人も組織も成長する「5分会議」🄬【第2回】

人も組織も成長する「5分会議」🄬【第2回】人財育成家 沖本るり子

こんにちは。「5分会議」🄬を活用した人財育成家の沖本るり子です。

ところで、あなたは“会議”でストレスを感じて、会議に嫌気がさしたことがありませんか? 多くの人は、ムダな会議が長時間でストレスを感じているといいます。さらにオンライン会議になってからはこのストレスが増したといわれています。

そこで、時間より質の重要性を考えた会議、【期待以上に人が育つ会議】のお話を進めてまいりましょう。どうぞよろしくお願いします。

会議の場で人が育つ
会議を改めてよく見てみると、高度なコミュニケーションを必要とします。参加者全員が理解できる言葉で説明する、相手の話をよく聞く、瞬時に考察し簡潔にまとめる、話の流れを察知し議題から逸れないように場をコントロールする……などなど。
つまり、考え方を変えると会議はコミュニケーションの練習にうってつけの環境なのです。加えてメモを取ったり議論の順序を考えたり、主体的に動くことを定着させたり、ちょっとの工夫でいろいろなビジネススキルを盛り込むことができます。
会議以外の場で、これだけたくさんのスキルを一気に凝縮して経験することはなかなかありません。だからこそ、部下育成に会議を使わない手はないのです。
会議時間を有意義な時間に変える
週に一度の定例会議も、1回の会議が60分だとして、1年間は52週ありますから、60×52=3120分もの時間を実践的なコミュニケーションの練習に充てられます充実した会議に何度も参加することで、参加者のコミュニケーション能力はグンとアップするはずです。
いまの時代のビジネスパーソンは、業務に追われてスキルアップのために時間を割くことができません。ならば上司も先輩も同僚も、みんなが一遍に顔を合わせる会議の場で育成を図ればよいのです。
また、社会人経験が長いからといって、スキルに長けている人ばかりではありません。その証拠に、経営幹部であっても権力を振りかざし、会議を台無しにする人もいます。
会議は、考えや意見の異なる複数の人が集まるのですから、本来であればさまざまな刺激を受ける場となります。だから、参加者みんなが主体的に参加できる会議の形をつくることがとても大切です。
目的達成と社員育成の両立
ここであなたにお聞きしたいことがあります。
会議は、何のために行われるのでしょう?
会議はどのような役割を担っているのでしょうか?
それは、会社や会社で働く個人が成果を出し、成長するためです。
言い方を変えれば、会議のやり方が正しくないために、せっかくの成長の機会をみすみす逃しているのです。それだけならまだしも、会議が仕事に対するやる気を下げ、社内の活力を奪っている場合もあります。会議そのものは悪者ではありません。会議のやり方を見直し、会議を活用すべきなのです。
また、それぞれの会議には、実施する目的があります。その目的とは、事業や組織運営に直結するものばかりです。ひいては、会議で決めたことは、事業や組織の成長のためにも必ず成し遂げなければなりません。
その点「5分会議」🄬は、進行のフレームがしっかりと確立されています。そのため誰がやっても、実りのある会議を展開することができます。つまりきちんと進行できれば、会議が終わる頃にはやるべきことが明確になる、または次に向けた課題設定ができているはずです。
また、「5分会議」🄬で用いられるそれぞれの手法は、一般的なビジネススキルと結びついています。たとえば全員が発言するしくみにより、誰もが話す力を鍛えることができます。他にもさまざまなスキルを使う機会があり、うまくやれば、会議をするたびにビジネス力を高めることができるのです。
「5分会議」🄬は、小会議の集合体
「5分会議」🄬の最大の特徴は「構成」です。大きな会議の枠組みの中で、いくつもの小さな会議(ミニ会議)を繰り返し回していきます
たとえばその会議のテーマが新商品の企画だったら、まず「アイデア出し会議」が行われ、続いて「出たアイデアのいいところ出し会議」が行われます。さらに「出たアイデアのいいところ出し会議」の中身は、「A案のいいところ出し会議」「B案のいいところ出し会議」……といった具合。
最小の会議の単位が数分で進められるところから、「5分会議」™🄬という名前をつけました。ただ実際は、5分にまったくこだわりはありません。3分でも7分でも、その議題に合わせたベストな時間を設けることが大切です。
会議は5つの工夫で進める
工夫① 「視点」で分解する会議
意見出しは「アイデア出し」→「アイデアのいいところ出し」→「アイデアの問題点出し」→「問題点への対策案出し」という構成が基本で、それぞれを集中して行います。
「A案のいいところ出し」ならば、A案に絞ってとにかくいいところを挙げていくのです。そこに発言者の感情や自慢話の入る余地はありません。余計なことを考えずに済むので、頭の中もすっきり。どんどんと建設的な意見が出るようになります
工夫② 「書く」ことで見えるようにする会議
小さな会議体ごとに議題をリセットして、メモ係がすべての発言を、その場で記録していきます。ホワイトボード1枚では到底足りないので、ホワイトボードシートと呼ばれる、模造紙状のホワイトボードをおすすめしています(ネット通販などで購入できます)。これをミニ会議の分だけ何枚も用意し、会議ごとにシートを替えてメモしていきます。
「アイデア出し」「アイデアのいいところ出し」「アイデアの問題点出し」「問題点への対策案出し」と、それぞれのホワイトボードシートを順に並べると、意見の流れが一目瞭然。このように流れを一目で見えるように書くことで、全員の意思統一が図れます。完成図は、遠くから見ると、Excelで作成された表のような形になります。
ということで、オンライン会議では、ホワイトボードシートの代わりに、Excelを使用します。Excelが使用できないツールであればそれに代わる記録できるものを活用しましょう。
工夫③ 「参加者全員」で必ず意見が出る会議
会議の参加者全員が、制限時間内に議題について意見を順番に出します。「A案のいいところ出し会議」なら、A案のいいところを全員が順番に発言します。A案への支持・不支持は関係ありません。
制限時間があるので一人の発言時間は数秒程度におさめ、すぐに次の発言者にバトンタッチ。1巡で終わらせず、時間のある限り何回も回します。退屈な会議のはずが、ゲーム大会のように盛り上がり、全員が会議に関わるようになります。ぜひ、テンポよく進めましょう 。
工夫④ 「立場」が関係なくなる会議
会議の意見は内容が大事で、発言者の立場によって判断が左右されるべきではありません。「5分会議」®では、この考えを柱としています。「工夫②」で発言を書く工夫を紹介しましたが、メモ係は発言者の名前を書きません。「誰が言ったか」は関係ないからです。
加えて短い時間内に、次々に何回も発言する機会があります。頭の中はアイデアを出すことで精いっぱい。上司がどの意見がお気に入りかなんて、いちいち覚えていられません。すると、純粋に意見だけを吟味するようになります。
多数決で決議しないため、立場を気にすることなく意見に集中できます。出てきた案すべてを点数で評価する。だから、上司の顔色をうかがうことなく自分の意思を示すことができます
工夫⑤ 「賛否」で揉めない会議
とにかく全員が1つの議題についてどんどん意見を出し合います。たとえ、ある案について反対していても、「いいところ出し会議」ではその案のいいところを挙げなければいけません
全員が同じ土俵に立って、案を検討します。このとき、問題点に対しどうカバーするか、対策まで考えることも重要なポイント。賛同できなかった案も、対策の内容次第では有効なアイデアだと評価が変わる場合もあるからです。

※本記事は『期待以上に部下が育つ高速会議』から抜粋・再編集したものです。

沖本るり子(おきもと るりこ)
「5分会議」🄬を活用した人財育成家。1分トークコンサルタント。株式会社CHEERFUL代表取締役。「人財育成と組織改革」を柱に、企業向けコンサルタントや研修講師を務めており、台湾(労働部)主催の講演会でも登壇した。「5分会議」🄬はRKB毎日放送「今日感テレビ」で紹介された。著書に『相手が”期待以上”に動いてくれる! リーダーのコミュニケーションの教科書』(同文舘出版)、『生産性アップ!短時間で成果が上がるミーティングと会議』(明日香出版社)、『期待以上に人を動かす伝え方』(かんき出版)、『期待以上に部下が育つ高速会議』(かんき出版)など多数。
株式会社CHEERFUL

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