オフィスが「職場」である時代は終わった【スマート会議術第53回】

オフィスが「職場」である時代は終わった【スマート会議術第53回】株式会社Phone Appli 代表取締役社長 石原 洋介 氏

「Change the Way」(やり方を変える)を合言葉に、コミュニケーションのやり方を変え、企業文化の変革と企業価値の創造をサポートする株式会社Phone Appli。コミュニケーション改革企業No.1をビジョンに掲げ、企業の社内コミュニケーションを促進するソリューションを軸に急成長を遂げてきたベンチャー企業だ。

5年連続シェアNo.1のクラウドWeb電話帳サービス『連絡とれるくん』をはじめ、『居場所わかるくん』『お客様わかるくん』『会議かえるくん』など、さまざまな“働き方改革支援サービス”を提供する。

働き方改革が叫ばれる昨今、仕事の4割を占めると言われる会議はどうあるべきか。代表取締役社長の石原洋介氏に、働き方改革の在り方、そして「Change the Way」の考え方についてお話を伺った。

目次

最高のオフィス空間と日本一のIT環境を融合

――Phone Appliのオフィスはとてもユニークですが、働き方改革とオフィス環境の関係性をどのように考えていますか。
働き方改革といっても、18時になると「みなさん、働き方改革中ですので帰ってください」「残業禁止です」という会社が多いんです。でも、働き方改革の本来の目的は、企業価値の向上だと思うんです。単に労働時間を減らす、ということではなくて、同じ時間でどれだけ付加価値の高い仕事をするか。いいサービスや企画がどんどん生み出せる会社が、企業価値が高い会社ではないのかと思います。そういう会社になるためには、社員の力を最大限に引き出して、それをつなぐ。1人の力ではなくて、いかにつないでいくか。これが重要だということです。
「皆が最もパフォーマンスを出し、健康に働ける環境を作りましょう」というのが、我々のサービスの大きなテーマです。これで、最高のオフィス空間と日本一のIT環境を融合させようと、組み合わせたのが我々のオフィス環境です。これを我々は、「CaMP(Collaboration and Meeting Place)と呼んでいます。コラボレーションというのは、一緒に価値を創り出そうという意味のコラボレーション。オフィスでも会議室でも、「会って話す」という価値はとても高いので、会って話せる場所ということで、ミーティング・プレイスということにしています。
キャンプ場は自然と人が集まる場所ですので、オフィスも自然をモチーフにしたカタチにしています。これをスノーピークビジネスソリューションズ(アウトドアとテクノロジーで働き方を変革する企業)さんと一緒に作りました。
キャンプ用品で揃えられたオフィス
――具体的にはどんな環境作りをしているのですか。
CaMPをコンセプトにした弊社のオフィスには、いろいろなエリアがあります。テーマは、「今日、自分の力を一番発揮しやすい場所で働いてください」ということです。たとえば、今日、集中して資料を作りたいと思ったら、自宅で在宅勤務をしてもいいです。もしくは、みんなとざっくばらんに議論をしながら、ブレストをしながら仕事をしたいと思ったら、「ファミレスエリア」に来てやる。「ファミレスエリア」は、学生がランチしながら宿題をワイガヤでやるような感覚のスペースです。午後になって集中して資料を作りたくなったら、「パーソナルワークエリア」。ここは電話や私語禁止で集中して働けるエリアです。ちょっと勉強会や食事をするときにはラウンジです。上司と一対一でミーティングするときは、「1on1(ワン・オン・ワン・)ルーム」で、1on1ミーティングをすることもできます。役員に相談があったら「コックピットに駆け込んでこいよ」とか。
気軽に打ち合わせができる「ファミレス」と呼ばれるワークスペース
こういったことを、CaMPで繰り広げてオフィスを自然に寄せてあります。昔はオフィスを「職場」と言っていましたけど、いまはパソコンとスマホがあればどこでも働けます。オフィスって単なる職場ではなくなっているんです。「じゃ何なの?」って言うと、みんなが顔と顔を合わせて出会える場所というのが1つ。そして、どこよりも気持ち良く働ける場所というのが1つ。スタバとかどこかのカフェよりも気持ち良く働ける場所であること。
気持ち良いって、人によって感じ方がバラバラなんですけど、自然を「気持ち良くない」って言う人はあまりいないので自然をテーマにしました。オフィス全体の設計を自然に寄せておくと、最も効率良く、気持ち良いオフィスが作れるのではないかと。私が、決してキャンプ好きなバカ社長だからというわけではありません(笑)。その時々、自分の力を一番発揮しやすい場所をパッと選べるというのが、我々の働く空間、CaMPの全体像になります。
――これは、御社がいまやられているサービスとして提供しているのですか。
こういったコンセプトの働く環境を作りたいというお客様がいれば、ITシステムを中心としたコンサルからやらせていただきます。オフィス環境を貸しているわけではありませんが、参考にされたいと来られるお客様が多くいらっしゃいます。そういうときは、コンサルから導入設置までご提供しています。
――各会社のニーズに合わせて作るのですか。
完全なカスタマイズだと高くなるので、パッケージでいろいろ松竹梅を取り揃えているカタチではあります。

コストパフォーマンスとフレキシビリティ

――自然をモチーフにしたことで、他にどんなメリットがありますか。 
まずコスト面でのメリットは大きいですね。オフィスに来る意義は、みんなと顔を合わせて話すことなので、壁を徹底的になくしたんです。壁をなくすと開放感が出るだけでなく、コストがとても下がるんです。全体でコストをかけずに作ろう、メリハリをつけようというようなオフィス設計です。そして、フレキシビリティ。机をキャンプギアで揃えて、フレキシブルに安くあげているんです。下手にオフィス家具を買っちゃうと結構費用がかかりますよね。あとは、固定させると組織変更があっても動かしづらくなります。なので、全部キャンプ用品で揃えた環境にしています。
――フリーアドレスを導入しているのも、フレキシビリティ重視の一環ですか。
両方ですね。フリーアドレスだから、この環境が構築できるし、この環境だから、フリーアドレスが生かされる。フリーアドレスでやるときには、先ほどの『連絡とれるくん』で、誰がどこにいるかパッとわかる。連絡先、もしくは、メール、チャットでコミュニケーションが取れる、こういう仕組みをやっています。
たとえば、某最大手音楽レーベルの企業では、我々の『連絡とれるくん』と『居場所わかるくん』を3000人が使ってくれています。みんなフリーアドレスなんです。朝、会社に行くときには、「会社でみんなと会議や打ち合わせをするために会社に行く」という発想なんです。そうすると、地下鉄から上がってくるエスカレーターの中で「今日、俺、あの人と会いたいなあ」と思ったら、我々のサービスはスマホで検索できます。『連絡とれるくん』で検索できるんです。ここで社員がズラズラズラっと出てくるんです。
「○○に会いたいな」と思ったら、○○の名前をポチっと押すと、8階のラウンジにいるのがわかります。スマホ片手に、「あ、8階にいるから、今日はそこのエリアに行って働こうかな」というのができる。こういったカタチで使われています。
――外出先も含めて24時間わかるのですか。
あくまでもオフィスの中で限定しています。パチンコに行っていたり、雀荘に行っていたりするとプライバシーになるので(笑)。無線LANやビーコンです。フリーアドレスをやられる企業は、こういったサービスにとてもご興味を持っていただいています。

「イノベーション=新結合」の意味

――見学ツアーに来られる会社には、業種や規模などに、傾向はありますか。
業界や規模というより、ちょうどオフィスの移転をお考えのお客様が多いですね。あと、会議室の在り方を研究したいとか。「テレビ会議って本当に使えるのか見てみたい」とか、そういったお客様がいます。あとは働き方改革の意識の高い会社さんですね。会社に行って働いて、夜、一生懸命残業する。そういったところだと、人も採用できませんしね。
――いま政府が言う働き方改革は、単純に時間だけの話になってしまっていますよね。
働き方改革は「残業削減」ではなく、本来「どれだけいい企業価値を創るか」なんです。いいサービスや企画がどんどん湧き出る会社は、やはり企業価値が高いです。そういったいいサービスとか企画が湧き出るためには、みんなとコミュニケーションをつなぎ合わせてやる。知らない人と知らない人が合わさると、新しい価値が生まれる。イノベーションって、日本語では、昔は「新結合」って当てていたらしいんです。
――「改革」ではなかったんですね。
いままで出会ったことがない何か何かがつながると、イノベーティブなものになる。諸説あるんでしょうけど、1つの説で「新結合」。そういう環境を会社の中に作る。そういった働き方を作ろうというのが、働き方改革の考え方だと思うんです。「残業削減」とか、「時間を短くしましょう」というだけの話ではないと思います。

最もパフォーマンスを出せる環境で働ける自由と権利

――自然をモチーフにした環境や場所を固定しないフリーアドレス、リモート作業など、「自由」を重んじている印象があります。
働き方改革というのは、やはり時間や場所を拘束するものではないんですね。それではいまの時代のスピードについていけません。働き方改革は、時間内でのパフォーマンスを上げることです。会議をやるだけで仕事をしている気になる人もいます。会社に来れば仕事をしている、残業すれば評価される。そうではなくて、何を、成果を出したかで評価をするという文化に変えなければいけません。
「今日、ちょっと横に座っていい? この件相談したかったんだ」「あ、いいよ」って議論が始まるんです。会議って、会議室だけでやる時代ではなくなっていると思います。ビジネスチャット上で会議したり、ちょっといるから捕まえて話したりすることが多いので。フレキシビリティを生かす上でも、あまりルールを強く設けていないです。
会議室を使う場合は、予約する仕組みが重要なので、会議の目的や参加者から定義して使う運用になっています。みんなが自由に働けることを大前提に思考しています。最もパフォーマンスを出せる環境で働ける自由と権利を、みんなに提供したい。自宅でもいいし、みんなで会って話したければ会社に来ればいい。「その時々で、自分の力をどこで発揮しやすいですか」というのを選べるということです。
あとは、お互いに尊重して「ありがとう」と言い合える文化です。これをうまくやるために、経営理念のカルチャーはそういうふうにしています。
我々の使命は、「Change the Way(やり方を変える)」ことです。働き方、コミュニケーション、会議のやり方をいろいろ変えていくことが使命です。目指すビジョンは、コミュニケーション改革企業ナンバーワンです。変化を恐れないプロフェッショナルであること。スピーディーに意思決定をして、チームワークで困難を乗り越えて、「ありがとう」って言い合って、健康である」というカタチですね。

文・鈴木涼太
写真・大井成義

石原 洋介(いしはら ようすけ)株式会社Phone Appli
株式会社Phone Appli 代表取締役社長 兼 CHO室長。青山学院大学経営学部を卒業。2011年、青山学院大学大学院にてMBA取得。1997年に株式会社APC Japanに入社。2000年シスコシステムズ合同会社に入社し、コラボレーション エバンジェリストを担当。2016年にPhone Appliの代表取締役社長に就任。働き方改革やコミュニケーション改革へ取り組む企業へWeb電話帳を中心とたアプリケーションの企画・開発・販売を行っている。2018年2月には、「もっともパフォーマンスを出せる環境で健康的に働ける」オフィスとして「CaMP」を設立。

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