会議は「削る」「出ない」「出る」の3つに分類する【スマート会議術43回】

会議は「削る」「出ない」「出る」の3つに分類する【スマート会議術43回】株式会社固 代表取締役 前田 鎌利 氏

全国で年間200を超えるプレゼン・会議の企業研修・講演をこなすプレゼンテーションクリエイターの前田鎌利氏。

ソフトバンク・孫正義氏の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミアで、初年度第1位を獲得。孫正義氏に直接プレゼンして多くの事業提案が承認され、孫氏のプレゼン資料作成も担当する。2013年ソフトバンクを退社し、2016年、株式会社固(かたまり)を設立。

前田氏は書家としての顔も持ち、Jリーグ「絶対突破」、ソフトバンク「志高く」など多くの書を揮毫。全国15校650名を超える書道塾も経営する。

また、『社内プレゼンの資料作成術』、『社外プレゼンの資料作成術』、『最高品質の会議術』など、著書は累計18万部を超えるベストセラーとなる。そんな前田鎌利氏に、プレゼンの極意と最高品質の会議術について、お話を伺った。

目次

その場で決まらない会議は絶対にやってはいけない

――著書『最高品質の会議術』では、「会議の意思決定権を把握する」ことを強調されています。その意図をお教えください。
社内で決裁を取るときには、決裁者が必ずいます。その決裁者がどんなタイプで、何を求めているのか、相手のことを理解していないと決まるものも決まらない。時間がどれだけあっても、アプローチの仕方を間違えると決まらなかったりするんです。まずは、意思決定者、決裁権限を持っている人を見極めたうえで、限られた時間で決裁を取っていく必要があります。
――決裁者不在の会議で、何も決められなかったり、あとでひっくり返ったりすることはよくありますね。
その場で決まらない会議は絶対にやってはいけません。会議をやるなら、何を決めるかを最初に明確にしないといけません。決裁者がいないから決められないというのは怠慢です。決められないなら会議はしないほうがいいです。意思決定会議でなくても、アイデアを出すなら「最終的にアイデアを何個出すのがゴールか」と、ちゃんとゴールを決めてやる。「結局出なかったね」で終わるんだったら、アイデア出しの会議をやる必要もない。
でないと、アクションが取れないんです。アクションが取れないということは、結果が出ない。結果が出ないということは、会社が成長しない。何を決めるための会議なのかをまず明確にしないと、会議の意味がないんです。

「削る会議」「自分が出ない会議」「自分が出る会議」に分類する

――生産性の向上が叫ばれる中、いまも長いダラダラ会議への不満を耳にすることがよくあります。長い会議を効率化するにはどうすればよいですか。
会議は30分が限界だと考えています。1時間やってもムダなことがほとんどです。結局、雑談してとか、「時間があるから、もうちょっとやろう」みたいなのが多い。人の集中力は15分刻みなので、30分ぐらいが一番適度だと思います。どの分野でも15分単位で刻んでいることが多いですよね。通訳の交代も、学校の授業も、テレビの番組もそうです。15分単位で切って、ゴールに導いていくのが一番効率的です。
30分と決めて効率良くスパスパやっていくと、かなり押し込められるんです。時間感覚がなくダラダラやれるのが、1時間という刻み方だと思います。
――会議を行う適切な頻度はありますか。
私が開催しているワークショップでは、いま自社がやっている会議を見つめ直して3つに分類してもらっています。「削る会議」、「自分が出ない会議」、そして「自分が出る会議」の3種類。
「削る」というのは、回数を減らすとか、時間を削るとか、人数を削るとか、削り方はいろいろあります。何を、どういうふうに、どの会議で削るのかを、自分のスケジュールを1カ月間見ながら出してもらうんです。1カ月あれば、だいたい週単位、月単位でどういう会議があるかわかるので。1カ月やってみて精査します。その中でムダな会議を間引いていきます。
「自分が出ない会議」は、自分が出ないとダメだと思っていた会議を、いかに部下に任せられるかを見ます。部下に任せることで、自分が出なくなる。自分が出なくなることで、自席にいる時間が増える。
他のメンバーと「報連相」でコミュニケーションをとる時間も増えます。代わりに出てもらった人から、必ず報告や相談を受けるので、部下も会議で一所懸命聞かなきゃいけないし、発言をしなきゃいけない。だから、まず部下の会議に出る姿勢が変わるんです。そうやって成長していく。
「自分が出る会議」は、いままでに自分が出ていなかった、自分の上長が出ている会議に、自分が代わりに出る会議です。「自分が出ない会議」とは逆のパターンです。そうやって、どんどん自分がもっと参加できる会議を増やしていく。
この3つに分けて、1カ月ぐらい回していくと結構変わります。まず削ることで効率が良くなる。あと、部下育成とか自己啓発という観点で、「出る」「出ない」を精査することですごく変わっていきます。特にプレイングマネージャーが「自分で全部やらなきゃ」と思ってやっていると、部下は育たない。部下を育てると決めて、会議に臨むだけで変わります。

プレゼンは7割伝えて、3割質問させる

――プレゼンは仕事を取るために非常に重要なので、みんな苦労していると思います。社内で上司にプレゼンする場合と社外でプレゼンをする場合にそれぞれのコツはありますか。
基本的には同じです。プレゼン資料は、なるべくそぎ落としてシンプルな形にします。7割ぐらいの情報を埋めておいて、上司やお客さんに何か質問されたら答えるようにします。社内の場合は、ある程度ロジックを固めて見せます。100%を全部詰め込むと、やっぱり時間もかかる。全部を言わないで、7割ぐらいの量を伝えておくと、相手はそこに書いていないことを聞こうとするんです。「ここはどうなっているの?」って、残りの3割について聞かれたら、ちゃんと答えられるようにしておく。
決裁者の心理として、書かれていないことを聞いたときに、スパッと答えられたら信頼度が増すんです。「ちゃんと用意しているんだね」って。「これは?」「これもあります」、「これは?」「これもあります」、「じゃあいいんじゃない?」って終わる。全部盛り盛りで書いたあとに、抜け漏れがいっぱいあると信頼がなくなってしまうので、その見極めもすごく大事です。
――ロジックを固めたうえで、興味や感情にも訴えるには、具体的にどうすればいいですか。
プレゼンで感情を動かすためには、ロジカルな説明と感情に訴える表現の二段構造にします。二段構造にするのは、あくまでもビジュアルとか、文字とか、相手の感情を動かす要素をいろいろ入れていきます。「このスライドは相手にこんな感情になってもらいたい」と考えながら作っていきます。
最初からスライドを作り込むというよりも、まずは何を言いたいのかを、骨子だけストーリーで固めます。そこからどんな絵をかぶせていくか、どんなメッセージにそぎ落としていくかを決めていきます。そうすれば、ある程度相手の感情をデザインすることができると思います。
――社内プレゼンと社外プレゼンで一番違う点は?
社外プレゼンで特に大切なのは、最初のティザー(つかみ)ですね。「今回はこういう概要です」という話ができるものを、3~5分で用意しておく。
営業資料の場合は、最初のティザー(つかみ)で興味を持ってもらって、「あれはどうなの?これはどうなの?」って聞かれることで、決裁者がその場に残ってくれるので質問をしたくなるようにあえて言わないのも効果的です。
――映画の予告編みたいですね。興味をとにかく持たせて「このあとは本編でお楽しみ」っていう。
そうですね。ティザー(つかみ)で興味を持たせてあげる。社外プレゼンはまったく知らない他人にすることも多いので。他人に対しては、やっぱり最初から興味を持ってもらわないと、「別に御社じゃなくてもいいよね」って話になりがちなので。いかに興味を持たせるか、という点に注力します。
前田 鎌利(まえだ かまり)
プレゼンテーションクリエイター、株式会社固 代表取締役、書家。東京学芸大学卒業後、17年にわたりIT業界に従事。2010年にソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、初年度第1位を獲得。2013年にソフトバンクを退社、独立。2016年、株式会社固を設立。200社以上の企業・団体などで講演、企業研修などを行う。著書に『社内プレゼンの資料作成術』、『社外プレゼンの資料作成術』、『最高品質の会議術』(すべてダイヤモンド社)がある。

文・鈴木涼太
写真・佐坂和也

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