会社の研修では交通費が出ない?注意すべき研修費用での自己負担

会社の研修では交通費が出ない?注意すべき研修費用での自己負担

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企業では、新人研修や階層別研修など、社員の成長を促すさまざまな研修が実施されています。

これらは組織の発展に欠かせない人材育成の取り組みですが、実施するにあたって人事担当者が押さえておくべき重要なポイントがいくつかあります。

今回は、研修期間中の労働時間の扱い、研修費用の考え方、賃金支払いの要否、さらに内定者研修にかかる費用などについて、分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次

研修の種類やかかる費用について

研修の種類やかかる費用について

「研修といっても種類はさまざまで、ほとんどの企業でおこなわれる新入社員研修のほか、管理者研修や経営幹部研修などがあります。

研修の形態についても、社内で実務をこなしながらおこなうOJTや職務外でおこなうOFF-JTのほか、社内に講師を招いた研修など、実に多様です。

また、研修は1日のみの場合もあれば、数日かけて宿泊をともなうこともあります。

研修にかかる費目としては、講師派遣費用や教材費、会場費や宿泊費や飲食費のほか、研修提供会社への委託費やセミナー参加費、研修参加者への賃金や交通費などが挙げられるでしょう。

企業が研修にかける金額はどのくらい?

産労総合研究所がおこなった「2024年度教育研修費用の実態調査」によると、従業員1人あたりに換算すると34,606円という結果になっています。

参照|産労総合研究所 https://x.gd/KowRR

ちなみに、厚生労働省が2023年におこなった「能力開発基本調査(企業調査)」によると、企業が教育訓練のために支出した1人あたりの平均額として、OFF-JTでは15,000円、個人への自己啓発支援費用として3,000円という結果となりました。

労務・総務にかかわる注意したい6つのこと

労務・総務にかかわる注意したい6つのこと

1.研修に参加する時間は労働時間とみなされるか

社員の研修参加は労働時間にカウントされるのかどうか、これは、研修の目的や内容によって変わってくるでしょう。

社員に対し、業務命令として半強制的に研修を受けさせる場合は、当然研修に参加している時間は労働時間とみなす必要があります。

業務命令ではなくても仕事をする上で必要不可欠であったり、実務に必要であったりする研修の場合は、同じく労働時間とみなすのが一般的です。

また、社員や顧客の安全配慮のために必要な防災研修や、消防法に基づいておこなわれる消火・避難訓練についても労働時間とみなすべきでしょう。

2.労働時間とみなされない研修は?

さまざまな研修やセミナーがある中で、社員の意思によって参加・不参加が自由に選べる研修の場合、労働時間とみなす必要はないといえます。
ただし、自由参加といいながらも、実際には後々の人事評価に影響するようなら、それは強制参加に近い状況のため労働時間とみなす必要があると考えられます。

3.研修の費用は誰が負担するのか

社員を研修に参加させるとなると、当然費用が発生します。研修費は企業側が持つのか、または社員が負担するのかどうかは、研修の目的によって異なります。
企業が受講を推薦していて実務にかかわりがある研修の場合は、企業側が費用を負担するのが一般的です。しかし、企業が「特に受講させる必要がない」と考える研修を参加者が自主的に受けるという場合は、参加者本人が費用を負担すべきケースが多いでしょう。

4.研修受講時の賃金はどうするか

就業時間中に研修に参加しているとしても、実際には会社の業務をおこなっているわけではありません。

この場合、研修費は企業側が負担したとしても、賃金の支払いについて頭を悩ます人事担当者もいるようです。

賃金については通常の業務と同様の金額ではなく、国が定めた最低賃金以上の額を払えばよいとも考えられます。

しかし、そのためには就業規則にその旨をあらかじめ記載しておく必要があり、記載がない場合は通常業務と同様の賃金を支払うのが一般的のようです。

5.内定者研修について

採用が内定してから、実際に入社するまでに研修をおこなう企業も多いですね。

いわゆる内定者研修と呼ばれるものですが、まだ正式な社員ではないため、研修費や支払い賃金はどうすればよいか気になるところです。

内定者研修については、入社後実務に必要不可欠である知識やスキルの向上を目的とした研修の場合、企業側が研修費用を負担する必要があります。

また研修参加者は、この期間中、使用者の指揮命令下におかれ拘束されている状態といえます。そのため、まだ正式に入社していなくても研修受講中の賃金を支払うべきだと考えられるでしょう。

賃金の支払い額については、あらかじめ就業規則などに定めがなければ通常業務と同様の金額を支払うのが一般的です。企業によっては、研修期間中はアルバイト採用とし雇用契約書に基づいた賃金を支払うところもあるようです。

6.研修費の科目内訳

大まかに研修費といっても、実際には細かい費目が存在します。

講師派遣費用や研修提供会社への委託費、会場費や宿泊費、飲食費、研修参加者の賃金や交通費などです。

実はこれら研修にまつわる費用について、すべてを「研修費」として計上できない場合があります。中小企業庁では、教育訓練費について「使用人の職務に必要な技術または知識を習得させ、または向上させるために支出する費用」と定めています。

【研修費として認められるもの】
・外部講師への謝礼金
・外部の施設や設備や器具などにかかる費用
・研修で使用する教材などの費用
・研修プログラムの作成費用
・外部に委託して研修に参加させる費用
・外部がおこなう研修に参加させる費用

【研修費として認められないもの】
・参加者への賃金
・参加者の交通費や宿泊費
・視察にかかった費用
・自己啓発など職務に必要ではない研修への参加費

このように賃金や交通費、宿泊費のほか、視察のためにかかった費用については研修費として計上することができないので注意しましょう。

交通費・宿泊代・視察代は「旅費交通費」として、また、研修後の懇親会などでかかった費用については「接待交際費」として計上するのが一般的です。

まとめ

いかがでしたか?

研修の費用負担は、その目的や業務との関連性によって変わります。

業務に直結し、企業として受講してほしい研修であれば、企業側が費用や賃金を負担する必要がありますが、業務との関連性が薄く、社員の自主的な参加による研修は、個人負担となるケースが一般的です。

また、厚生労働省の調査では、企業が自己啓発支援として「1人あたり平均3,000円」を補助しているという結果もあり、福利厚生の一環として一定額を支援する企業も増えています。

研修内容に応じて費用負担を判断しつつ、適切な運用を心がけましょう。

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