会場が公表しているキャパ数を疑え?失敗しない会場選び、手順と考え方をご紹介【成功するイベント・セミナーの作り方 第4回】

会場が公表しているキャパ数を疑え?失敗しない会場選び、手順と考え方をご紹介【成功するイベント・セミナーの作り方 第4回】

イベント専門のコンサルティング会社ホットスケープの代表 前野さんに聞く「【初心者必読】成功するイベント・セミナーの作り方」第4回目テーマは「会場の選び方」です。

これまでイベントの目的設定の大切さやそれを軸に置いた企画書・計画書の書き方などを扱ってきましたが、今回はいよいよ会場選びのコツを取り上げます。
連載第1回で触れているのですが、前野さんは会場を貸し出したり管理したりする会社にお勤めしていた経験もあり、また現在でも森ビルのカンファレンス施設のコンサルティングを務めるなど、イベント会場のことを知り尽くした方なのです。

イベント企画・運営が丸分かりに!【成功するイベント・セミナーの作り方 第1回】

会場選びがどんなに重要で、そしてどんなに大変なのか…これはイベント初心者でも想像がつくのではないでしょうか。どのような点に気をつけて会場を比較検討すべきか、早速教えてもらいましょう。

目次

会場選びの際もイベントの目的やゴールを思い出して

――会場というあまりに大きな要素、どこからどんなふうに決めていけばいいのでしょうか?
第1回でもお話ししましたが、そもそも100点満点の会場なんてありません。理由はかんたん、会場に求めることがイベントの目的や成功の定義によって変わるからです。とにかくアクセスを優先するのか、賑やかすぎるところは避けたいのか。映像や音響の設備が整っているところがいいのか、自由に機材や備品を持ち込めるところがいいのか。
つまり、どのような項目を重視するのかが定まっていないと、会場は選べません。そして、重視するポイントというのは、イベントの目的や成功の定義から導き出されるものです。
例えば、より多くの人を動員したいならやはりアクセスの良いところがいいですし、反対に「特別な方々のみ招待していますよ」というシークレットイベントならば駅から遠くてもそれを演出できる周辺環境をとりますよね。
また、基本的に設備や備品が整っているに越したことはないと思いがちですが、例えば自前で特別な演出をしたい場合は機材をすべて持ち込むので多くは求めない、搬入時間を長く設定できたりスムーズな搬入導線が確保されていたりするほうが重要、といったケースもあります。
ポイント
  • この会場を選べばイベントは大成功!というような万能な選択肢など存在しない。
  • 会場の何を重視すべきかわからなくなったときは、イベントの目的やゴールに立ち返ること。

会場を選ぶときに注意したいこととは

――計画書作成も会場選定も、すべての要素はイベントの根幹である目的・ゴールにつながっているのですね。自分たちが重視したいポイントが整理された後、はじめにどんなことに注目すればいいでしょうか?
会場が提示しているキャパを疑え。
まずはこれを覚えておいてほしいです。
イベントの会場を選ぶとき、まずはインターネット上で検索をかけ条件を見ていくかと思います。
他のどんなことを忘れていたといても、必ず会場のキャパシティ(収容能力)は確認するはずですが、サイトに書いてあることを鵜呑みにしてしまうと、後々面倒なことになる場合も。
例を挙げると、サイト上でキャパが50人と表示されていても、それは最大収容可能人数、つまり、ちょっとぎゅうぎゅうだけどなんとか…ステージやスクリーンが見づらい席も含めて…というギリギリの込み具合の場合かもしれません。
まずは人数と同時に会場の広さ(面積)や図面をチェックする癖をつけましょう。
――でもイベント運営の初心者にとって、どのくらいの広さでどのくらいのことが実現するのか、想像するのは難しそうですね。どうすればいいのでしょうか?何か基準はありますか?
それはその通りです。
必要な広さというのはイベントの参加人数だけで決まるものではありません。
例えば飲食を伴うイベントならば、着席形式と立食形式では同じ会場でも収容できる人数に差が出ますよね。セミナーや会議でも同じように、スクール形式かシアター形式か、ロの字形式かコの字形式か対面形式かなど、組みたいレイアウトによって収容可能人数は変わってきます。
会議室.COMなど大手の予約サイトでは形式ごとのキャパが表示されているので、多少イメージはつきやすいかと思いますが、その数字も疑う癖をつけましょう。椅子や机同士のあいだ、前後の間隔や通路の幅をぎりぎりにした場合のキャパかもしれません。
となるとやはり、下見に行くというのが解決策になるかと思います。
社内向けの小さなイベントで開催日時が迫っている場合でも、イベントの初心者であれば会場の下見はなるべくおこなってほしいものです。
ポイント
  • 会場が示すキャパを疑い、なるべく下見に足を運ぶこと。
  • イベントの内容や形式で必要な広さは異なる。

下見の際、必ず確認すべきポイントとは

――キャパだけでなく、下見をしてわかることは多そうですね。ところで、下見は一人で行ってしまっても大丈夫でしょうか?
社外の人を呼ぶ大きなイベントの場合は、何件か下見に行って会場を決めることになるでしょう。
そんなときは男女ペアで出かけることをおすすめしています。なぜならばトイレなどの男女別の設備をチェックできるから。
イベントの特性によりますが、女性用トイレはメイク直しのスペースがあったりパウダールームが別に設けてあったり、個室の中に着替え時に乗るボードが用意されていたりするとプラス評価になりますよね。
また、トイレは数や場所も確認しましょう。
参加人数が多かったり、セミナーの休憩時間など人が集中しやすい時間があったりする場合は、他のフロアのトイレを借りることができるのか聞いてみるのもいいでしょう。喫煙所も同じような視点でチェックすることができます。
――確かに男女ペアで行くメリットは大きそうですね。下見の際に注意して見るべきポイント、他にどのようなものがありますか?
もちろん、確認すべきポイントは他にもたくさんあります。
天井の高さは充分でしょうか。下がり天井やシャンデリアがある場合、演出の邪魔にならないものでしょうか。
上を見たら下も確認しましょう。
床はどうでしょうか。高級感がある絨毯なのか、自前で何か敷くことができるのか。濡れた靴で歩くと滑りやすそうとか、機材を運び込むときに傷がつきそうだから気をつけようとか、お客さん目線・運営目線の両方で観察してみてください。そして、見えない設備にもしっかり目を光らせましょう。携帯電話の電波は届いていますか。大手3キャリアの通信状態は確認できるといいですね。
お客さん目線で、会場までスムーズにたどり着けましたか。
駅から遠くなくても、その最寄り駅の出口が多くて混乱するかもしれないとか、雨の日は少し遠回りでも地下のルートを使ったほうがいいかもしれないとか、小さな困りごと・面倒ごとを先回りして見つけ、注意を促したり情報を提供したりしましょう。
運営目線では、駐車場や搬入口、搬入エレベーターは使いやすそうかということも重要。
広さや高さに制限はあるのか、使用するフロアやセクションまでの導線を実際に歩いて目で見て確認してください。駐車場はイベントの前後どのくらいの時間使うことができるのかも合わせて尋ねておきましょう。
その他にも確認してほしいポイントはたくさんあります。
ポイント
  • トイレなどを確認するためにも、下見には男女ペアで出かけるのがおすすめ。
  • 会場内ではもちろん、会場に着くまでの段階でも、お客さん目線で、運営スタッフ目線で、と想像力を働かせて歩き回ること。
――会場設備は見るだけでなく「一緒に質問しておくといいこと」がたくさんあるのですね。下見の場でわかること以外に気をつけておきたい点にはどんなものがありますか?
会場選定において、設備や用意されている備品などの物以外で重要なのが、ルールです。
例えば飲食を伴うイベントの場合、指定の業者がいてそこから頼まなければいけないのか、自由に持ち込んでいいのか、条件付きで持ち込みがOKなのかどうか。
他にも割れる可能性のある食器はNGで使い捨ての食器のみ使用可能とか、アルコールは禁止とか、残った食品や生ごみは持ち帰らないといけないとか、意外と確認すべきことは多いのです。
また、イベント後の後片付けについても忘れずに。ごみの分別の仕方や処理の際の費用は聞いておきましょう。飲食をしなくてもごみというのは必ず出るものです。
それから、小さな会議室などで動かした椅子や机などを元に戻す必要があるのならば利用時間の少し前にイベントを終わらせないといけません。
反対に大きな会場では、片付けは最小限でいい、こちらの用意した機材には勝手に触れないでほしいというルールがあるかもしれません。
このように会場が設定しているルールが厳しいほど、イベントの演出や運営に制限がかかります。ルールの中で動こうとすると余計に発生する労力や費用もコストのうち。
前回の記事の中で「イベント企画のフレームワークの1つ、How muchを考えるときはトータルコストで考えるべし」というお話をしましたが、会場選びにおいても利用料金や設備といったわかりやすいものだけでなく、ルールや制限といった目に見えないコストもしっかりと考慮に入れましょう。

企画書はラブレター?イベントの魅力が十二分に伝わる企画書・計画書の作り方【成功するイベント・セミナーの作り方 第3回】
ポイント
  • 下見のときは目に見える「物」だけでなく、目に見えない「ルール」も確認すること。
  • 会場側が設定したルールによってコストが上下することがある。

さすがイベント会場を多方面から知り尽くした前野さん、細かいながらも実践的なポイントをたくさん挙げてくれました。

会場まで決まればイベント企画もいよいよ佳境。
次回は集客のポイントやヒントについてお話ししてもらいます。どうぞお楽しみに!

取材協力:前野 伸幸(まえの のぶゆき)
株式会社ホットスケープ 代表取締役。
27年前の独立起業当初より、多くの大手企業からのミーティング・インセンティブ・各種セミナー・イベントを直接受注。企画・進行・運営をワンストップで数多く手掛けている。
その一方で、イベント施設・会議施設のコンサルタント・運営でも多くの実績を残す。「虎ノ門ヒルズフォーラム」のコンサルタントを自らが担当し、さらに「六本木アカデミーヒルズ」も加えた両施設の運営・管理業務も受託。また宮崎の「フェニックス・シーガイア・リゾート」のコンベンションセンターのリニューアルにて、マーケティングリサーチから発注先選定・機材選定や営業戦略策定まで広域にわたるコンサルティングを担当。
施設を貸し出す側と施設を利用する側の双方の立場で経験を積み、そのノウハウを活かして活躍中。
http://www.hotscape.co.jp/

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