“3ステップ会議術”によって、コクヨの会議はどう変わったのか?【POP IN MEETING 第3回】

“3ステップ会議術”によって、コクヨの会議はどう変わったのか?【POP IN MEETING 第3回】コクヨ株式会社 経営企画室ワークスタイル研究所(兼務)スキルパーク部門シニアトレーナー 下地 寛也氏

文房具やオフィス用品の販売を手掛けるコクヨ株式会社は、「3ステップ会議術」という効率的な仕事の進め方に関する書籍や、ロジカルシンキングを行う上でのノウハウ本など、多くの書籍を世に送り出しています。それらの本の執筆を担当し、現在はコクヨ株式会社のシニアトレーナーを務める下地寛也氏に、コクヨが会議の改善によって磨いてきたノウハウについて話を伺いました。

下地寛也氏のインタビュー記事はこちら
コクヨの「3ステップ会議術」で何が変わるのか!?

目次

会議の司会を若手に任せてはいけない

――下地さんの活動を通して、コクヨの会議はどのように変わりましたか?
私の周りの人間に意識させているのは、ホワイトボードに会議の議題を書き出すことです。これによって、会議にかかる時間が圧倒的に短くなりました。議題をすべて提示して、共有したいことがほかにないかを確認してからスタートする。本当にちょっとしたことですが、これは効果的なのでぜひ実践していただきたいですね。
ひとつ注意してほしいのが、会議を若手に進行させる場合がありますが、これは絶対にダメですね。ファシリテーションには非常に高い能力が求められるので、そもそも自分で問題を解決できない人間にやらせてはいけません。
問題解決のディスカッションを目的とした会議は、まず現状を把握して、問題を定めて、解決策を考えて、ホワイトボードなどに板書までしなくてはいけない。これを全部やるというのは、たいへんなことなんです。参加者の人件費を考えると非常にコストのかかることでもあるので、よほど余裕のあるとき以外はOJTの場にすべきではありません。
コクヨで数多くの書籍を執筆してきた下地寛也氏。

目的によって会議のスタイルは大きく異なる

――コクヨの会議において特徴はありますか?
「報連相」を目的とした会議と、創造的なディスカッションを目的とした会議とでは、やり方を変えるという点です。ディスカッションを目的とした会議では、ファシリテーターはホワイトボードの前に立ちます。なぜかというと、その場の空気が変わるからです。参加者の顔が自然と上がって、内職ができない、集中力が出る雰囲気になります。
ディスカッション目的の会議では、ファシリテーターがホワイトボードの前に立ち議論を誘導する。
それに対して、報連相を目的とした会議では、ホワイトボードではなくPCをプロジェクターやモニターにつなぐことが多くなります。こうした会議では、情報を共有して効率的に早く進行させることが重要なので、効率を上げられるツールがあれば使うべきです。それと「会議に参加して発言しないのは意味がない」と言う人もいますが、報連相では余計な発言をしても時間の無駄ですので、分けて考えるべきですね。
情報共有が目的の会議では、プロジェクターを活用して参加者に効率的なインプットを行う。

報連相を目的とした会議が必要な理由

――デジタルでの情報共有が発達した現代において、「報連相のための会議は不要である」という考え方もありますが、いかがですか?
確かにそういう部分もありますが、報連相目的の会議を行う必要性はあると思います。部下への情報共有はメールでいいかもしれませんが、マネージャークラスの場合は顔色を見て判断する必要があります。「大丈夫です、とメールで言うときは、たいてい大丈夫じゃない」ということ、ありません?(笑)
実際に顔を見てわかることもありますからね。それと、メールだとモチベーションを鼓舞できないというのも、報連相目的の会議が必要な理由のひとつですね。
――参加人数はどれくらいが望ましいですか?
これも目的がディスカッションなのか報連相なのかで違います。ディスカッション目的のときは7人以下がいいといわれていますね。「社会的手抜き」という考え方がありますが、人間は人数が増えると手を抜く人が出てくるんです。それを防ぐためには、多くても7人くらいがいいと思います。
報連相が目的の場合は人数が多くても構わないのですが、自分が手を上げて発言するのに恥ずかしくないくらいの人数がいいですね。それは、メンバー同士の関係性や、仲の良さによって変わってくると思います。

テレカンで重要なのは、いかに緊張感を与えるか

――今、この会議室には電話会議用の機材がありますが、テレカン(電話会議)を行う機会は多いのでしょうか?
弊社は大阪に本社がありますので、テレカンは多いですね。各会議室には電話会議用の設備が置いてあります。
――テレカンを行う際に、注意すべきことはありますか?
テレカンのデメリットとして、相手側の空気が読めないということが挙げられます。テレカンで一体感を出すには、ちょっとしたテクニックがいるんです。
――テクニックというと?
一番重要なのは、会議の前半でファシリテーターが参加者に対して意見を求めるアクションを意図的に行い、「こいつは“当ててくる”やつだな」と思わせることです(笑)。相手側に緊張感を与えておくことが重要です。
具体的には「そっちはどうですか?○○さん何か言いたそうですね!」とハイテンションで声をかけて、質問したりするといいです。テレビで芸能人の方が現地レポートをしますよね。あれってテレビを通して見ると普通に感じますが、現場だとものすごいハイテンションなんです。それと同じで、テレカンだと普通よりもテンションを上げていかないと伝わらないんですよ。
――そのほかにコクヨの会議室の設備に特徴はありますか?
共通して置いているのはホワイトボードです。ホワイトボードは、できれば大きいほうがいいです。よくある180cm幅のホワイトボードなら、2、3枚あってもいいですね。
ホワイトボードがいっぱいになると、スマホで写真を撮ってからホワイトボードを消し、続きを行うということをよくやると思いますが、それだとすぐに振り返れないんですよね。
あと、できれば机は一台で大きい物のほうがいいですね。資料を全部広げて並べられますから。物理的に机に並べた資料を俯瞰するのと、PCの画面で1枚1枚めくっていくのとではスピード感が違います。

これからの時代に必要なのは、ディスカッションで解を見つける能力

――最後に、社会や技術の変化とともに、今後の会議はどのように変わっていくのか、展望をお聞かせください。
会社の経営と同じで、会議のあり方は企業の競争力とつながるテーマだと思います。というのも、コクヨでいえば、キャンパスノートが何の施策もなくひたすら売れていればディスカッションはいらないんです。ですから、高度経済成長期はディスカッションの必要性がほとんどありませんでした。
バブルが崩壊して「どうする?」となったときから、ディスカッション目的の会議が重要になってきました。それまでは、一部のクリエイターだけがディスカッションしていたんですよ。
でも今は、課題をみんなで解決する必要がある。それなのに、現場ではこれまでと同じ報連相目的の会議作法が残っていて、ギャップがあるのが現実だと感じています。
今後はそうしたギャップを埋めていく必要があることに加え、デジタルコミュニケーションによるディスカッションへの対応が求められます。
さらには、外国人や価値観が異なる人など、ダイバーシティーへの対応が必要なディスカッションが増えることも予想されます。異なる文化を持つ相手とのディスカッションをコントロールするのに必要な能力は、相手への配慮はもちろん、テクノロジーへの理解です。
そして、ディスカッションが国際化する中で、特にアメリカ人が得意とする、主張し合うような、日本人からするとケンカとも勘違いしてしまうようなコミュニケーションのスキルが必要となるでしょう。
日本人は意見を否定されると、自分の人格も否定されたように感じてしまいますが、アメリカ人は「会議は会議」と割り切って場に臨んでいます。そうした議論に参加できるストレス耐性を持つ必要がありますし、相手に気を使いながらWin-Winな解を見つける交渉術を身に付ける必要が出てくると思いますね。

文・写真:坂上春希

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