働いている私たちが「Play fashion!」を体現しないと、お客さまにも伝わらない【スマート会議術第111回】

働いている私たちが「Play fashion!」を体現しないと、お客さまにも伝わらない【スマート会議術第111回】株式会社アダストリア 広報・IR室 佐田楠都子氏

「GLOBAL WORK」「niko and ...」や「LOWRYS FARM」「studio CLIP」などのアパレルブランドをグループで約20以上運営し、国内外の1400店舗を展開するアダストリア。主にアパレルを中心に展開しているが、最近は飲食事業やスポーツウエアにも力を入れ、ヨガなどのスタジオの運営も行っている。

そんなファッション業界の最先端を走るアダストリアは、いまテレビ会議やリモートワークも積極的に取り入れながらも、再開発真っ只中の渋谷を拠点に、あえて「通勤したくなるオフィス」づくりに注力している。たとえば、フロア一面に広がるカフェは東京都心が一望でき、食事はもちろん、雑談や休憩、打ち合わせやイベントなどさまざまな用途で使われ、社員が心にゆとりをもてることを第一にデザインされた空間だ。

そこはまさにアダストリアが掲げる「Play fashion!」という企業理念に裏打ちされた職場空間だ。

いわゆる“コロナショック”を機に、リモートワークやテレワークの必要性も叫ばれる今日、「通勤したくなるオフィス」というリアル空間とネットワークの上手な使い方について、広報担当の佐田楠都子氏にお話を伺った。

目次

コミュニケーションの場としてのカフェ

――2017年に渋谷のオフィスに引っ越しされたとのことですが、移転した理由とオフィスづくりで心がけているところをお教えください。
弊社は数社が合併して現在のアダストリアになったのですが、以前は合併前の各社のオフィスがバラバラで、ちょっとコミュニケーションも取りにくい部分があったので、一堂に入れるビルというところでこちらに移ってきました。
――集約したことで、何か大きく変わったことはありますか。
受付があるメインフロアにはAカフェと呼ぶ社員食堂みたいなスペースがあります。約200席ありますが、食堂として使うだけでなく取材や商談、社内の打ち合わせなどで自由に利用できます。以前はこういったスペースがなかったので、コミュニケーションの場として広く活用しています。
Aカフェ
――もともと違う会社同士の社員も自然にコミュニケーションができるようになったということですか。
そうですね。朝もカフェとして運営しているのでコーヒーを買って、上の執務室に行ったりする社員も多いですが、そこでいままで知らなかった社員と顔を合わせたり、久しぶりにすれ違ってそこから仕事の話に弾んだりとか。こういった場があることで自然とコミュニケーションが増えていますね。あとは、メールや電話でしか話していなかった社員と顔を合わせるようになったので、それはすごくいい流れなのかなと思います。
――アパレル業界特有のオフィス環境ってありますか。
オフィスには一人ひとりに固定席があるのですが、こういった食堂に自由にパソコンを持ってきて、自分のデスク以外でも自由に仕事ができるようにしています。ただ、アパレル業なのでどうしても洋服のサンプルとか靴のサンプルとか、実際のリアルなモノが執務室にいっぱいあるんです。そういった商材もあるので完全にフリーアドレスにするのはなかなか難しい部分もあります。ですが、自分のデスクもあってちゃんとモノを置く場所もあるし、プラスでこういったノマドのような働き方もできるので、そこはすごくありがたい環境なのかなと思っています。
やっぱり洋服のサンプルとか靴の量とかが、ご覧になるとびっくりすると思います。執務スペースの共有の棚みたいなところに、洋服が畳まれて置いてあったり、バッグがずらっと並んでいたり、そういったところが普通の会社とは違うのかなと思います。

働くうえで従業員に不満やストレスを感じさせてはいけない

――とても恵まれたオフィス環境だと思いますが、わざわざここまでオフィスづくりにこだわった意図はどこにあるのでしょうか。
コーポレートスローガンに「Play fashion!」を掲げているんですけれども、Play(プレー)って直訳すると“遊ぶ”とも訳しますが、たとえばプレーボールとか、野球の試合を始めときのかけ声でもありますよね。プレーってそれぞれいろんな役をこなすという意味でもあると思うんですね。当社はファッションもマルチブランドを掲げていて、ブランド数も多いんですけれども、アパレルだけじゃなくてスポーツや飲食とか、そういったところもファッショナブルに、みんなの生活をワクワクさせたいっていうのをコーポレートスローガンに掲げています。
まず働いている私たちが「Play fashion!」を体現していないと、お客さまにも伝わらない。効率ばかりを考えてまったく飾り気のない寂しいオフィスで働いているより、お客さまが来ていただいたときに、「さすがPlay fashion! だね。Play fashion! してるね」と言ってもらえるようなオフィスをつくることが、すごく大事なことだと考えています。
働くうえで従業員に不満やストレスを感じさせてはいけないと思うんですけれども、どうしても出てきてしまう部分はあると思うんです。そういったところがオフィスの環境で軽減できて、ワクワク、「Play fashion!」した気持ちで働いていただくことで、それがお客さまにも伝わると思いますので、アパレルらしくおしゃれでファッショナブルであるべきなのかなと思ってます。
――環境がコミュニケーションを促している部分があると思いますが、組織的に社内コミュニケーションで工夫されていることはありますか。
そうですね。1 on 1ミーティングは部署によって差はあると思うんですけれども、そこも上からの指令で「絶対やりましょう」というのではなく、必要があればやるっていう感じになっています。やはり「Play fashion!」なので、決まった型にはまらずに、必要があれば自ら動いて組織づくりというのも行っています。1 on 1をすることで仕事以外のちょっとした余談を話すきっかけが増えるだけで、いろいろ生まれてくることはあると思うので、1 on 1をうまく活用しています。
あと、店舗が全国に散らばっているので、地方のスタッフとコミュニケーションを取るときにはテレビ会議をよくやっていますね。同じオフィスにいれば「ちょっとこれ見て」ってすぐできますが、全国に散らばっていると直接顔を合わすことがなかなかできないので、テレビ電話などを駆使しながら頻繁に会議をやっていますね。
――全国に店舗や支店がある会社では、年に何度か社員全員が集まるような会合があると思うのですが、アダストリアではいかがですか。
本来は毎年2月にやっていますが、今年はコロナウイルスの影響で中止になりました。そこで急きょデジタル店長会議に切り替えて、動画撮影をしてサイトを立ち上げて1週間ぐらいで公開しました。通常は1日目に全国店長会があって、そのあとに各ブランドに分かれて分科会を行います。新たな期の方針説明などを各店長にしていくのですが、役員のメッセージのほかにブランド長からブランドに所属している人へのメッセージや商品企画をしている人から商品説明をする動画を急きょつくりました。社員番号を入れると見られるシステムにして、恒例の店長会の代わりにデジタル店長会としてやりました。
これが結構好評だったので、来年からはリアルにやったうえでデジタルでもやれればと個人的には思っています。やっぱりアーカイブに残るので、店長会に出られない下のスタッフも見られるのですごくいいのかなと思っています。
今年はリアルに集まる大事さとデジタルの良さの両方を体験して、デジタルやリモートのメリットもすごく感じることができたので、どんどんそういったところに拍車がかかっていくのかなと思っています。

変わりつつあるセクシャルマイノリティやダイバーシティへの理解

――御社ではCSRとしてLGBTをはじめ、差別問題、多様性などの啓蒙活動を積極的にされていますね。
CSRにはすごく力を入れていて、CSRの専任もいます。あとは一般的にアパレル業界にはセクシャルマイノリティの方も多く活躍されていて、当社にもカミングアウトして活躍する社員もいます。ダイバーシティ(多様性)というのは、セクシャルマイノリティの方だけではなく、国籍や人種も入ってきますが、海外の社員も大変増えてきましたし、特にいま中国や韓国の社員は本部スタッフにもかなり多くいます。
たとえば見た目が男性の方が女性の服を見ていると、「きっとプレゼントなんだろうな」って思ってしまうのですが、もしかしたらご自身の服を選んでいるかもしれない。そうやって決めつけないように、ちょっとした接客のときの声のかけ方もあると思うので、カミングアウトしている社員が「僕はこうしています」「接客のときにこういうふうに心がけています」といったことを社内のセミナーなど話し合ったりする会を催しています。
――そういった活動をされている中、ここ数年で感じられる変化はありますか。
海外だと結構当たり前に定着しているレインボーパレードなどが、日本でもここ数年でようやく浸透してきたと感じます。そういったいままで隠しがちだったことを会社が考えるようになったことはすごく大きな変化だと思っています。たとえば当社では公的な社内規定から「男性・女性」という表現をなくしました。女性社員とかママさん社員とかではなくて子育て社員とか、子育てっていうのはどちらも参加するべきものだから、そういった社内規定とかに男性・女性っていう表現をなくしたりだとか、昔だったらなかったと思うんです。そういったことを取り入れるようになったというのは、ここ数年の変化なんじゃないかと思います。
――御社でそういう活動が積極的にできるのは、若い人と女性が多いことも追い風になっていそうですね。
そうですね。若い社員が多いのはかなり大きいですね。世代ギャップというのは細かいところを挙げていけばたくさんあるとは思いますが、当社の場合は比較的若い社員が多いのと、上の世代ともフランクにつき合える関係性ができてうまく混じり合っているので、世代ギャップは少ないんじゃないかなとは思います。
――レインボーパレードのような具体的にやられたイベントはありますか。
昨年、「ダイバーシティーミート アップ」というイベントを開催しまして、レインボーパレードに参加する前に、まず第1弾としてこういったことを話し合って、さらにレインボーパレードで行動に起こして、第3弾として外部から登壇してお話ししてくれるセクシャルマイノリティの方たちをお招きしてトークショーを開催しました。その他には、レスリー・キーさんの活動であるフォトプロジェクト「アウト・イン・ジャパン」に衣装を提供するなど協賛をして継続してやっています。

ただ大変だねと言うのではなく、働き方を考えるいいきっかけにしなければいけない

――会議の効率化、時短化で特に工夫していることはありますか。
お店が全国各地に散らばっているため、まず本部に来るだけで時間ロスになるので、オンラインを駆使して会議をしているのは時短のひとつなのかなとは思います。
――全国に店舗があるゆえに必然的に遠隔でコミュニケーションを取っていく流れになっているのですね。
そうですね。特に時間を短くするために何かを捨てるっていう感じはなく、結構そこは自然の流れでマンパワーに頼っているところなのかなと思います。
――そこにあまり問題が生じていないということかもしれないですね。
多分そうですね。会議室も予約制になっているので、時間が来たら次の人が来るから出てかなきゃいけない。みんなその時間内に終わらせる意識で動いているので長く話せない。ゆえに最初から時間内に終わらせる意識でちゃんとアジェンダを用意して、それに沿ってやっています。そういった人の意識で何とかなっているところもあって、そんな長引くこともあまりないですね。
東京都心が一望できる会議室
――会議に限らず環境も含めて、みんなが心地よくモチベーション上げて働ける環境にとってどんなことが一番必要だと思われますか。
いま、各自がデスクを持っていて、ノマドの環境もあって、外でもそれぞれテレビ電話も揃っていますが、唯一まだやってないのがテレワークですね。女性も多いのでテレワークがもうちょっと充実するといいかなと思っています。
――それは近いうちに実現しそうですか。
コロナウイルスの影響をただ大変だねと言うのではなく、働き方を考えるいいきっかけにしなければいけないと思います。もともとフレックス制なので、育児中の女性が「午前中ちょっと子どもの用事で」といったときなどは比較的柔軟な対応ができるようになっています。ただ、在宅勤務というのは育児や介護などの理由がない限りは認められてないんです。もう少し日常的にも在宅が柔軟に選べたらいいかなと思っています。
――転職希望者も含めて、アダストリアで働きたいという人にメッセージをお願いします。
当社は「Play fashion!」を掲げているので、自らワクワク楽しいこととかを、受け身でなく自分で発見して、これやりたいって言ったら比較的挑戦させてくれる会社です。好奇心旺盛で、どんどん自ら動ける人は、たとえばアパレルが好きっていうだけじゃなくて、シェアリングサービスとかもやったりするので、イノベーティブな感覚をもった若い方に来てほしいなって思っています。

文・鈴木涼太
写真・大井成義

佐田 楠都子(さた くみこ) 株式会社アダストリア
株式会社アダストリア広報・IR室 広報担当。アパレルブランド「GLOBAL WORK(グローバルワーク)」「niko and ...(ニコアンド)」「LOWRYS FARM(ローリーズファーム)」「Heather(ヘザー)」などを展開する株式会社アダストリアに2014年に入社。営業職を経験したのちに2017年からは広報として従事する。
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