とっておきの差別化の方法【第2回】

とっておきの差別化の方法【第2回】前田鎌利 (書家/プレゼンテーションクリエイター)

第1回でお伝えした通り、ビジネス環境において相手に自分の情報を伝えるプロセスとして「自己紹介」が行われます。

自分自身を端的に伝える型でありながら、人生で最も多く行われるプレゼンテーション、それが「自己紹介」です。学生の頃から、ことあるごとに行ってきた自己紹介ですが、そのゴールは「自分を覚えてもらうこと」です。

とっておきの差別化の方法

自分の人生においても何度も自己紹介をしていますから、誰もが慣れているはずですが、話すほうも聞くほうも、「自己紹介」ほど、何となく行われるプレゼンテーションはありません。双方において「自己紹介」に慣れが生じているのです。
そこで、あなたの「個」をしっかりと相手に届けることが重要になってきます。初対面の方への自己紹介で、相手に与える第一印象の管理や印象づけに無頓着な人は、それだけで一歩出遅れてしまいます。
ご縁があって出会った相手と良好な関係を続けるためにも、「自己紹介」に限らず、 短時間で要領を得た「メッセージの届け方」を身につけることは、効率性が尊ばれる昨今の状況下において、ますます必要なスキルになっています。
最近は、時短労働の中で結果を出すために、社内だけでなく、社外ネットワークも重要視されるようになりました。
これまでは、課題を解決するのは、社内の専門領域の方や担当分野のエキスパートが担っていました。ところが、新規事業や異業種とのコラボレーションを推進することが多くなってきた昨今においては、社内よりもむしろ社外のネットワークをどれだけ幅広く確保しているかによって、課題解決に向けたスピードと精度が担保されるように変化してきたのです。
国内のビジネスサイズは人口構造の変化によりダウントレンドです。少子高齢化の影響や人口自然減の影響は、どの業界においても避けることはできません。
この条件下において既存事業の新たな展開、さらなる新領域での事業立ち上げを迫られています。 テクノロジーの進化やAIの常態化により、さらなる働き方の多様化へとつながり、これまでの常識や方法論、価値観、経験則は有効に機能しない可能性が高くなります。これまでのように、社内や業界内の知見や経験だけでは、求められる企業の成長スピードに対応できないものとなってきています。 そこで求められるのが、いかに社外ネットワークを確保できているか。つまり外の人脈を構築できているかということです。
先に述べた「名刺交換」という行為でもふれたように、社外の方は「あなた自身よりも、あなたが所属している企業に対してお付き合いをしたい」という前提で接点を持とうとします。
ですが、どんな企業であっても、未来永劫に存続できる保証はありません。不祥事があれば、どんなメジャーカンパニーであっても大きな損害を被るのです。株価が下落すれば買収リスクが増大するだけでなく、減収減益により雇用が維持できなくなるなどは往々にして起こり得るのです。
「うちの会社は大丈夫」「うちの業界は問題ない」と言えなくなってきていることは理解しているものの、会社に対する「所属感」という報酬獲得システムに依存する以上、残存率が高いところに可能な限り所属して、安心感を得がちになります。
では、自分が所属している会社に依存しないようにするために、普段から何を意識 するべきでしょうか? それは、
「あなたと仕事がしたい」
この一言を引き出せるかどうかがポイントなのです。そのためには普段から「個」 を意識することが重要です。
現代は「個」の時代と言われてはいるものの、「個」を意識して仕事を行う人は限定的です。 企業において取引する相手は「その会社と仕事がしたい」というだけであって、窓口となっている一個人、一担当者と「一緒に仕事をしていきたい」と思ってくれることは、よほど意識をして働きかけない限り、相手の思考を変えることは難しいでしょう。ましてや「個」を意識せず、ただ単に仕事をこなすような関係性の中では、担当者のあなたはいつでも交換可能な存在です。
公私を問わず、人にとって出会いは大事ですし、自分の未来を左右するような出会いは、日常の中に数多くあります。
ご縁を得て出会った人と、いかに自分との距離を縮められるか、その関係性が継続できるか、これは限られた時間しか持ち得ない人間だからこそ、その意味は重要になってくるのです。 「自己紹介」は人生で最も数多く行われるプレゼンテーションであることは先に述べ ましたが、「自己紹介」は相手が興味があろうがなかろうが、強制的に聞かせるものであり、聞かされるものです。 その「自己紹介」であなたの「念い」を伝えられると、そのほかのプレゼンテーションでもあなたの「念い」を伝えることができるようになります
では、プレゼンテーションをもう少し分解してみると、次の4つのパートに分かれます。
・思考のパート(課題・原因・解決策・効果)
・収集のパート(データ、根拠)
・表現のパート(パワーポイント、キーノート、ワード、エクセルなどにタイピング〔活字〕)
・発表のパート(話す)
この中で相手に、短時間で理解されるのは、「表現」と「発表」のパートです。実際に表現としてプレゼンテーション資料を見せながら、発表を通して理解を促し、結果として伝わるわけです。
ただし、現状のプレゼンテーション資料は、パワーポイントで画一的なスライドを作成して発表することが多くなってきており、これまでの表現方法だけでは相手の感情を動かすことが難しくなってきています。
また、自己紹介などで自分を伝える際においても、これまでとは別の手法を取ることで、他者との差別化を図りたいところです。
おすすめの差別化のひとつに「手書き」があります。
ここであなたは、「テクノロジーの進化やAIの日常への進出が顕著となる世紀の現代においてなぜ『手書き』なのか?」という疑問を持つかと思います。
答えは簡単です。
「手書き」は「伝わる」
そうなのです。「手書き」は相手に対して自分の「念い」を伝える上で、タイピングされた活字よりも圧倒的に伝わるのです。
想像してみてください。大切な方からお手紙をもらったとします。一方はワードにタイプされた文字が整然と並んだもの。もう一方は手書きで書かれた手紙です。まったく同じ文面で同じ内容であった場合、あなたはどちらをもらったほうが、相手の気持ちが伝わってくるでしょうか?
私自身、子どもから手書きの手紙をもらうと疲れが吹っ飛んでしまい、活力になりました。その手書きの文字の温かみに心が動かされ、笑顔になれる瞬間がありました。
ビジネスではお礼状もそうです。このように多岐に渡って手書きによって心を動かされることは往々にしてあるわけです。自己紹介は自分を伝える一つの行為ですが、自分を知ってもらうのはその一瞬だけではなく、その後の手紙のやり取りも含めてあなた自身を知ってもらえる一連の行為なのです。
※当コラムは著書『ミニマム・プレゼンテーション』を基に補筆したものです。
前田鎌利(まえだ かまり)
書家/プレゼンテーションクリエイター、株式会社固(https://katamari.co.jp/)代表取締役。一般社団法人プレゼンテーション協会代表理事。東京学芸大学卒業後、17年にわたりIT業界に従事。2010年にソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、初年度第1位を獲得。2013年にソフトバンクを退社、独立。2016年、株式会社固を設立。ソフトバンク、ヤフー、ベネッセ、 SONY、JR、松竹、Jリーグ、JTなど年間200社を超える企業にて講演・研修を行う。著書に『ミニマム・プレゼンテーション』『プレゼン資料のデザイン図鑑』『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』ほか多数。

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