伝えるときの基本、受け手が理解りやすい伝え方【第6回】

伝えるときの基本、受け手が理解りやすい伝え方【第6回】すごいプレゼン代表 松永俊彦

皆さんこんにちは。すごいプレゼン、代表プレゼンコーチの松永俊彦です。

「何を言いたいのかわからない」
こんな風にコメントをもらった経験がある方はいらっしゃいますか? 私は、本当にさまざまな場面でこのコメントを受けてきました。最初は「聞いている人の理解力が低いのだろう」と思っていたのですが、何度も同様のフィードバックを受けているうちに、「もしかしたら、私の伝え方に何か問題があるのではないか?」と思うようになりました。
この経験を通じて私が気づいた、「どうすれば聞き手がわかりやすい話をすることができるのか」という私なりの答えをお伝えしていきたいと思います。
まず、わかりにくいと言われるほとんどの場面で共通していることがあります。それは、「話が長い」ということです。たとえば、最近楽しかったことについてのプレゼンをしている場面を考えてみてください。
このとき、自分の経験の背景や詳細を伝えたいと思うあまり、このように話したとします。
「私は小さい頃から、運動をするのが好きでした。小学校から高校までサッカーを続けており、いまもサッカーチームに所属しています。運動が好きな友人も多く、さまざまなスポーツイベントに誘われることがあります。昨日、仲の良い友人からテニスに行かないかと誘われました。そこで、日曜日にテニスの約束をして、当日コートへ向かいました。その途中で、1人の男性に話しかけられました。…」
さぁ、この話が一体どこへ向かっていくか、あなたはわかりますか?
この時点では恐らく話の本題に入っていないでしょう。そして、あまりにも不要な情報が多いと途中で興味を失い、話が耳に入らなくなります。すると話のつながりがわからなくなり、結果として「何が言いたいのかわからない」という感想につながります。
この話し方の問題は、「結論がなかなか出てこないこと」にあります。
ビジネスの場で、「結論から話せ」と言われたことがある方がいるでしょう。忙しい人に対して情報を伝えようとするときには、できる限り聞き手に負担をかけないような伝え方が必要となります。このとき、不要な情報をそぎ落とし、必要な情報のみを伝えることで、短時間でわかりやすい話をすることが可能になります。
たとえば、先ほどの「最近楽しかったこと」を伝える場面においては、結論から伝えるとこうなります。
「先週の日曜日、人生で初めて芸能人に間違えられました」
これを先に伝えておくと、聞き手はそこから先の話を予測しながら聞くことができるので、聞き手の理解を助けることにつながります。そして、聞き手の興味の対象を絞り込むことも可能となります。
・どの芸能人に間違えられたのかな?
・どこで間違えられたのかな?
・なぜ間違えられたのかな?
・そのあと、どうしたのかな?
こういった、結論に関連した疑問を喚起させながら話を進めることができるのです。余計な情報が多ければ多いほど、「いったいこの人は、何が楽しかったのだろう…」と、一生懸命に話を聞かなければならなくなります。
補足情報については、興味がある人だけに伝えればよいのです。プレゼンは、どんなときも「聞き手が聞きたいこと、知りたいことを話す」というルールがあります。このルールで考えれば、「最近楽しかったこと」を伝えればいいのですから、「スポーツが好きかどうか」「テニスに行ったかどうか」は重要な情報ではないのです。
この結論から伝える方法は、PREP法として耳にしたことがある人もいるでしょう。
PREPは、
P…Point(結論)
R…Reason(理由)
E…Example(具体例)
P…Point(結論)
の頭文字をとっています。
最初はPointから始めること。こうすると、話している自分自身も話の行き先がわからなくなってしまうという危険がありません。そして、この結論を支える情報をその後に加えます。これが「R」や「E」です。
そして最後に、もう一度結論を伝えて話を締めくくります。
話がわかりにくいと言われる人は、このPREPを意識した伝え方をしましょう。前置きせずに、結論から話すこと。これは練習によって身につけることが可能なスキルです。相手に自分の考えや想いを伝えるときの基本的なスキルとして、ぜひ身につけてください。
※当コラムは著書『感動させて→行動させる エモいプレゼン』を基に補筆したものです。
松永俊彦(まつなが としひこ)
すごいプレゼン代表。プレゼンコーチ。塾教師として入社初年度から生徒支持率95%以上という驚異的な成績を誇り、多くの生徒を地域トップ高校をはじめとする難関校合格へと導いた。学力だけにとどまることなく人間力を成長させる指導は生徒、保護者から絶大な支持を得た。その後、教師育成だけにとどまらず、ビジネス領域の一般企業研修、営業指導領域でもHPPMの効果を実証し、セミナーや研修を通じて世の中に輩出したプレゼン生徒数は1500名を超える。著書に『感動させて→行動させる エモいプレゼン』(すばる舎)がある

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