マネージャーが“見張って”いては生産性は上がらない【スマート会議術第86回】

マネージャーが“見張って”いては生産性は上がらない【スマート会議術第86回】株式会社ソニックガーデン 代表取締役社長 倉貫 義人 氏

管理職も肩書きも会議もない。新人もベテランもみな同じプレイヤー。組織の既成概念を次々と壊してきた株式会社ソニックガーデン。果たしてこれで会社組織が成り立つのだろうか。

また同社は、システム開発の常識だった一括請負型の受託開発に対し、“納品のない受託開発”という新たなビジネスモデルを提示。月額定額の顧問契約でシステム開発をしている。

ソニックガーデンを率いる倉貫義人氏は、どのようにして業界の常識を覆す発想を手にすることができたのか。その原点は、従来の人海戦術と型通りの手順で開発していくプロセスに矛盾を抱いたことから始まったという。

「心はプログラマー、仕事は経営者がモットー」と語る倉貫氏に、時間や会議の効率化、マネジメント、生産性の向上など、働き方改革のあり方についてお話を伺った。

目次

管理とは“見張る”ことではない

――働き方改革といっても「時短」ばかりを気にして、実際にどう効率化すればいいのか戸惑っている会社も多いと思います。残業ができないから、結局家に帰って仕事をするとか。
働き方改革が上手くできないのはマネージャー層がマネジメントをできていないからだと思います。本来、社員のパフォーマンスを上げること、成果が出るようにすることがマネージメントです。しかし、日本のマネージャーは“見張る”ことばかりを考えてしまう。チェックリスト通りに仕事をしているかどうかを見張るとか、時間通りに仕事をしているかを管理することを、マネジメントだと思っている人が多いのです。
でも、本来は見張ることがマネージャーの仕事ではありません。限られた時間とリソースの中で、最大限の成果 が出るようにマネジメントするのがマネージャーの仕事。だから「成果とは何か」を考えるのがマネージャーです。それを考えられない時点でマネージャーとして失格ではないかと思います。
自分たちの仕事の成果は何か、その成果は時間ではなくて、どうすれば価値が生まれるのか、価値が高まるのかということを本来は考えなければいけない。これまでは人を管理することによって生産性が上がる時代だった。再現性の高い仕事だったら、“見張る”管理で良かったのかもしれません。
再現性の低い仕事が増えているいまは、たとえばプログラムを書いている人を上司が見張っていても生産性は上がらない。なのに「時間通りに書いているか、キーボードを打つスピードはどうか」といった管理しようとするから生産性が低くなるのです。
――ベンチャーのIT企業でも、意外と管理ツールなどを使って厳しく管理している会社が多い印象があります。
そうですね。なぜ管理したがるかというと、気軽に人を採用しすぎているからだと思います。ただ信頼できていないだけなんです。信頼できる人を採用すれば、下手に管理する必要はない。だけど、信頼できない人を採用してしまうがゆえに、リスク回避のために管理してしまう。
管理することは、コストパフォーマンスが圧倒的に悪いです。信頼できる人も信頼できない人も一律に管理することになるので、信頼できる人のことまで管理しないといけなくなる。信頼されてのびのび働いていた人は管理されることによってモチベーションが下がるんです。全員同じように管理すると、優秀な人ほど窮屈になって辞めるということが起きてしまうんです。
人を信頼しない前提にあるのは性悪説に基づいた管理だと思います。だから、そんなことをしなくて済むように信頼できる人を採用することが一番大事だと思います。

議事メモで会議のライブ感を残す

――会議では議事メモをとることを勧められていますが、議事録とどんな違いがあるのですか。
議事録は参加者が誰で、どういうことが話されたかが書かれるもので、参加者や参加しなかった人に周知するために使うものです。 
――議事録って会議後に見る人はほとんどいないですね。
何かあったときに誰が発言したのかという責任の所在を追及するために用意しておくみたいな役割しかない。結局、いろいろな大事な情報が切り落とされてしまうのであまり意味がないと思っています。
――切り落とされるとは?
結論だけが書かれますよね。「社員旅行は、本当はこうしたかったけどこうなりました」となったら、「こうなりました」と結果だけが書かれる。結論に至る経緯が書かれないのは良くない。
それよりも、話している内容をホワイトボードなどを使って会議をしたほうがいい。モニタに映して、メモを取りながら話をしましょうというのが議事メモです。メモをとりながら話すと途中で何の話かすぐわかるので追いかけられます。どういう流れで話したのかがだいたいわかる。話の流れも全部残していける。会議を進めるためのメモが議事メモです。議事メモをそのまま残しておけば議事録的になりますが、そのライブの情報が大事なんです。
――御社では実際にモニタを見ながらやられているのですか。
そうです。僕らはテレビ会議が基本なので、いまはグーグルドキュメントを使って書きながら会議をやっています。今後はまた新しいツールを試すかもしれません。
――新しいツールを使うことに抵抗を示す人はいませんか。
短い時間で高い生産性を出すことを一番大事にしているので、型に則った仕事をするとか、いままで通りのやり方を続けていると、いずれ時間対効果は低くなってしまう。時間対効果を高めるためにはどうすればいいかを常に追求していけば、いまあるツールも変えていかなければならないと思います。
いま40人でやっていることを100人になったときも同じことをやっているわけはない。100人になったら100人になったときの最適な状態で時間対効果を出せるように考えることが私たちの企業文化だし、そうして変化に適応していくことが大事なポイントかと思います。
――いまの状況になるまでそれなりに苦労をされたと思うのですが、テクノロジーの進歩と関係はありますか。
テクノロジーは関係ありますね。ツールも、いまはRemotty(自社で開発したリモートワークのための仮想オフィス)を使っていますが、昔からこのツールを使っていたわけではないです。顔をほぼリアルタイムで映すのも、同時接続性の技術が簡単にできるようになったからです。昔はチャットもなかったので、チャットがない時代はチャットがない時代なりのコミュニケーションをやってきました。
ソニックガーデンで開発したリモートワークのためのバーチャルオフィス「Remotty」
いま使える最新のテクノロジーでやるというカタチに変えてきたので、新しいテクノロジーが出たら、またもっとやりやすく変えていくと思います。
ただ、テクノロジー以上に重要なのは、中途で入った人や新人が仕事のやり方を覚えて、短い時間で成果を出せるようにしていくことですね。

無駄を省くためにある程度の無駄を残しておく

――倉貫さんにとってのスマート会議とは何ですか。
「ザッソウ」の場がスマート会議になるかと思います。仕事仲間との雑談は無駄に思えますが、雑談があるから新しいアイデアが生まれたり、思いもよらない情報共有ができたりします。
何が無駄かということだと思うのですが、雑談もすべて排除してしまうとチームワークが崩れてしまいます。チームワークが崩れてしまうと、結局生産性が上がらなくなる。
――今後、会社としてどのように進化・発展していきたいと考えていますか。
いま社員が40人ぐらいになってきて、採用の応募の数も非常にたくさんいただいています。採用に時間をかけて一人ひとりの方と対話をして仕事をしていたのですが、もう少し応募される方と社員との境界線を緩くしていきたいですね。仲間をもっと増やしていきたいと思っています。そのためには、いまRemottyを「仮想オフィス」と呼んでいますが、仮想オフィスの一部をコワーキングスペースとして解放していきたいと思っています。いろいろな方がここで一緒にコラボレーションできたら面白いと思っています。
――会社の規模を大きくするというより、外を巻き込んで広がっていくイメージですか。
ビジネスとしては、基本的に“納品のない受託開発”は続けていくことになると思います。“納品のない受託開発”の時間だけに100%を使うという会社ではありません 。
短い時間で成果を出したら、空いた時間で新しいサービスを企画したり、新しい事業を立ち上げたりしているんです。その活動を「部活」と呼んでいますが、その部活を社内で閉じずに、社外のいろいろな方と連携して新しいサービスを立ち上げていきたいと思っています。

文・鈴木涼太
写真・大井成義

倉貫 義人(くらぬき よしひと)株式会社ソニックガーデン
株式会社ソニックガーデン 代表取締役社長
大手SIerにて経験を積んだのち、社内ベンチャーを立ち上げる。2011年にMBOを行い、株式会社ソニックガーデンを設立。月額定額&成果契約で顧問サービスを提供する「納品のない受託開発」を展開。全社員リモートワーク、オフィスの撤廃、管理のない会社経営など新しい取り組みも行っている。著書に『ザッソウ 結果を出すチームの習慣』『管理ゼロで成果はあがる』『「納品」をなくせばうまくいく』など。ブログhttps://kuranuki.sonicgarden.jp/

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