会議は笑う、されど進む。【スマート会議術第80回】

会議は笑う、されど進む。【スマート会議術第80回】株式会社ウサギ 代表取締役 高橋 晋平 氏

おもちゃメーカーのバンダイに約10年間勤務し、ユニークな発想で「∞(むげん)プチプチ」をはじめ、数多くのヒット商品を開発してきたおもちゃクリエイターの高橋晋平氏。現在は株式会社ウサギの代表として、おもちゃの企画・開発に留まらず、執筆活動やセミナーなどさまざまな分野で活躍する。

果たして高橋氏のアイデアの源はどこにあるのか? 学生時代から漫才や落語を学んだという高橋氏は、「会議には笑いが必要」と語る。自身も人を笑わせるアイデアを考えることが大好きで、趣味のようにアイデア出しをしてきたとも言う。

なぜ会議には「笑い」が必要なのか? 高橋氏はどのようにして会議に笑いをもたらすのか? その真意についてお話をうかがった。

目次

会議は緊張するのが一番ダメ

――会議をやるにあたって、学生時代の漫才や落語の経験はどんな影響がありましたか。
会議って思いついたり、話したくなったりする意味でも、笑いが起きたほうがいいんです。「ヤバい、これ出さなきゃいけない」って沈んだ気分でやるより、笑っていたほうが話は弾むじゃないですか。まずツッコミをやる側からすると、笑いにするのが良いと思います。結局、他の人から別の案が出るような発言が良いわけだから、他の人が面白くツッコミやすい発言が場に出るのが良いですね。
――漫才は相方にツッコませるボケをつくるのが高等テクニックだと思いますが、それが上手くいけば盛り上がりますね。
素人がいきなり上手いボケを考えても無理があるので、とにかく思いついたことを言う役割の人がいるといいですね。まずツッコミを引き出す、ボケに近い役割のアイデアを放り投げる存在がすごく重要です。面白いツッコミを引き出すボケですね。みんなが思わず総ツッコミしたくなるような、わかりやすい「穴」があるアイデアを気軽に出してほしいです。「でも、それってこういうことじゃない? 逆に言えば?」っていうことが引き出されるようなボケは、高等テクニックですけど効果的です。「よくそんな恥ずかしいこと言えるよな」というくらいのことを言う。ただ、それがあまりに突拍子もないものだと、みんながどうツッコんでいいかわからないから、わかりやすい1つのツッコミどころがあるほうがいいですよね。
会議は緊張するのが一番ダメなんです。特にアイデア出しにおいて一番の敵は緊張です。いかに緊張しない会議をつくっていけるか。変なことを言ったら評価を下げられる恐怖心があると上手くいきません。それを崩すところが第一歩です。
――1人でやるのはなかなか難しいですね。
そうですね。できれば2人以上いるのがいい。自由なパスを投げたり、流れを1回壊しにいったり、ボツネタを放り投げたりできる人がいるといいですね。それを完全に理解してくれるパートナーを1人つくっておくのがすごく重要です。孤軍奮闘だと、その人はだんだんと痛々しくなっていくので(笑)。何回続けても、周りがついて来なかったらダメなんです。だから、変なパスを投げる人と、それを理解して拾う人がペアでいないときついかな。漫才と一緒ですね。
――社長やマネージャークラスの人が若い人たちを集めてブレストをすると、上長はどんどんアイデアが出るけど、みんなは緊張して頷くだけで終わってしまう会議がよくあります。
それは「超あるある」で、あまり良くないですね。立場が偉くて権限のある人は、ジャッジのみに徹したほうがいい。社長はアイデアが出るなら、別途進めればよくて、社長が出るならみんなの案にずっと笑っていて、「いいかもねー」って言って場の空気をほぐすことに徹する。だけど、最終的には出たアイデアに関して、至極厳しくジャッジすればいいと思います。ダメなものは「ダメ」「こういう理由でNG」っていうのを伝える。会議でひとつも通らなかったとしても別にいいんです。ただ、上の立場の人はみんなが気持ち良く話せる場をつくったうえでジャッジをするという役割が理想です。社長や上長の役割としては、盛り上げと担当者のやる気の確認とジャッジですね。

一人で考える時間と大勢で考える時間を繰り返す

――ブレストではよくアイデアがたくさん出ても収拾がつかなくなることがあります。効率よくブレストを回す方法はありますか。
自分たちがやりたい企画をプレゼンする会議だったら、必ずネタは持ってきて、「私はこれをやりたいと思っている、現時点では」と放り投げる。確信はなくても、「私の提案はこれだ」と言って、みんなからいろいろな意見をもらう。それは「こうしたらどう?」っていう別の案かもしれないし、「いいじゃん、いいじゃん」っていう肯定かもしれない。「それは売れないと思う」っていう否定かもしれない。全部聞いてもやりたいことが揺るがなければ、その案は良いっていうことが自分の中で認定されるから、いろいろな意見が出るほどその会議の意味は大いにあるんです。
いろいろな案を聞いて収拾がつかなくなって、「不安でやりたくなくなった」となったら、それは元々良いアイデアじゃなかったっていうのがわかるのが会議なんです。
みんながアイデアを持ってきて、自分のやりたい企画をプレゼンする会議だったら、その人がプレゼンしているときは、他の人はその人のアイデアが固まるようにする。それは、別にその人のモチベーションを高めるためじゃなくて、良いか悪いかを自分でジャッジできるようにするためです。
だから、一人でアイデアを考えるというのはベースとしてあって、一人で考える時間と大勢で考える時間を繰り返す必要があるんです。ずっとみんなで考えていてもダメ。みんなで考えてわちゃわちゃ散らかった話を持ち帰って、自分の答えを次回は持って来るべきです。「いろいろあったけど、私はこれが良いと思った」という繰り返しです。繰り返すのが良いです。だから、自分の話をして、ワーッと意見をもらって、一晩置いて、持って来る繰り返しが僕は良いと思います。
その繰り返しによって良いアイデアだったら、どんどん固まっていって、やりたいことが洗練されていく。それで混乱を極めて、最初に良いと思っていたけど、こっちも良いと思うし、こっちもというように、何が良いかわからなくなったら、そのアイデアはそもそも良くなかったということ。
とにかく手ぶらで来ちゃダメっていうルールでやるべきです。テーマは事前にあって、自分の考えを持って来る。
――招集するときに、ある程度宿題にして考えてくるのが必須なんですね。
絶対に必要です。手ぶらはなし。手ぶらで来させても何も起きないです。だって、ほとんどの人はそこでいきなり考えるって難しくないですか? 前提を共有するのは絶対に必要です。前提を共有するなら、自分の意見を持ってくる。その場で考える必要はない。
――前提がないと、思いつきでたまたまアイデアが出ても検証されるわけではない。
そうです。何かをアウトプットして持って来るのはとても重要です。それには理由があります。アウトプットしたあとは、新しいことがインプットされやすいんです。アウトプットが先なんです。自分の中で答えを一応出す。だけど、他の人の案を聞いたら、これだけ自分で考えたのに、違う案を持って来た人がいて、すごいなと思ったりする。そのときに、別のことがパッと思いつくことがある。何もアウトプットしないで来ちゃうと、まずアウトプットするところから始まるから遅いんです。インプットできないんです。インプットとアウトプットが、両方並行していたらすごく大変だから。一度、そのお題にアウトプットしきった段階で参加して、会議の途中から準備してきたアウトプットにはこだわらずに考えられるようにするっていうことがすごく重要です。
そうすると、自分が考えたネタに対して、その意見が違うと思ったらすぐに反論もできる。自分が出せなかったその案がすごく良いアイデアだと思ったら、「僕が考えたアイデアよりずっと良い」っていう意見も言える。だから、アウトプットしてこないと意見が言えないんです。
――出てきたら、「あ、いいね」で終わっちゃう。
そもそも良いか良くないかわからない。判断できないんです。自分の判断軸をある程度持つためにアイデアを先に考えてこないとダメ。でないと、ブレストで出てくるアイデアが本当にとりとめもないものになっちゃう。誰一人どれが良いかわからなくて、ただ散らかしただけのものになるんです。
用意してきた上でボケをぶっ込んだりとかしていくと生きてくる。自分なりに一生懸命考えてきた判断軸があるから。ツッコんだあとにも、自分の持っている球から「こういうのはどう?」って投げられる。そこをアドリブでやっていける能力がある人なんてほとんどいないですから。

厳しいジャッジをするのが上に立つ人の役目

――責任ある上司の立場で、現場の意見やアイデアの良し悪しを判断するのは非常に難しいですよね。
ダメ出しをするのであれば、自分がダメだというジャッジを下さなければならないものには、はっきり「ダメだ」と言わなきゃダメなんです。それをやったときの信頼が崩れないとか、反感を買わない関係を構築することが大事です。
それをなんとなく、「なんかちょっと面白いしさー、悪くないんだけどねー」みたいに、丸めて言ってもいいことは何もない。「これはこれだからダメだ」ってはっきり言うのがジャッジする立場の責任です。
――採用する勇気と同じぐらい「ダメだ」と言うときの責任を持つべきですね。
そうです。「惜しいんだけどねー」とか、「俺は面白いと思うけど」みたいなことを言うのは一番ダメです。「ない。なぜならばこうだから。それは俺の考えだけど」ってジャッジする役割が必要です。上に立つ人は厳しいジャッジに徹するべきなんです。
――そうすると、そのあと議論の余地も生まれますね。
そう。僕も1回だけ、それをやられたときに刃向かった経験があるのですが、それが一番売れた商品だったんです。ダメ出しにはそういう役割もあるんです。これだけはっきり「ダメだ」って言われても、「いや、ダメじゃない」って思ったら、それは多分かなり成功する確度が高いと思います。だから、ジャッジする人はばっさりジャッジすべきなんです。

会議は緊張をほぐすために雑談から

――ブレストや会議をする環境面で特に重要だと思うことはありますか。
やはりいかに緊張しないようにするかです。「心理的安全性」をつくることが必要です。最初はまず雑談です。最初は雑談して、仲良くなることだけに費やしてもいいかもしれないです。各自の欲求について話すのはお勧めです。やりたいこととか、欲しいものとか、解決したい悩みごとを話す。
――議題と離れた話題でもいいのですか。
はい。いきなり本題に入るときついですから。だから、欲求の話はすべての会議の基本です。みんなが何が好きで、何をやりたいか知ることはすごく重要です。会議の一環ということで始めるけど、欲求の話は単純に面白いんです。一人ひとりをお互いに知らなくても、「本当はこういう悩みがあって、解決したい」とか、「これが大好きなんです」って聞いたら面白い。それで1時間ぐらい笑うのは、最初はやったほうがいいです。
緊張をほぐしても、次に急に「アイデア出そうぜ」って本題にいくと、また緊張する。だから本題に入るときもわざわざ話題を切り替えない。テクニックはいるかもしれないですが、普段から会議は緊張しないものっていう空気をつくるのは大事ですよね。ブレスト会議、アイデア会議というのは、毎回楽しいと思わせないとダメでしょうね。

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問い合わせ: 株式会社ウサギ
高橋 晋平(たかはし しんぺい)
株式会社ウサギ代表取締役。東北大学卒業、東北大学大学院修了後、2004年に株式会社バンダイに入社。第1回日本おもちゃ大賞を受賞した大ヒット玩具「∞プチプチ」など、アイデア玩具の企画開発・マーケティングに約10年間携わる。2014年より現職。各種企業の玩具雑貨・ゲーム開発に関するブレーンや、企画チーム作りに携わるなど幅広く活動。2013年には、TEDxTokyoにも登壇し、「新しいアイデアのつくり方」のスピーチを披露。高い評価を得る。講演、研修、セミナー多数実施。近著に『企画のメモ技』(あさ出版)がある。

文・鈴木涼太
写真・大井成義

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