反論で 居場所なくなり…【会議のオキテ07】

反論で 居場所なくなり…【会議のオキテ07】

会議にまつわる、あるあるを川柳にする「会議のオキテ」。
「自由闊達な意見を」と言われて、会議で積極的に反対意見を出していたら、いつの間にか煙たがられる存在に。だったら黙っていたほうがマシとばかりに、何も発言しなかったら、主体性のない人間と思われ、評価が下がってしまう。いったいどうすればいいんだ!会議中に、誰からも嫌われずに、しかも周囲からの評価も高まるポジションが、実はあるのです。

目次

「自由に発言しよう!」の罠

ダイバーシティー(多様性)、フラット&フェア(平等と公正)など、今時の企業は、これらのスローガンを当たり前に標榜しています。しかし、その言葉を信じて、上司にもおじけづくことなく積極的に発言をしていたら、いつの間にか冷遇される羽目に…なんて人は意外といます。

自由に意見が言える風通しのいい会社で、新人でも積極的に発言ができる。とはいえ、空気を読むことが求められるのも、大人の世界では常識です。

「どんどん意見を言って」という社長の言葉を真に受けて、積もり積もった不満をぶちまけたら、会議の雰囲気が凍りついたというのもよく聞く話です。好き勝手に発言をしたら社長が不機嫌になったので、今度は発言を控えたら、「なぜちゃんと発言しないんだ?」と叱られる始末。

そうやって徐々に蚊帳の外に追いやられ、気付いたら会社を辞めていた人を何人も見てきました。

安倍内閣の野田聖子総務大臣のように、多くの人の後ろ盾があれば、多少の反論も歓迎されるかもしれません。しかし、一介の平社員が、社長に対して生意気に物申して、「おお、そうか!」と言われるほど現実は甘くはありません。

おとなしく存在感をアピールする方法

かといって、何も発言せずにやり過ごすだけでは、会社で存在感をアピールすることはできません。反論すれば干される、口を閉ざしても隅に追いやられる…。

では、どうすればいいのでしょうか。

あなたがもし、誰からも嫌われずに会議をコントロールしたければ、ファシリテーターになることをおすすめします。

ファシリテーターとは、議事進行係です。ファシリテーター自身は議論そのものに参加せず、あくまで中立的な立場から会議を進めます。ファシリテーターは議事進行やセッティングなどを担当しますが、会議中に自分の意見を述べたり、みずから意思決定をしたりすることはありません。

例えば、テレビ朝日系列の討論番組「朝まで生テレビ」の司会を務める田原総一朗氏は、30年間も司会を務める超ベテランですが、彼はファシリテーターとはいえません。「朝生」はエンターテインメントなので、最終的に結論を導き出す必要もないですし、討論が荒れれば荒れるほど視聴者にとってはおもしろくなります。ですので、話の腰を折ったり、人の意見を封印したり、大喧嘩をしたり、論点がずれたりしてもまったく構わないのです。

あるとき、番組の終盤に国際政治学者の三浦瑠麗氏が「議論が自己主張ばかりで不毛だ」と指摘したら、多くのパネラーから袋叩きに遭いました。「あなたは論点整理ばかりしたがるけど、それじゃあNHKみたいになってつまらないでしょ」とか。

しかし、企業の会議は、NHK的な落とし所を見いださないと不毛な時間になります。

企業の会議では、威圧的な態度で自分の主張を押し付ける田原氏のような司会は失格です。目指すなら、同じジャーナリストの池上彰氏を見習うといいでしょう。みんなの意見を尊重し、その場を盛り上げつつ、楽しく結論に導くのです。

理想のファシリテーターは中立・公正であり、意見を言いません。しかし、会議全体を仕切り、進行する重要な役目です。みずから率先してファシリテーターをやりたいと手を挙げれば、誰も敵に回すことなく積極性や責任感をアピールできます。

言いたいことをついズバズバ発言して角が立ちやすいという方は、ぜひファシリテーターとしての道を探ることをおすすめします。そうすればやがて、池上氏のように誰からも愛され、尊敬される貴重な存在になることでしょう。

文・会議HACK!編集部
イラスト・タナカケンイチ

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