できるビジネスパーソンはマルチコミュニケーション力が高い!【第5回】

できるビジネスパーソンはマルチコミュニケーション力が高い!【第5回】カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役 片桐あい

マルチコミュニケーションとは、多様な人と多様なツールを使い分け、連携する力である!

マルチコミュニケーションとは、「多様な人と多岐に渡るツールを使い分けながら、連携をすることができる力」です。コミュニケーションの対象としては、一対一の場合もあれば、一対多数の場合もあるでしょう。ビジネスシーンもさまざまです。報告・連絡・相談の場面、面談、会議、プレゼンテーション、商談、または雑談もあります。

また、コミュニケーションの目的もいろいろあります。情報共有、情報交換、情報収集、アイデア出し、意見をまとめる、合意形成、承認を得る、意志決定、評価、採用、関係構築など。そして、コミュニケーションを図るためのツールとしては、「電話、メール、チャット、WEB会議システム」などのうちから、最適なツールを選んで柔軟に組み合わせましょう。

仕事の関係者との「信頼関係」を再構築することが第一歩
あなたは、一緒に仕事をしている仲間をどれくらい信頼していますか? また、あなたの仕事仲間は、あなたのことをどれくらい信頼しているでしょうか
スティーブン・R・コヴィー氏が書いた『7つの習慣』(キングベアー出版)という名著があります。
「スピード・オブ・トラスト―〈信頼〉がスピードを上げ、コストを下げ、組織の影響力を最大化する」
つまり、仲間との信頼が仕事のスピードを上げて、仕事を効率的にすることができるというのです。
たとえば、仕事の知識も経験もスキルも100点だと思っているAさんと、知識も経験もスキルも50点だと思っているBさんに、同じ仕事をお願いして結果が返ってきた場合、あなたの確認にかける時間にはどれくらい差が出るでしょうか?
当たり前と言えば当たり前のことですが、仕事相手の信頼度と仕事にかける時間には、相関関係がありますね。それ以外にも、相手の人間性や関係性など複数の変数があるにしろ、信頼が仕事の質や量に大きく影響すると言えるでしょう。
本項目を「仕事の関係者との信頼関係を再構築」としましたが、「再構築」には意味があります。いままで目に見えるところで仕事をしていた仕事仲間や仕事相手と、リモート(遠隔)で仕事を進める状況での信頼関係の構築では、異なる部分があります。ですから、「再構築」という言葉にしました。
では、テレワークで信頼関係を再構築していくには、何が必要でしょうか?
一番の違いは、「相手と物理的に距離が離れている」ということです。お互いにオンラインではあっても、カメラで監視していない限りは、相手の状況が見えないところからコミュニケーションをスタートする必要があるのです。
いままでも、誰に電話をかけるときには、配慮の一言として「いま、お時間よろしいですか?」などの前置きの言葉をかけていましたが、そんな配慮が必要でしょう。
メールやチャットは、自分のタイミングで送ってみて、すぐさま返事があればいいですが、相手の状況が見えない分、返事がなくてイライラするようでは自分が苦しくなります。相手には相手の優先順位がありますし、できるだけ相手に対しては性善説に立って解釈することが望ましいでしょう。
前章でも、信頼は信用の積み重ねであると伝えましたが、信用してもらうためにはそれと引き換えの実績や結果など、相手にとって担保になるようなものが必要です。その担保があるからこそ、相手は信用してチャンスをくれるのです。
信頼がトラストだとすると、信用はクレジットです。
だから、クレジットの限度額を上げるためには、それだけの実績を見せる(他のローン返済の実績など)、経験を積む(いままで借りたお金をきちんと返す)、結果を出す(持っている資産や年収を開示する)それでも足りなければ、誰がサポートしてくれるかを明確にする。仕事で信用してもらうのは、ローン会社の審査と一緒です。そして、その信用を積み重ねて、相手はその人を信頼してくれるのです。
相手が見えなくなった瞬間、その証明が難しくなるため、密に連絡を取り合うことや意識的に情報を共有していくこと、わかりやすく成果を相手に伝えていくことが大切なのです。
職場の仲間の状況を知って「お互い様文化」を醸成する
あなたは、職場の仲間や仕事関係の人の状況をどれくらい知っていますか?
たとえば、いまの仕事の内容や担当している業務以外にも、過去の仕事経験やこれからやりたいと思っていること、大切にしている価値観など、仕事にまつわる過去・現在・未来のどんなことを知っていますか?
また、プライベートではいかがでしょうか? 家族が増えたり、転居をしたり、趣味や興味があることなどの現在のことや、過去も未来もありますね。ご自身や家族の体調面、パートナーがいれば家事の役割分担、お子さんがいれば育児にどれだけ時間を割いているか、介護をしていればそのためにどんな事情を抱えているかなどがあります。また、副業や複業をしているのか、雇用形態がどうなのか、将来どうしていきたいのかというキャリアビジョンなども知っているといいでしょう。
プライバシーもあるので、踏み込み過ぎてもいけません。できれば、対面で会った時に聞ければいいですが、会ったことがない人であっても、会話の中で察することもできます。そして、それらの情報があれば、仕事の連携がしやすいと思って、できる範囲の収集をしましょう。
そんな情報を集めてどうするんだ? と思われた方もいるかもしれませんが、見えない相手が、どんなことで困っているのかを知っていれば防げることも、知らなくて相手を追い込んでしまったということもあるのです。
たとえば、若手社員の離職や年代に関係ないメンタルダウンや体調不良など、あのときにその状況を知っていれば防げたのに……なとど後から悔いても始まりません。毎日会っていれば少しの変化を見つけられたのに、テレワークになってしまったことによってそのサインを見逃すということもあるでしょう。
だからこそ、職場の仲間の状況を理解しておくことが大切なのです。もう一つ大切なことは、「お互い様文化」という考え方です。
仲間に起こり得ることは、もしかしたら将来的に自分にも起こる可能性があります。いくら健康でもケガをする場合もあるかもしれないですし、育児の問題はなくても介護の問題がやってくるかもしれません。それぞれの人に起こるライフイベントは、順繰りに巡ってくるものもあるので、それは「お互い様だよね」というように考えることが「お互い様文化」です。
確かに、忙しい自分の状況で、猫の手も借りたいと思うような事態に、休みがちな人がいて、その分の仕事が自分にきたら……「やってられない!」「給料2倍くれ!」と思うかもしれません。でも、長い目で見れば、もしかしたら自分がその状況にならないとも限りません。
仕事の評価は、上司や周囲の人も見てくれています。やるべきことはしっかりやって、その上で適切なアピールをして評価をもらったほうが気持ちがいいと思いませんか? それを仲間への不満として述べても何も解決しません。仲間の状況を理解し、自分にできることを提案し、できないことは相談することが大切です。

※当コラムは著書『これからのテレワーク──新しい時代の働き方の教科書』を基に補筆したものです。
片桐あい(かたぎり あい)
カスタマーズ・ファースト株式会社代表取締役、産業カウンセラー、キャリアカウンセラー。行動習慣ナビゲーター。人間関係問題解決コンサルタント。サン・マイクロシステムズ株式会社(現・日本オラクル株式会)サポート・サービス部門に23年間勤務。グローバルのプロジェクトで「エンジニアのトレーニングの開発」のためのメンバーに選出され、各国の教育担当とカリキュラムを開発。2012年に独立し、企業研修講師となる。これまで、年間約120件登壇し、約2万5000名の育成に従事。また、人財育成コンサルティングで、延べ3400名の育成にも尽力。著書に『職場の「苦手な人」を最強の味方に変える方法』(PHP研究所)、『一流のエンジニアは「カタカナ」を使わない!』(さくら舎)、『これからのテレワーク』(自由国民社)がある。
オンラインコミュニケーション35の魔法──リアルのコミュ力も上がる! 』(自由国民社より12月24日発売予定)

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