プレゼンの正体【第1回】

プレゼンの正体【第1回】すごいプレゼン代表 松永俊彦

皆さん、こんにちは。すごいプレゼン、代表プレゼンコーチの松永俊彦です。

このコラムでは「プレゼンの極意」をテーマに、皆さんと一緒にプレゼンについての理解を深めていきたいと思います。

プレゼンという言葉は、最近では聞きなれた言葉です。では、いまここで「プレゼンとは何をすることを指しますか?」と聞かれたら、皆さんはなんと答えるでしょうか? 少し考えてみてください。

自分なりの答えを持ってから、この先を読み進めてくださいね。

目次

プレゼンの正体

はい、ではいきましょうか。
●大勢の聞き手の前で、自分の意見を伝えること
こんな感じで考えた方はいらっしゃいますか?これはありますね。自分の意見を伝えることはプレゼンにおいてとても重要なことです。
●資料を作成すること
確かに、プレゼンには資料がつきものですね。スライドに投影しながらわかりやすい話を展開していくことも、重要なことです。
●わかりやすく話すこと
何を言っているのかわからない人の話は、たとえそれが5分であっても相当な苦痛を伴います。聞き手にとってわかりやすい話し方を心がけることも重要です。
このように、さまざまな要素から構成されているプレゼンですが、じつはここまでで挙がっている要素は手段であり、プレゼンの目的ではありません。
では、プレゼンの目的はいったい何なのか?
それは、「聞き手に行動してもらうこと」です。
たとえば、資金調達のために驚くほど美しい資料で、流暢に、わかりやすいプレゼンをしたとしても、聞き手から「すまない、今回は力になれない」と言われたとしたら、このプレゼンは失敗ということになります。そうです。聞き手はこちらの望む行動をとってくれなかったからです。
では、聞き手に行動してもらうためには何が必要なのか?
これがプレゼンの正体です。
じつはプレゼンは、自分が話したいことを話すものではないのです。プレゼンは、「聞き手が知りたいことを話すもの」です。
もし資金調達を行いたいのであれば、あなたがどれほど自社サービスの素晴らしさを伝えたとことで聞き手はお金を出そうとは思いません。
少し考えてみてください。
もし仮にあなたがお金を出資してほしいと頼まれたら、プレゼンで何を聞きたいでしょうか? この視点を持つことで、あなたのプレゼンは格段にレベルアップします。
たとえばもし私が聞き手役だとしたら、
①そのサービスの市場は、どれくらい大きいのか? 成長性はあるのか?
を知りたいです。まだ市場がないということであればテストマーケティングで構わないので顧客の声を調査してほしいと思いますし、すでに大きな市場規模が存在するということであれば顧客のニーズがあることを確認できます。
そして、
②競合にはどのような企業がいるのか?
も知りたいです。巨大企業が高い参入障壁を築いているとなると、ここからの参入は難易度が高いと考えます。小さな企業でもいまから新規参入の余地があると感じれば可能性はあります。
③そんな中で、なぜうまくいくと考えているのか?
については具体的な根拠と一緒に聞きたいです。その会社の独自性があるのであれば成功確率も高くなるでしょう。独自性もなく、他がうまくいっているからやりたいということであれば少し難しいかもしれません。
このように、聞き手が知りたいであろうことを先回りして考え、伝えることで聞き手に行動してもらいます。
これこそが、プレゼンの正体なのです。
ですから、間違っても「絶対にこれを伝えたいんだ!」という自分の意見だけにこだわってはいけません。
プレゼン(プレゼンテーション)の語源は「プレゼント」です。誰かにプレゼントを渡すとすれば、相手が何をもらったら喜ぶかについて事前に調査しませんか? あなたが渡したいこだわりの置物を強引に渡したとしても、喜ばれる可能性は低いでしょう。
相手に喜んでもらえる可能性が高いプレゼントを用意してから、
・どこで渡すか
・いつ渡すか
・どうやって渡すか
・何に包んで渡すか
・何と言って渡すか
などの手段を検討するはずです。
これらの手段がプレゼンでいえば配布資料、投影資料、伝え方、会場などにあたります。手段ばかりに目が行ってしまい、本来の目的を見失ってしまっては元も子もありません。
自分が伝えたいことよりも、相手が聞きたいことを優先する。これこそが正しいプレゼンであり、貴重な相手の時間を頂いていることに対する礼儀だと思います。
もし自分が聞き手側の立場だったとしたら、どのような話を聞きたいか?という視点をもって、プレゼンの事前準備に取り組んでみてください。あなたのプレゼンがより良いものになることを心から願っています。
※当コラムは著書『感動させて→行動させる エモいプレゼン』を基に補筆したものです。
松永俊彦(まつなが としひこ)
すごいプレゼン代表。プレゼンコーチ。塾教師として入社初年度から生徒支持率95%以上という驚異的な成績を誇り、多くの生徒を地域トップ高校をはじめとする難関校合格へと導いた。学力だけにとどまることなく人間力を成長させる指導は生徒、保護者から絶大な支持を得た。その後、教師育成だけにとどまらず、ビジネス領域の一般企業研修、営業指導領域でもHPPMの効果を実証し、セミナーや研修を通じて世の中に輩出したプレゼン生徒数は1500名を超える。著書に『感動させて→行動させる エモいプレゼン』(すばる舎)がある

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