近年、業種や業態を問わず日々多くのセミナーが開催されています。BtoBビジネスマーケティングのひとつとしても人気のセミナーですが、自社で「セミナーを開催したい!」と思うものの、費用の内訳や計上する勘定科目について悩んでしまうことはないでしょうか。
1回のセミナー開催でどのくらいのお金がかかるのか、詳しい内訳を把握しておくことは今後の企画立案にも有用です。本記事では、セミナー運営費はどのように処理すればわかりやすいのか、勘定科目の扱い方を中心に解説します。
近年、業種や業態を問わず日々多くのセミナーが開催されています。BtoBビジネスマーケティングのひとつとしても人気のセミナーですが、自社で「セミナーを開催したい!」と思うものの、費用の内訳や計上する勘定科目について悩んでしまうことはないでしょうか。
1回のセミナー開催でどのくらいのお金がかかるのか、詳しい内訳を把握しておくことは今後の企画立案にも有用です。本記事では、セミナー運営費はどのように処理すればわかりやすいのか、勘定科目の扱い方を中心に解説します。
ひとことにセミナー開催といっても、準備などを含めると、さまざまな費用がかかることをご存知でしょうか?企画・準備から始まり、集客のための告知、開催当日の運営からアフターフォローまで、セミナーの開催には多くの手順が必要となります。そのため、会場や講師にかかる費用はもちろんのこと、参加者を募るための費用やその他もろもろ、思いのほか細かいお金が必要となるでしょう。
セミナー運営にかかる費用の内訳については、ざっと次のとおりです。
企業の経営状態を把握するためには、勘定科目について知る必要があります。勘定科目は、「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」の5つのグループに分類され、資産や負債の増減、費用や収益の発生について、誰が見てもわかるようにするために必要です。
勘定科目は法律による決まりごとはなく、同じ内容の支出でも各企業のルールに従って自由に設定することができます。
たとえば、筆記用具は事務用品費や消耗品費に、打ち合わせでの飲食代は会議費や交際費・福利厚生費などになります。勘定科目は「何にどのくらいのお金を使ったか」を把握するために必要なので、目的や状況に応じた仕訳をおこなうことが大切です。
前項で「目的に応じた仕訳が大切」と解説しましたが、セミナー開催にまつわる費用はどうなるのでしょうか。勘定科目を設定するポイントは、名目ではなく「目的」です。つまり、「何に支出したか」ではなく、「何のために支出したか」ということです。
では、会場のレンタル費用について考えてみましょう。通常の会議が目的で会場をレンタルした場合は、「会議費」として計上します。しかし、セミナーや研修の目的で会場を借りたとすれば、勘定科目は「研修費」となります。
配布資料についても同様です。通常の会議で使用するなら「会議費」ですが、セミナー開催に必要な場合は「研修費」として計上することができます。ほかにも交通費や消耗品費など、セミナー開催にまつわる費用であれば、研修費とすることができる場合がほとんどです。
セミナー開催にかかる費用は国税庁が定める教育訓練費であり、「研修費」として処理することができます。前述の会場レンタル費や配布資料の費用以外にも、次のような費用が研修費として計上可能です。
研修費にできる項目は以下のとおりです。
・他社が主催する研修会や研究会、セミナーや教育訓練などへの参加費
・自社が主催する研修会やセミナー、教育訓練などの開催費用
・自社が主催する研修会などの講師への謝礼金及び交通費
・研修時に使用するテキストなどの印刷消耗品費
・研修などで必要な書籍などの購入費
・研修などの運営費
・研修などで使用するための外部施設費用
国税庁によると、教育訓練費とは「法人がその使用人(役員の親族など役員と特殊の関係のある使用人及び使用人兼務役員を除く)の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用」と提示されています。
そのため、研修会場までの交通費や宿泊費、夜の懇親会にかかった費用などは職務の習得に直接関係がないため、研修費とは別に計上したほうがよいでしょう。会場までの交通費や宿泊費は「旅費交通費」、懇親会の費用については「接待交際費」などと計上するのが一般的です。
セミナーを開催するには、多くの費用がかかります。セミナーを準備する際は、事前にこれらの勘定科目をしっかり理解し、適切に費用を計上することで、経営状況をより正確に把握できます。
勘定科目は「交通費」や「会議費」といった名目で見るのではなく、何のために使ったお金なのか「支出の目的」を考えてみるとわかりやすくなります。
ただし冒頭でも解説したように、勘定科目については、法律による厳格な決めごとはありません。そのため、たとえばセミナーで使用した筆記用具の代金を「研修費」にする企業もあれば、そのまま「事務消耗品費」とする企業もあります。
このように、企業によって費用のとらえ方が異なることは珍しくないので、自社の仕訳ルールや支出の目的に応じた勘定科目を使用するようにしてください。