についてお話を伺った。

*アルフレッド・アドラー
オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家。フロイトやユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した。

目次

何を言ったかではなく、どう伝わったか

――日本の社員育成は「ダメ出し」が基本になっていることが多い気がします。
最初から「ダメだ、ダメだ」と否定されると、「俺ってマイナスなの?」と、できている部分さえも自信をなくしてしまいます。そうすると、もう辞めたくなるか、逆ギレするしかない。「じゃあ、お前やってみろ!」ってなっちゃうんです。だから、できているところを指摘したうえで、「より良くするための作戦会議をしよう」というスタイルにしないと、なかなか伝わりません。
批判するのは簡単だし、ダメ出しするのが指導だというリーダーの思い込みがありますね。でもコミュニケーションの成果は、何を言ったかではなく、どう伝わったかなんです。「言っただろ!」っていうのはビジネスシーンでよく聞くのですが、それは単に言っただけ。言ったことを相手がしっかりキャッチして行動に移さないと意味がない。でも、ただ「言っただろ!」で終わっていることが多いのです。いきなりダメ出しされると萎縮して、そのあと動けなくなるのです。
リーダー側からすると、萎縮して動いてもらえないわけですから、その「言っただろ!」という発言はまったく意味がない。いろいろなビジネスシーンで大きなボタンの掛け違いがあるかなと思います。良かれと思ってやっているところに根深い問題がある。
――年配者の経験による上意下達だけでは通用しない時代になっているということですか。
いままでは何かしら正解がある時代でした。こうすればこうなっていくという、ある程度の方程式があった。そして、右肩上がりのフィールドの中で、正解がある程度固定化した時代だったんです。その方程式でコミュニケーションが成立していたと思うんです。でも、これからは正解がどんどん変わっていく時代。テクノロジーの進化などでどんどん状況が目まぐるしく変わっていく。 
刻一刻と変わっていく中で、全員参加で現場のちょっとした変化、動きを取り入れながら全員でやっていくようなボトムアップ型に切り替えていかないと、変化に対応しきれない。上意下達で「ダメだ、ダメだ」だけを言っている場合じゃないと思います。
原因追究も、もちろん大事ですが、それと同じぐらいの時間を未来の構想に使うべきです。本当は、どうしたらもっと良くなるかとか、理想を語る時間をもっと増やしたほうがいいと思います。そのほうが最適解も早く見つかります。

部下を育てるピグマリオン効果

――会議においてリーダーはどんなことを心がけるべきですか。
「こいつダメだ」と思われるより、「こいつすごい」という期待をかけられると、人は期待された相応の努力をします。心理学用語でピグマリオン効果というのですが、「すごい成長株なんだ」とか、「今日集まってくれたメンバーはすごいいいアイデアを出してくれる」と期待するんです。それは口にせずとも、会議をリードする側がそういう思いを持つだけでも結果が変わってきます。「どうせダメだよ、このメンバーじゃ」というのとは、雲泥の差が出てきます。
リーダーの仕事は、場づくりです。場の空気をいかに安心安全、かつ期待を込めた場にするか。「この場ではなんでも自由に話せるんだ」という空気感をつくれれば成功だと思ってよいでしょう。
場づくりは自分も研修やワークショップで大事にしていることですが、安心安全な場をつくると本音が出るんです。本音で話せた時間が長ければ長いほど、その会議が終わったあとでのパフォーマンスは上がります。建前ばかり言っていたら、それは行動につながらない。本音ベースで、「ここは本当に頑張りたいです」とか、「こんな思いで、いま企画提案しているんです」とか、それぞれの本音や思いを話せる時間が多ければ多いほど、その会議が終わったあとにもよい影響が残ります。

退屈な会議を「リフレーミング」で解消する

――若い人にとっては、「出席させられている会議」を自分でコントロールするのは難しくありませんか。
そうですね。どうしても、上司から言われて仕方なく参加しているケースは多いと思います。そういうときは、「リフレーミング」という、与えられた時間の意味を捉え直すことをお勧めしています。
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――「リフレーミング」とは、具体的にどのように意味を捉え直すのですか。
会議は、「この時間面倒くさいな」という、拘束時間という捉え方ではなく、余計な邪魔が入らない「まとまった時間」だと捉えることもできます。会議に議題があったら、その議題に関して改めて「自分ならどうするか」と考える時間だと捉えます。「意外にまとまった時間なんだ」と捉えて、いろいろと考えを巡らせる時間にしてしまう。
――それは会議を無視して、自分のすべきことをすればいいということですか。
いえ。自分ゴトに捉えるということです。ただ「この会議はムダだ」と放り投げてしまうわけではありません。今日参加しているメンバーを見て、「それぞれ依頼されていることは全部終わっているかな」「〇〇さんにこれをお願いしてみよう」と、自分ゴトの未完了項目をチェックする。そうすることで、少しはダラダラからは出られますよね。ただ、「つまんねえな、早く終わらないかな」っていうよりはベターな時間になります。
それは自分でコントロールできる部分です。会議の捉え方は自分の自由です。会議の進行とか、「指されたら意見を言わなきゃいけない」などは、なかなか自由にならないですよね。しかし、会議の1時間なり2時間なりの時間をどう処していくか、どう意味付けし対応していくかは完全に自分の自由という捉え方です。

会議は飲み屋のように本音で語るべき

――「日本人は会議で本音を言わず、飲み屋で本音を語る」と、あるアメリカ人のコンサルタントの方が言っていました。
飲み会で語ることを、本来は会議で言ってほしいですよね。時間差なく。会議がまだまだ安心安全な場ではないということですよね。発言権のある人しか発言してはいけない暗黙の了解がある。本音が出せる空気感があればいいのですが、実際は進捗管理や原因追究の会議が多い。「なんでこれができていないんだ?」という、何かしらの現象についての過去ばかり扱う。「なんでこういう事態が起こってしまったんだ? 原因は何だ? 犯人は誰だ?」みたいな。原因追究はもちろん大事です。でも、「誰でもここは参加した人は自由に発言できるんだよ」という前提が必要なんです。
――大平さんが考えるスマート会議とは、どんな会議でしょうか。
前回もお話したとおり、当事者意識と目的意識を持った会議です。あとは、終わったあとにメンバーの表情が明るいこと。短い時間でも、目的がしっかり達成できている会議です。参加したメンバーの思いが共有できたり、新しいアイデアが出たり、いままで話せていなかった盲点に気づけたりしたら、ものすごく大きな成果です。
「どうやったらもっと良くなるのか?」「我が社はどういう方向を目指していったらいいのだろうか?」という未来思考の話をする。数値目標だけでなく、ビジョンやアイデアを含めた実質的な未来について話すのです。
これからの時代、もっと未来を話していくことが、新しい会議の姿になっていくでしょう。過去がどうこうというより、新しい未来をどんどんつくっていくフェーズにいまは入っているからです。会議が終わったあとにスイッチが入っていたら最高ですね。やる気スイッチ、行動スイッチです。終わったあとにモチベーションが上がっていて、自分のやることが明確になっている。それがスマート会議ではないでしょうか。
大平 信孝(おおひら のぶたか)
株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役。目標実現の専門家・メンタルコーチ。中央大学卒業。「最新脳科学」と「アドラー心理学」を組み合わせた、独自の目標実現法を「行動イノベーション」として開発。数多くのリーダーに、研修、講演、個人サポートを提供している。これまでサポートしてきた企業は、IT、通信教育、商社、医療、美容、小売りなど40以上の業種にわたる。主な著書に『ダラダラ気分を一瞬で変える 小さな習慣』(サンクチュアリ出版)、『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』(かんき出版)、『先延ばしは1冊のノートでなくなる』(大和書房 )など多数。

文・鈴木涼太
写真・佐坂和也

撮影協力(会議室提供)
日本スチールケース株式会社
https://www.steelcase.com/asia-ja/
株式会社ワークプレスソリューションズ
https://www.wsi.jp/

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