リスク管理・安全管理について【成功するイベント・セミナーの作り方 第11回】

リスク管理・安全管理について【成功するイベント・セミナーの作り方 第11回】

イベント専門のコンサルティング会社ホットスケープの代表 前野さんに聞く「【初心者必読】成功するイベント・セミナーの作り方」
第11回目テーマは「リスク管理や安全管理」です。

落し物や忘れ物の取り扱い、病人が発生した場合や災害が起こった場合の対応など、きちんと考えていますか?そんな大げさな…と思う方もいるかもしれませんが、たくさんの人を一ヶ所に集め何かを執りおこなうからにはそういったリスクや安全を管理する責任があります。楽しいイベントや有意義なイベントを作り上げるために欠かせない「安全」をどう確保するか、イベントをスタートさせる前に改めて考えてみましょう。

目次

想像以上に危険な「混雑」を防ぐために

――花火大会や人気アイドルのコンサートなどで人が殺到してけが人が出てしまったというニュースは時々耳にしますよね。イベントにおける人の流れ、導線について気をつけるべきことを教えてください。
人の流れのコントロールは本当に大切。ある時間帯、ある場所に人が集中してしまうという状態をなるべく作らないように工夫が必要です。
まず、ステージ企画が終わった後など人々が一斉に動き出すタイミングを把握しましょう。そして、どうすればその人の流れをゆるやかにできるかを考えてみてください。
退出の時間を少しずらすのによく使われる手段はアンケートです。例えば、来場者の座る席にアンケートを置いておき、出口付近で回答済みアンケートと引き換えにノベルティやお土産を渡すパターン。
アンケート記入にかかる時間には多少差があるため、一気に会場から人があふれだすという状況を回避することができます。また、お土産渡しをおこなうスタッフの人数や場所を調整することで、出口前後の人の流れをある程度コントロールすることができます。
――講演やプレゼンテーションの終了時だけでなく、イベントの全時間帯を通して注意しなければならないことはありますか?
エレベーターやエスカレーターなどの乗り物系は要注意です。エレベーター待ちをするスペースが十分に広ければいいのですが、そう贅沢な空間の取り方をしている会場は多くはないもの。エレベーターに一気に人が流れるタイミングがありそうなら、少しでも分散させるよう工夫をするか、誘導案内に人員をしっかり割きましょう。また、連続的に人を運び続けるエスカレーターは降り口付近にも注意を払う必要があります。エスカレーターを降りてすぐの場所に受付やクロークを置くという危険な配置がなされていないか、念入りに確認してください。
ポイント
  • 一度にたくさんの人が動き出すタイミングを把握すること。
  • 狭い通路やエレベーター・エスカレーターなどの乗り降り口の混雑には特に注意。

甘く見ると後々面倒になる落し物・忘れ物対応

――落し物や忘れ物くらいとりあえず誰かが預かっておけばいい…なんて考えではいけないということですよね?
その通りです。財布やスマートフォンなど高価でかつ個人情報がぎっしり詰まったものの管理を見くびってはいけません。持ち主以外の人に返してしまうなどといったことが起こらないよう、落し物や忘れ物を見つけた際の対応をきちんと考えておいてください。
どこで預かるか誰が管理するか、落し物・忘れ物カウンターを設置するのか会場アナウンスで広く伝えるのか、持ち主が現れたときどう対応するか…
物自体のルート(保管場所と引き渡し場所)と情報のルート(連絡網)はなるべく多くのスタッフに把握してもらいたいですね。当日限りのアルバイトスタッフさんにも、落し物・忘れ物を見つけたときや持ち主が現れたとき誰に報告すればいいのか(担当者は誰か)という情報だけでも最低限共有したほうがいいでしょう。
ポイント
  • 大きなイベントでは必ず発生する落し物・忘れ物。
  • 担当者と保管場所は事前に必ず決めておくこと。

けが人や病人が発生した場合や地震や火災が起こってしまった場合

――起こらないほうがいいことではありますが、こういった非常時の動きも確認すべきですよね?どのような準備をすればいいのでしょうか?
すぐにできることといえば、会場内のチェックです。非常口や消火器、スプリンクラーの位置は必ず確認しマニュアルにも反映させましょう。
初期対応の遅れや先ほど触れた過度の混雑、設備の管理不足などによるけがの発生はなんとしてでも防がなくてはなりません。しかし、貧血や脱水症状など運営側ではなかなか防ぎようのない来場者個人の体調不良が起こることもあります。
そういった場合に備えて、まずけが人や病人を発見した際、どこの誰に連絡を取ればいいのかというところから整理しましょう。例えば、真夏の野外音楽フェスなどの大きなイベントなら救護手当専門のチームを抱えていることが多いですよね。また、大きなコンベンションセンターやスポーツイベント会場なら救護室がある場合がほとんどです。
このように運営を頼んでいる会社や開催会場の専門スタッフにけが人や病人をお任せする場合でも、社内に緊急対応の責任者・連絡担当者を置きましょう。運営に関わる全スタッフが医者や看護師というわけではない以上、けがや病気の発生を確認したときに素早く正確に情報を伝達することが大切だからです。
さらに、もうひとつ重要な確認事項があります。それは救急車の呼び方。
必要だと感じたときに自分たちで呼んでしまっていいのか、会場を通したほうがスムーズなのか、救急車をどう呼ぶべきなのか事前に確認してください。
――特にイベントを頻繁におこなうといった会社では、医療チームに引き渡すまでや救急車が到着するまでの応急手当くらい知っておきたいもの。前野さんは救命に関する講習を受けたことがあるんですよね。やはり難しい講習なのでしょうか?
救命講習にも様々な種類があり、入門コースなら45分の講習時間で受講証をもらえます(※東京消防庁の場合)。
もちろん証明書を持っているから偉いというものではありませんが、講習を受けることによっていざというときに慌てなくて済むかもしれません。私たちのようにイベントを常に扱う会社の人間としては、最低限の知識はつけておいたほうがいいのではと思っています。
この連載を読んでいる皆様も、大きなイベントに関わる前や、定期的にイベント運営をするようなポジションになったときには、一度消防庁などのウェブサイトを見てみるといいでしょう。
地域ごとに内容は異なりますが、例えば東京都では45分の入門コースから4時間でAEDの使い方が学べるコースや、8時間かけて取る上級資格のコースまで幅広い講習が用意されています。
ポイント
  • けが人や病人は出ないことを祈りつつも、出てしまったときに慌てず動ける体制に。
  • イベントに頻繁に関わる人は消防庁の救命講習などで知識をつけると安心。

イベント保険の検討

――イベントの主催者が入れる保険というものがあるんですね。どのようなものを選べばいいのでしょうか?
イベント保険はとても複雑です。また、ひとつ入ればすべてをカバーできるというものはなかなかないので、どの分野にどの程度保障をかけたいのかをまずはじっくり検討し、その後イベント保険に詳しい代理店に相談しましょう。
イベント会場で起こったけが、イベント会場の物品の損傷、イベントの延期や中止時の費用など、起こりうる問題に対してひとつずつ対策となる保険を探し組み合わせるイメージです。最近はMICE保険*というパッケージ保険も出てきていますので、うまく活用してみてください。

*”国際会議、学会、展示会、イベントをはじめとしたMICEの開催時には、看板やのぼりが倒れる等の「施設リスク」、借りた施設の破損に対する「借用建物リスク」、参加者の熱中症やケガなどの「傷害リスク」、提供した飲食物による「食中毒リスク」、お預かりした荷物に対する「受託物リスク」等があります。MICE保険は、これらMICE特有のリスクに対する補償をパッケージ化した保険です。”
https://www.jihoken.co.jp/social/mice/index.html

ポイント
  • 全体をカバーできるよう組み合わせてかけるというのがイベント保険の基本。
  • ただしとても複雑になるので、知識や実績を持った専門家や代理店に相談するのがいい。

落し物の扱い方から、救急車の呼び方、さらにはイベント中止時の保険の検討まで、予想以上に様々なトラブルやリスクがイベントにはつきもの。それらを事前に把握し対処の方法を備えておくことで、被害を最小限に抑えることができるのです。少々心配性すぎるくらいにたくさんの状況をシミュレーションし、トラブルが発生しても冷静にスムーズに動けるよう準備を進めていってください。

さて、次回はいよいよこの連載の最終回です。
これまでの掲載内容を1つの記事で確認できるようまとめて紹介します。イベント企画に取りかかる前やイベント運営開始の直前などにおさらいとして読んでいただければと思います。
どうぞお楽しみに!

取材協力:前野 伸幸(まえの のぶゆき)
株式会社ホットスケープ 代表取締役。
27年前の独立起業当初より、多くの大手企業からのミーティング・インセンティブ・各種セミナー・イベントを直接受注。企画・進行・運営をワンストップで数多く手掛けている。
その一方で、イベント施設・会議施設のコンサルタント・運営でも多くの実績を残す。「虎ノ門ヒルズフォーラム」のコンサルタントを自らが担当し、さらに「六本木アカデミーヒルズ」も加えた両施設の運営・管理業務も受託。また宮崎の「フェニックス・シーガイア・リゾート」のコンベンションセンターのリニューアルにて、マーケティングリサーチから発注先選定・機材選定や営業戦略策定まで広域にわたるコンサルティングを担当。
施設を貸し出す側と施設を利用する側の双方の立場で経験を積み、そのノウハウを活かして活躍中。
http://www.hotscape.co.jp/

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