会場に足を踏み入れたときからスタート 満足度を上げ、スムーズなセミナー運営を行うポイント【スマート会議術第8回】

会場に足を踏み入れたときからスタート 満足度を上げ、スムーズなセミナー運営を行うポイント【スマート会議術第8回】株式会社スイッチ CSS Nite主宰 鷹野 雅弘氏

DTPやWebサイトの制作を行いながら、英語教師の経験を活かし「制作→執筆→講演」のサイクルを回す鷹野雅弘さん。自身の講演以外にもWeb制作者向けのセミナーイベント「CSS Nite」を主宰するなど、全国の会議場を駆け回っています。今回は鷹野さんに、スマートにセミナーを行うためのテクニックや心構えを伺いました。

目次

セミナーは「知っている話」であるべき。その意外な理由とは?

――鷹野さんはご自身でセミナーを開かれるだけでなく、聴きに行くことも好きだそうですね。
はい。セミナーを行う側は、1時間のセミナーに対して、少なくとも10時間くらいは準備に時間をかけています。だから、話がすごく凝縮されていて勉強になるんです。また、よく「(セミナーの内容が)知っている話」だから無駄だったという人もいますが、それは違います。
――違う?
参加者は、セミナー内容の85%くらいを理解した状態で行くのがいいと考えています。ある程度自分で勉強していると、「この理解で正しいのか?」など細かい疑問が出てくるので、それをセミナーで答え合わせをしたり、自分で調べてもわからないことを質問して帰って来たりするほうが収穫が多い。理解がゼロに近い状態でセミナーを受けるときとは異なり、より実のある質問ができるはずです。
――なるほど。逆に駄目なセミナーにはどういうものがありますか?
単純に「自分語り」に終始してしまうパターンでしょうか。無料セミナーでありがちな、自分の功績や自社の商材の話ばかりするパターンです。参加者が何かを得られたと思わないとセミナーをやる意味がありません。あとは、セミナー講師に慣れていない方に多いのですが、手元のメモをずっと見ていたり、スクリーンに向かって話してしまったりする人。聴衆にお尻を向けていては、コミュニケーションがとれません。
――スクリーンに向かって話さないようにするには、スライドの内容を丸暗記すべきでしょうか?
いいえ。丸暗記するのではなく、話すシナリオを作り、それを練ることの優先順位を上げるといいでしょう。箇条書きでいいので、どういう順番で話すのか、逆に何を話さないのかを決めることが重要です。講演やプレゼンで緊張するのは「忘れてしまったら、どうしよう?」という不安が大きな原因ですが、万が一、話の筋を忘れてしまっても、スライドがキュー(合図)として出てくると考えれば心配は減ります。一字一句、綿密な原稿を用意して丸暗記するのは、実際難度が高いもの。話の大きな筋に基づき、その場にいる人に語ることを意識するとライブ感が出ます。
――スライドづくりにおいて、最低限押さえておきたいポイントがあればお教えください。
先ほど挙げたように「いきなりパワーポイントに取りかからず、まずはシナリオをじっくり練ること」が重要ですが、そのほか、意識したい3つのポイントをご紹介します。
1. ただの読み上げになっていないか
スライドをただ読んでいるのを聞くほど退屈なことはありません。スライドがある程度完成したら、そこから「いかに言葉を抜いていくか」を考えると、「読み上げ」を避けるのにつながります。配布資料として渡す場合は、配布資料用とプレゼン用で分けるのもいいでしょう。
2. 改行位置に気を配る
基本的にスライドの中で、文章を2行以上は書くべきではないと思います。ですが、もし2行以上になってしまう場合、文章の切りの悪いところで改行しないよう、仕上げのときに工夫すると、見え方が大きく変わってきます。
3. 用語の扱いは第三者目線で
業界用語や専門用語は、スライドに入れないようにします。どうしても使用したいときは、少なくとも初出時は正式名称を記載したり、説明を付け加えたりしています。
また、固有名詞の間違いには注意しています。例えば「WordPress」の「P」の前にスペースを入れたり、「Facebook」の「F」を小文字としてしまったりするなどです。内容の正確さは信頼度に直結しますし、特に商品名や製品名は信用に関わるので気を付けてチェックすべきです。

セミナーはスタート前から始まっている。雰囲気づくりの重要性

――セミナーで、たまに居眠りをしている参加者も見かけますが、飽きさせないためのポイントはありますか?
話すトーンが一定だと眠くなりますので、「あえて間を空けて意表をつく」「セリフのような語り口を入れてみる」など、話し方を変えるのがポイントですね。
あとは、「こういうときはどうしますか?」などと、お客さんに質問をします。そうすることで、「もしかしたらあてられるかもしれない」という緊張感が生まれます。挙手してもらうタイプの質問をしたときには、「手を挙げた方は全体の3割くらいですね」といったように、結果のフィードバックをするといいですね。前のほうに座っている人は、会場全体が見えませんので。
――会場の雰囲気づくりのために気を付けていることは?
まずは、話し始めるまえの段階からの雰囲気づくりが重要だと思っています。僕は自分がセミナーに呼ばれたら、スピーカーを会場に持ち込んでさりげなく音楽を流しておくようにしています。セミナーの方向性などにもよりますが、結婚式みたいに格式張って始めるよりも、フランクに会話をするように始めるほうがいいと思います。
それとよく見かけるのが、司会者が登壇者を紹介してからPCとプロジェクターをつなぐというパターン。間が空いてしまうだけでなく、トラブルが起きてしまったときなどは、話すまえに講演者が緊張してしまいます。セッティング時に司会が間を持たせ、準備が整ってから登壇者にキューを出すとスムーズです。
――そのほか、工夫しているポイントはありますか?
どんなイベントでも同じですが、せっかく参加しても一言も話さないで帰ると、何か物足りないんです。だから、お客さん同士が話せるように工夫をしています。
例えば、プレゼントを持ってきて、じゃんけん大会をするとか。あとは、アンケート用紙を隣の人と交換してもらって、インタビュー形式で書いてもらうこともあります。セミナーの内容についても、参加者同士で話すことで、気付きや学びが生まれるんです。
――会話といえば、セミナーには質疑応答が付き物です。ここで注意すべき点は?
いただいた質問に対して会話するようにそのまま回答してしまうと、二人だけの世界になってしまい、ほかの参加者が取り残されてしまいます。また、会場の全員に質問の声が聞こえなかったり、質問者が緊張して、質問の内容がわかりづらかったりすることも少なくありません。ですので、答えるときには、まず質問の内容を簡潔に「○○といった質問ですが」と復唱して会場全体に共有し、なるべく短く答えるといいでしょう。
――鷹野さんは「CSS Nite」をはじめ、セミナーを主宰する立場でもあります。会場選びのコツを教えていただけますか?
スクリーンサイズが大きいと望ましいのですが、見落としがちなのが天井の高さです。天井が低いと、スクリーンが大きくても、スライドの下のほうが見えないことがあるんです。前の人の頭でスクリーンが見えないのは、大きなストレスになりますから。
――確かに、スライドが見えづらいときは損した気分になりますね。
ほかには、トイレの数も気にするようにしています。「CSS Nite」は、女性の参加者が4割以上いますので、女性用トイレの個室の数は重要です。休憩時間の長さは、女性の参加人数と個室の数を考慮して決めています。時間や数が足りない場合は、車椅子用トイレを女性用にするなどの工夫をしています。
――セミナーに限らず、イベント運営において忘れてはならないことですね。貴重なお話をありがとうございました。

文・写真:坂上春希

鷹野 雅弘(たかの まさひろ) 株式会社スイッチ
グラフィックデザイン、エディトリアルデザイン、Web制作のノウハウを、テクニカルライティングや講演に落とし込み、「制作→執筆→講演」のサイクルを回す。2005年からWeb制作者向けのセミナーイベント「CSS Nite」を主宰。都内での開催を中心に日本全国に飛び火し、500回を超える関連イベントを通して、延べ60,000名を超える方が参加。2015年から大阪芸術大学客員教授。
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