「運営」では何を目指すべき?イベントを成功に導く「運営力」の高め方【成功するイベント・セミナーの作り方 第6回】

「運営」では何を目指すべき?イベントを成功に導く「運営力」の高め方【成功するイベント・セミナーの作り方 第6回】

イベント専門のコンサルティング会社ホットスケープの代表 前野さんに聞く「【初心者必読】成功するイベント・セミナーの作り方」
第6回目テーマは「運営とは?運営マニュアルの意義と作り方」です。

さあイベント本番までもうわずか。イベント当日のことをどこまで細かく考えればいいのか、それをどうやってマニュアルに落とし込めばいいのか、わからないことだらけだという人がほとんどかもしれません。でも実は、連載第4回の会場の選び方や第5回の集客のヒントのお話でも「当日の動きやすさ」という視点でのアドバイスが実はたくさんありました。

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今回はイベントのプロが「運営」をどう考えているのか、見ていきましょう。

目次

イベントの運営とは、運営力とは

――運営とはそもそも何を指す言葉なのですか?運営は何を目指すべきなのでしょうか?
私の考える運営とは「そのイベントに関わる全ての人の能力を最大にすること」、そして、チーム全体が持つ能力を最大限に活かす力を運営力と呼んでいます。つまり、一人一人が目的意識と責任感を持って気持ち良く働けるように、というのが運営の目指すべきところだと思います。
そのためにはまずイベントのゴール、そしてそれぞれのメンバー、役割分担ごとのゴールをきちんと伝えること。抽象的かもしれませんが、何のためにこのイベントを開催するのか、自分の役割は何のためにあるのか、それをわかっているのといないのとでは発揮できる能力や作業の効率性が大きく変わってきます。
――なるほど、個々人に最大限の能力を発揮してもらうことが大切なのですね。そのために意識していることや具体的なアイデアなどはありますか?
大きなイベントの場合、受付や誘導、ケータリングなどで外注のスタッフを雇うことも多いかと思いますが、私は決して「アルバイトさん」「スタッフさん」などと呼ばないようにしています。それは、一人一人の名前を呼んであげることで、より気持ち良く、また”ジブンゴト”として働いてもらえると考えているからです。
そのため、名札や名前入りのスタッフパスを用意するのもいいですね。雇用主である主催者側の人間が各スタッフの名前を呼びやすいというのもありますが、自分の名前をオープンにして働くということは責任感の向上につながるからです。
――当日限りのアルバイトスタッフでも、名前を呼んでもらえると嬉しいですしちゃんとやらなきゃ!といい緊張感を持つことができそうですね。運営力を高めるヒントを他にも教えてください。
朝礼や終礼、おこなっていますか?情報共有という要素も大いにありますが、イベント前後のこのわずかな時間にも、運営力を高めるチャンスが潜んでいるのです。
朝礼や終礼では、イベントのゴールの共有、役割ごとのメンバー紹介などをすることで、目的意識と責任感をしっかり持ってもらいましょう。
大げさにいえば「魂の注入」の場ですね。全員が同じ熱意で同じ方向を目指して進んでいく、そのための空気感を醸成し共有できればそれはいい朝礼・終礼といえるでしょう。
その他、細かい話でいえば、接客時のNGワードや挨拶の言葉決めなども、全員が集まる朝礼や終礼の場でおこなえるといいですね。来場者をお出迎えするときの挨拶は「いらっしゃいませ」なのか「こんにちは」なのか「ようこそ」なのか。
外国の方の来場が多く見込まれているときは「こんにちは、Thank you for coming」と日本語と英語の混合になるかもしれませんね。「弊社」はNGで「わたくしども」を使うとか自社名を毎回口に出すとか、お医者さん対象の医療系セミナーなどで「お客さま」はNGワードで、呼びかけるときには「先生」を使うとか、言葉遣いのルールがあれば朝礼で確認しましょう。使う言葉のわずかな違いが、与える印象を大きく左右することも少なくありません。
想像してみて欲しいのですが、キャラクターや物語の世界観が作りこまれたテーマパークで「いらっしゃいませ、弊社のキャラクター商品をぜひご覧ください」などと声をかけられたらがっかりしませんか?
このように、イベントのゴールに合わせて接客のスタイルを検討し、決まったことは全員に共有しましょう。
ポイント
  • そのイベントに関わる全ての人の能力を最大にすることが運営の目指すべきところ。
  • 一人一人が目的意識と責任感を持てるように工夫することが、運営力を高めることにつながる。

運営マニュアルの必要性とは

――計画書もそうでしたが、運営マニュアルも何から手を付けていいかわからない…という方が少なくないはず。毎年同じことをする小さな社内イベントだったら、そもそもマニュアルの必要性を感じにくいかもしれませんね。
運営マニュアルは絶対に必要です。確かに慣れないうちはかなり大変な作業になるかと思いますが、絶対に作るべきですので、どんなものでもとにかく作ってみてください。マニュアルはなにも分厚いものがいいというわけではありません。実施当日の「設計図」や「ルールブック」の役割を果たす書類を目指しましょう。
連載3回目でお話した6W2H(When いつ、Where どこで、Who 誰が、Whom 誰に向けて、What 何を、Why なぜ、How どのように、How much いくらで)が書かれていれば、A3用紙一枚のマニュアルでもまずは充分です。イベントの経験を積むごとにどんどん充実させてほしいのですが、A3一枚のマニュアルでもあるのとないのとでは雲泥の差ですよ。
――とりあえずA3用紙一枚のマニュアルを自分なりに作り上げた後、どのようにそのマニュアルを改良していけばいいのでしょうか?
当日、マニュアルをもとにメモを取ることもとても大切です。6W2H、例えば前日・当日のタイムスケジュールや役割分担など基本的な情報以外何を載せればいいのかわからないというときは特に、イベント実施時にたくさんメモを取りましょう。
開会式の時間が5分押した、配布資料が足りなくなってしまった、この角度からはスクリーンが見えにくかった、会場の広さのわりに通路がせまかった、などですね。
まずは、当日困ったことをなるべく細かく記録として残しておきましょう
「受付が混みあって大変だった」ではなく「朝10時台の受付、特にチケット忘れの列が長くなってしまっていた」「クロークでトラブルが発生した」ではなく「想定よりも上着のお預けが多くハンガーが足りなくなったが、ハンガーを追加するまでも預かりをストップできず混乱が生じていた」というように、状況を素早く観察してそれを忘れないうちにメモを取ってください。
そういったメモが次回のマニュアル作りの際に役立ちます。「受付は朝10時台が混雑のピーク」「クロークの備品が足りなくなったときどう対応するか」という情報をマニュアルに書き込み、配置する人員や用意する備品の数を増やす。マニュアルを作り、メモを取り、さらにマニュアルを充実させる…この繰り返しです。
このように運営マニュアルはチーム全体が持つべき共通知識であり、また、次回へ引き継げるデータのストックとしての役割を果たすべきなのです。
ポイント
  • まずはA3用紙一枚だけでもいいので、6W2Hのきちんと書かれた運営マニュアルを作ること。
  • 運営マニュアルはイベント当日の設計図でありルールブックであり、そしてメモを取る際のもとになる文書。
  • メモが足されたマニュアルを次回に引き継ぐことで、より有用なマニュアルが作られることになる。

運営において、運営マニュアルはとにかく大事なものだと、前野さんは終始強調していました。ホットスケープなどイベントコンサルティングの会社では、マニュアル作りのお手伝いもしてくれるそうです。
大きなイベントを担当することになったときは、運営の初期の段階、つまりマニュアルなどの作成段階からプロに外注するという選択肢も持っておくといいですね。

第7回も引き続き運営についてお話ししてもらいます。
次回のテーマは来場者管理と備品管理について、運営のより細かいポイントを取り上げますよ。
どうぞお楽しみに!

取材協力:前野 伸幸(まえの のぶゆき)
株式会社ホットスケープ 代表取締役。
27年前の独立起業当初より、多くの大手企業からのミーティング・インセンティブ・各種セミナー・イベントを直接受注。企画・進行・運営をワンストップで数多く手掛けている。
その一方で、イベント施設・会議施設のコンサルタント・運営でも多くの実績を残す。「虎ノ門ヒルズフォーラム」のコンサルタントを自らが担当し、さらに「六本木アカデミーヒルズ」も加えた両施設の運営・管理業務も受託。また宮崎の「フェニックス・シーガイア・リゾート」のコンベンションセンターのリニューアルにて、マーケティングリサーチから発注先選定・機材選定や営業戦略策定まで広域にわたるコンサルティングを担当。
施設を貸し出す側と施設を利用する側の双方の立場で経験を積み、そのノウハウを活かして活躍中。
http://www.hotscape.co.jp/

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